包丁すら持たない彼の冷蔵庫が作り置き天国→真実が一発でわかった話
「料理できない」はずの彼の冷蔵庫
彼と付き合い始めて3カ月が経った頃、初めて彼の一人暮らしのアパートを訪れることになりました。「俺、本当に料理できないから、コンビニ弁当ばっかりなんだよね」と何度も聞いていたので、冷蔵庫の中は飲み物とカップ麺くらいだろうと想像していたのです。
ところが、飲み物を取ろうと冷蔵庫を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは予想とはまったく違う光景でした。きんぴらごぼう、ひじきの煮物、切り干し大根、肉じゃが。ガラスの保存容器に丁寧に詰められた作り置きおかずが、まるでお惣菜屋さんのショーケースのように並んでいたのです。しかも、どれも手作り感のある家庭的な味付けのものばかり。包丁すら持っていないと言っていた彼の言葉と、目の前の光景があまりにもかけ離れていて、私は言葉を失いました。
小さな違和感が積み重なって
冷蔵庫の中身を見てから、彼の部屋の様子が少しずつ気になり始めました。一人暮らしの男性にしては、部屋が整いすぎているのです。カーテンの色とクッションがきれいにコーディネートされていたり、洗面所にはおしゃれなディフューザーが置かれていたり。彼の性格からすると、そういった細やかな気配りは少し意外に感じられました。
そして何より不思議だったのは、作り置きのおかずに貼られた小さなラベル。「○月○日」と日付が書かれているのですが、その文字が明らかに女性らしい丸みを帯びた筆跡だったのです。彼に「これ、自分で作ったの?」と聞くと、一瞬だけ目が泳いだように見えました。「あー、うん、まあ……」という曖昧な返事。私の中で、小さな違和感が静かに膨らんでいきました。
真実は思わぬ形で明らかに
その日の夕方、彼がシャワーを浴びている間に、玄関のチャイムが鳴りました。彼に代わって出ると、そこには買い物袋を両手に抱えた中年の女性が立っていたのです。「あら、誰かしら?」と不思議そうな顔をされ、私も「えっと……」と固まってしまいました。
その方は彼のお母さんでした。週に2回、車で40分かけて息子のアパートに通い、作り置きを届けているのだそうです。「あの子、本当に何もできないから心配で」と笑うお母さん。シャワーから出てきた彼は、気まずそうに頭をかいていました。嘘をつかれていたことへの小さなモヤモヤはありましたが、同時に、こんなにも大切にされている彼の姿を見て、不思議と温かい気持ちも湧いてきたのです。
そして...
「ごめん、格好悪いところ見せたくなくて」と正直に謝る彼の姿は、少し情けなくて、でもどこか憎めないものでした。お母さんは「これからは彼女さんに教えてもらいなさいね」と笑い、私たちにエールを送ってくれたのです。
その日をきっかけに、私たちは一緒に料理をするようになりました。包丁の持ち方から教える日々は、思っていたよりずっと楽しいものです。最初は不格好だった彼の千切りも、少しずつ上達しています。完璧じゃなくていい、少しずつ一緒に成長していけばいい。そう思えるようになった今、私たちの関係は以前よりも深まったように感じています。冷蔵庫の作り置きは減りましたが、代わりに二人で作った思い出の味が増えていっています。
(20代女性・販売職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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