Q. 「ワクチンには水銀が入っていて危険」って本当ですか? 子どもの接種が不安です【小児科医が回答】
【小児科医が回答】一部のワクチンには、防腐剤として微量の「チメロサール(エチル水銀)」が含まれています。どのような水銀なのか、体に害はあるのか、性質や安全性について分りやすく回答します。(※画像:アマナイメージズ)
Q. 「ワクチンには水銀が入っていて危険」って本当ですか?
Q. 「ワクチンに水銀が入っていると聞きました。『水銀』というと恐ろしいイメージしかないので、体に直接入れるなんて考えられません。子どもに打たせても大丈夫なのでしょうか? 副作用や健康への影響など、実際の安全性はどうなのか知りたいです」
A. 安全です。有害なメチル水銀と、健康リスクの低いエチル水銀は別物です
「ワクチンに水銀が含まれていて危険」という説は、以前からたびたび話題になります。最初に結論からですが、ワクチンに含まれている水銀は安全です。防腐剤としての大切な役割がありますので、ワクチンの安全性を守るために大切なものです。
多くのワクチンには、保存剤としてごく微量の「チメロサール(エチル水銀)」が含まれています。実は一言で水銀といっても、さまざまな種類があります。多くの人が水銀が危険だと考えるのは、環境汚染などで知られる有害な「メチル水銀」のイメージが強いからでしょう。「チメロサール(エチル水銀)」は名前こそ似ていますが、構造も性質も異なります。体内に蓄積しにくいことも分かっているため、健康へのリスクは極めて低いと考えられています。
加えて、インフルエンザワクチンなどに含まれるチメロサールの量は、1回あたり約5マイクログラム程度です。これは、国際的な安全基準と比べてもはるかに低く、問題視されるレベルではありません。チメロサールが自閉症などの病気と関係しているという説もありますが、現在のところ科学的な根拠はない説です。
小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
執筆者:清益 功浩(医師)
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