【女子のばんそうこう】あるナンパ目撃談〜彼らは女をどう思ってる?
駅前のカフェで仕事をしてた時のこと。空席を1つはさんだ真横に若くて可愛い女子が座っていた。
私と彼女の前方にも空席があり、そこに30代後半くらいの男性が慌ただしく着席した。タイトなパンツの裾をロールアップし素足にローファー。彼はモダンなバッグからiPadを取り出したのだが、仕事をすると思いきやおもむろに私の横の女子に向かってこうたずねた。
「ここって、駅の何口ですかね?」
女子はしばし考えた後「すいません…私このあたりあまり来ないのでちょっと(わからない)」と答えた。彼は「そうですか、すいません」といったん引き下がる。が、1分後くらいに再び彼女の方へ語りかける。
「このあたりに待ち合わせにいい場所ってありませんかねえ?」
「うーん…」
「商店街とか、目印になるような店とか」
彼はわりと大きめの声で情報を求めているので「あっちサイドに商店街ありますよ!」という言葉が出かかったのだが、その瞬間、彼の目がその女子にしか向いておらず外野を完全シャットダウンしているのに気づいて言葉を引っ込めたのだ。ああ、質問は口実か。彼女と喋るきっかけが欲しいだけだ。あぶねーあぶねー。
果たして彼はふたたび質問を繰り出す。彼女が先ほどから何も答えられないにも関わらずだ。
「あ!駅前の本屋とかならいいかなあ?」(もはや質問ではない)
「…そうかもしれませんね」
「だよね!そうしよっと」
いつのまにかタメ口になりつつ、彼は待ち合わせ相手と電話するのか、スマホを持って席を立った。そしてすぐに戻ってきたのだが、自分の席に戻らず彼女の真横に立ち顔をのぞき込み、驚くべきセリフを放った。
「ねえ、A型でしょ」
は…???
私もびっくりしたが彼女もキョトンとしていた。しかしテンポに乗せられたのか思わず「え…はい」と答えてしまっていた。すると彼はドヤ顔をして続けた。
「やっぱりね。でさあ、わりと神経質なタイプでしょ?」
何なんだお前のその距離の詰め方は…?彼女も困っていた。そしてサッと荷物をまとめ、あっという間に店を出てしまった。うん、そうなるよね。
後に残された彼は何と、ちょうどコーヒーが運ばれてきたにも関わらずそれに一切手をつけず(!)、彼女に続くように店を出ていった。後にはぽかーんとした年増(わたし)だけが残った。
一定時間を共有した間柄で、くだけたムードの中で初めて発されるような問いかけをなぜ赤の他人にしたのか。あんな無茶なやり方でナンパに成功すると本気で思ったのか。そもそも「俺に声をかけられて嫌な気はしないはず」という自信はどこから来たのか。まだ通りすがりに「お茶しませんか」と言う方がマシだろうに。そして何なんだあの間違ったハウツーに則ったみたいなトーク運びは。何らかのナンパ術の実践者…?
「ただの珍妙なナンパ」だと思えばその通りだし、笑い話として終わることもできるのだけど、何たかつくづく考え込んでしまった。
女性(特に若い人)が生きる日々はかくもめんどくさく危険に満ちてるよな…という再認識がまずひとつ。
「たかがナンパ、ダメージないでしょ」って思われるかもだけど、見ず知らずの人に馴れ馴れしく来られる(しかも一向に諦めない)のってすっごいストレスだし恐怖なのですよ。今回はせっかく1人の時間を過ごしていた店を無理に出なきゃいけなくなったし、ダメージは十分にある。
知らない人に声をかけて新たな交流が始まること自体は悪いことではないけど、それならば「礼儀正しく、不快感や恐怖心を与えないように話しかける」が最低限だと思うのですよね。女性や子供への声かけに関してはそれをすっ飛ばす人が多すぎる。
もうひとつ感じるのは、(ごく)一部の男性はこの世を狩り場だと思っており、女性のことをコンテンツまたは賞品(景品)だと思ってることに対するやりきれなさだ。ひどい奴になると「女」というのは意思や人格を慮る必要はあまりない、釣り堀で釣り上げる魚みたいなただの「獲物」という認識でいたりする。「そんなひどくはない」って?だってそう考えてなければ無礼な扱いなんかできないと思うんだよね。先日起きた立川の男女殺傷事件の犯人も、そういう考えが極北に行き着いた結果だと思う。
そこまで極端ではないにしろ、女というのは男に選ばれ評価されて初めてその輪郭や立場がくっきりする生き物である、みたいな空気はまだたくさんある。
んなわけねーだろ!と声を大にして言いたい。女も男と同じ人間やぞ。犬猫ちゃうねんぞ、と。男と女の前に人間と人間なのだ。それは何歳でもどんな立場や職業でも変わらない。相手にはきちんとした人格と意思と人生があるってことを、絶対に忘れちゃいけないと思うんだよ。もちろん私たち自身も。
最後に先ほどのナンパに話が戻るが、こういうタイプには苦笑いとかうまくいなすとかはまるで通用しないので、真顔で拒否るのがいちばん早いです。こちらのことをちゃんと扱わない人には大人の対応も遠慮もしなくていいので、殺し屋のような冷たい目でお断りしよう。
(とはいえどんなに無礼でも「相手が逆ギレたら怖い」という思いからこちらが丁寧にならざるを得ない場合も確かにあり、ますます腹立たしいことであるよ!)
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