作品ごとに“雨”の印象がガラリと変わる…梅雨におすすめの「雨のシーンが印象的な映画」3選

2025.06.24 12:00

じっとりとした雨が続く梅雨の時期には、自宅でゆっくりと映画鑑賞をする人も多いかもしれない。そこで本記事では、梅雨にぴったりな“雨のシーンが印象的な映画”を3作品ピックアップ。各作品のあらすじや見どころについて紹介していく。

新海誠監督が圧巻の映像美で贈るアニメ映画「言の葉の庭」

まず紹介するのは、万葉集の一編から始まる孤悲(こい)の物語を描いたアニメーション映画「言の葉の庭」(2013年公開)。本作では、「君の名は。」や「すずめの戸締まり」などを手掛けた、デジタル時代の映像文学で世界を魅了する新海誠が監督を務めている。

靴職人を目指す高校1年生のタカオ(CV:入野自由)。彼は雨の日になると学校をさぼり、公園にある日本庭園で靴のスケッチに勤しんでいた。雨が降ったある日の朝、タカオは公園で“仕事をさぼってきた”と、朝から缶ビールを飲んでいる年上の女性・ユキノ(CV:花澤香菜)と出会う。そして少しの会話のあと、ユキノは万葉集の一遍と“雨が降ったらまた会えるかも”と言い残し去って行くユキノ。以降、2人は特に約束もしないまま雨の日になると顔を合わせる仲になるが――。

公園の美しい新緑と、しとしと降り続く雨の美しい雫を繊細に表現した、新海監督ならではの世界観が体現された本作。2人が逢瀬を重ねる時の象徴である“雨”の映像美や、彼らの繊細な心理描写・言葉選びによって、情緒あふれるドラマティックな作品に仕上がっている。

ちなみに、エンディングテーマは秦基博が大江千里の名曲「Rain」をカバー。作品にマッチした心を動かす美しいサウンドにも注目したい。

無実の男が刑務所に収監…名作ヒューマンドラマ「ショーシャンクの空に」

続いて紹介するのは、刑務所で出会った男2人の友情を描いた「ショーシャンクの空に」(1995年日本公開)。公開から約30年もの時が経ってもなお色褪せず、さまざまなジャンルの著名人が推薦し、映画賞でも“洋画ナンバーワン”に挙げられることも多い名作だ。

若くして銀行副頭取を務める優秀な銀行員・アンディ(ティム・ロビンス)は、ある日浮気した妻とその愛人を射殺した罪に問われる。アンディは身の潔白を主張したが“終身刑”の判決が下り、劣悪な“ショーシャンク刑務所”へ収容されてしまう。一方、ショーシャンクには長年服役している“調達係”のレッド(モーガン・フリーマン)がいた。なかなか仮釈放審査が通らないレッドとアンディの2人は、刑務所の中で友情を育んでいくが――。

本作では、激しい雨が降る中で大きく手を広げるアンディの姿が非常に印象的に映し出される。無実でありながら投獄され厳しい環境の中でも希望を捨てずに、前向きに過ごしていたアンディ。そんな彼がようやく自由を手にして、雨に打たれながらも全身で喜びを表現している姿に注目だ。

一般的に“雨”は憂鬱なものとして捉えられがちだが、本作における“雨の演出”は明るく前向きな気持ちにさせてくれることだろう。

土砂降りのオープニングシーンに注目、ホラー映画「IT／イット “それ”が見えたら、終わり。」

最後に紹介するのは、スティーヴン・キングによる原作小説を映像化したホラー映画「IT／イット “それ”が見えたら、終わり。」(2017年日本公開)。映画の予告編がアップされると24時間で2億回近くの再生回数を記録し、公開後もさまざまな国で当時“ホラー映画史上歴代1位”の興行収入を叩き出した。また、その人気ぶりから続編となる「IT／イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」(2019年日本公開)も製作されている。

物語の舞台は、子どもの失踪事件が多発していた田舎町・デリー。内気な少年や、不良少年たちにいじめの標的にされている子どもたちの前に突如“それ”は現れ、得体の知れない恐怖におびえることになる。その後子どもたちは仲間になり、神出鬼没で変幻自在な“それ”に立ち向かうことを決意する――。

赤い風船を持ち、時に地下水路から顔を出す正体不明のピエロ・ペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)が強烈なインパクトを与える本作。ホラー映画にもかかわらず彼はキャラクターとして愛されており、さまざまなグッズが制作されるなど人気を博している。

そんな本作では、雷鳴とどろき雨が降りしきる中、真っ赤な風船が現れるというオープニングが印象的。暗く恐ろしい雰囲気と雨が絶妙にマッチし、より一層引き立てられた“それ”の恐ろしさに注目だ。

なお、動画配信サービス・Huluでは「言の葉の庭」「ショーシャンクの空に」「IT／イット “それ”が見えたら、終わり。」「IT／イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」を見放題配信中。作品によって“雨の印象”も異なるため、さまざまな気持ちの変化を楽しめるかもしれない。