“令和の天才子役”永尾柚乃とは…“チビ麻美”で大ブレーク、驚異の出演数誇る売れっ子へ「リロ＆スティッチ」主人公声優に抜てき

2025.06.15 11:10

いつの時代も天才というのは現れるものである。今、ドラマ界、映画界で注目されている“令和の天才子役”の一人が永尾柚乃だ。大人顔負けの演技力に、バラエティー番組やイベントなどに出れば「人生何周目？」と言われるコメント力。公開中の映画「リロ＆スティッチ」では、初めてのディズニー実写版声優にも挑んでいる。(以下、出演作品のネタバレを含みます)

1歳半でドラマデビュー

2016年10月15日生まれ、現在8歳の永尾の俳優デビューは、わずか1歳半のとき。女性刑事が捜査チームのメンバーと未解決事件を追うドラマ「コールドケース2～真実の扉～」(2018年、WOWOWプライム)で、三浦友和演じるチームの指揮官の孫娘役だった。

その後、単発作品やゲスト出演を重ねた後、仲野太賀が主演した「拾われた男」(2022年、NHK BSプレミアムほか／ディズニープラス)では主人公のまな娘役、テレビ局を舞台にした骨太な社会派エンターテインメント「エルピス－希望、あるいは災い－」(2022年、フジテレビ系)では殺害された女子中学生の年の離れた妹役と、当時話題になった作品にも出演しているが、正直なところ、あの役がそうだったのかと思い返す人の方が多いかもしれない。ブレークしたのは、その翌年だ。

2023年の安藤サクラ主演ドラマでブレーク

2023年1月から放送スタートした「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ系)。バカリズムが脚本を担当して大ヒットとなった作品で、さまざまなテレビドラマの賞を受賞。「第115回ザテレビジョンドラマアカデミー賞」でも最優秀作品賞や脚本賞、主演女優賞など5部門を制覇している。

永尾が演じたのは、主人公・麻美(安藤サクラ)の幼少時代。といっても、単に回想シーンというわけではない。本作は、事故で命を落とす麻美が平凡な人生をやり直していくタイムリープもの。同じ人生をやり直して“徳”を積めば、次に人間に生まれ変わる確率が上がると奮闘する物語で、生き直していく過程一つ一つが要になるのだ。

第1話で登場した永尾は、端から見れば5歳児、でも中身は33歳の麻美を絶妙な表情で見せた。保育園の先生と友達の父親の不倫の始まりに“33歳”の大人目線だからこそ気付いた麻美。人生1周目でそれが友達の両親の離婚原因だったと結びつき、友達の父親に投げ掛ける目線の冷たさは、“33歳”の女性そのものだった。そして徳を積むため、あれこれと妨害作戦を立てる中、子供らしい動きと表情に、安藤が担当する心の声に合わせて大人の感情が浮かび上がるところが見事だった。

麻美が徳を積む過程で記憶のある年齢と最も年齢的ギャップがあるのが5歳で、その分、見た目的ギャップも面白かったというのもあるだろう。人生2周目、3周目、4周目と楽しませてくれ、視聴者の心を鷲づかみにした。

役作りは「心をバーンって入れて」

「ブラッシュアップライフ」での“チビ麻美”の役作りについて、「33歳の心をバーンって心に入れている感じです！」と公式のインタビューで答えていた永尾。そして「心が大人だから、ちょっとずつこうしたらいいなって自分で考えたりしてやっている感じです」とも。それであの達観した表情などが出るのかと、演技プランの実現度に舌を巻く。

永尾はここから文字通り飛躍していく。2024年は「正直不動産2」(NHK総合)、「ブラック・ジャック」(テレビ朝日系)、「ゴールデンカムイ－北海道刺青囚人争奪編－」(WOWOWプライム)、3歳のころから大ファンだという沢口靖子主演の人気シリーズ「科捜研の女」(テレビ朝日系)など、配信を含む11本のドラマと、映画「ゴールデンカムイ」に出演。

手塚治虫の漫画が原作の「ブラック・ジャック」では、無免許の天才外科医の助手・ピノコを演じた。そのキャラクターも見た目は幼児ながらも中身は18歳の乙女。そのときも「18歳の心を入れて」演じていたとコメントしていたように、彼女の役作りは、変わらず「心」を大切にする。

永尾が主人公・リロの声を務めるディズニー実写映画「リロ＆スティッチ」のイベント登壇時も、「柚乃の心をバーンって抜いて、リロの心をバーンって入れて、大事に、大切に演じました」と口調に子供らしさを残しながら語った。同じくタイトルロールのスティッチをアニメ版から引き続き担当したベテラン声優・山寺宏一も「参考にします」と感心したほどに、心を入れた声の演技は、「永尾柚乃ちゃんの吹き替え合ってた」「安定に演技うまくて主役に抜てきされる訳だ」などの声が寄せられている。

多数のバラエティー番組やイベントなどでも存在感を放つ永尾。瞬発力のある的確なコメントや、お笑い芸人などの共演者を驚かす対応力は、“チビ麻美”のごとく「人生何周目？」と言われるほどだ。そのいくつかのバラエティー番組などで、夢は映画監督、3歳のころから脚本を書き溜めているというエピソードも披露している。何年後かに「リロ＆スティッチ」の監督もしたいという話もあったが、日本のエンタメをぜひ盛り上げていってほしい。

なお、7月8日(火)スタートのドラマ「誘拐の日」(毎週火曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系)では、斎藤工とタッグを組む。韓国の連続ドラマを原作にした物語で、斎藤演じる不器用な男に誘拐される天才少女の役。きっと“心”を入れた演技で、また楽しませてくれるはずだ。ちなみに、同ドラマにはかつて“天才子役”と呼ばれた安達祐実も出演する。平成と令和の天才の競演にも注目したい。

実写映画版「リロ＆スティッチ」は劇場公開中、アニメーション版はディズニープラスで配信中。

◆文＝ザテレビジョンシネマ部