梶裕貴にインタビューを行った

梶裕貴、“めちゃくちゃ濃い”声優活動20年突破「役を演じさせていただける場所があるだけで幸せ」<サンダーボルツ*>

2025.05.17 08:10
梶裕貴にインタビューを行った

マーベル・スタジオの劇場映画最新作「サンダーボルツ*」が5月2日に日米同時公開され、全世界でのオープニング興収1億6210万ドルを記録し、週末の世界興行ランキングで第1位を獲得するなど大ヒットしている。同作は、過去に悪事を働きながらもアベンジャーズに代わって世界に襲いかかる危機に立ち向かうことになった、“超クセ強な無法者たち”が集結したチーム「サンダーボルツ*」が史上最強の敵“セントリー”に立ち向かう姿を描く。

このほど、日本版声優として謎の男・ボブ(ルイス・プルマン)の声を担当している梶裕貴にインタビュー。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品に本格初参戦した思いや、2024年に20周年を迎えた声優活動を続ける上でのモチベーションなどについて語ってもらった。

やはりマーベル作品への憧れはありました

――「アベンジャーズ」(ディズニープラスで配信中)シリーズをはじめとしたマーベルの作品にはどんな印象がありますか?

「アベンジャーズ」という言葉は、MCUが生み出した概念の一つであり、作品のタイトルでもあるんですけど、それが今や一般社会にも当たり前のように浸透していることがすごいなと。“最強”が集結するといった意味合いで、いろいろなシーンで使われていますよね。僕自身も一人の声優として、やはりマーベル作品への憧れはありました。

――今回は、MCU作品に“本格参戦”という形ですよね?

そうですね。MCUというシステムはとても魅力的で、2000年代初期からの新しい映画の楽しみ方を提示してくれたシリーズなのかなと思っています。一つ一つの作品が面白いのはもちろん、それぞれの作品の中でのつながりを感じる瞬間がある。

前に見た作品のキャラクターが、また違った形で、別の作品に登場するんだというワクワク感がたまらない。以前、ほんの少しだけ出演させていただいたことがありましたが、今回は物語のカギを握るような役柄ということで、とてもうれしかったです。

――お気に入りのマーベル作品は何ですか?

MCU1作目の「アイアンマン」は強く印象に残っています。僕が子どもの頃に流行った「X-MEN」や「スパイダーマン」とは違い、能力として超人的な力を持っているわけではないヒーロー、というところが新鮮で。主人公であるトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)は、いわゆる天才。

当然ながらカッコいいわけですが、並行して、どこか人間臭い部分も持ち併せていて。爽やかで正義感があるという王道のパターンではなく、ヒーローにもダメなところはある、という点に魅力を感じました。

ボブは「えっと……謎の男です(笑)」

――そこが人気の秘密なのかもしれませんね。

ヒーローたちだって決して完璧なわけではなく、未熟で幼稚な部分もある。だからこそ、見ている人たちも共感できるのかもしれません。それこそ今回の「サンダーボルツ*」は“最強じゃない、ヒーローじゃない”と謳っていて。まさに、そんな醍醐味(だいごみ)が詰まっているような気がします。

ずっとMCUを追って来られた方々にとっては、このメンバーが集結して映画を作るんだ!?というワクワクとドキドキ感があったんじゃないかなと思いますね。

――声を担当しているボブはどんなキャラクターですか?

えっと……謎の男です(笑)。とにかくオーディションもアフレコも手探り状態でした。ボブは気弱で、いろいろな闇を抱えている人。心を閉ざしがちだけれど、ひょんなことから“セントリー”という、力を持った存在になります。

――ある意味一番難しい役ですよね。演じる上で心掛けたことはありますか?

ボブ役のルイス・プルマンさんはがっしりとした体格なので、僕のスタンダードな声質からすると声色自体から作らないといけないのかなと。吹替版ということもあって、日本人が見たときにキャラクター性が分かりやすいような役作りが大前提。結果として、あえて声を太く作るというよりは、自分に自信がなくて不安気な感じを強く意識する形でまとまりました。

物語の途中で雰囲気が変化していくことも含め、本作のキーパーソンであるボブ。せりふ量が多く、感情の振れ幅も大きく…それでいて謎多き人物だったのでかなり難しくはありましたが(笑)、だからこそ演じていて楽しいと思える役でしたね。

“何か困ったときに一番に思い浮かぶ存在”がヒーロー

――ルイス・プルマンさんのどんなところに魅力を感じますか?

体格の大きな方なのですが、しぐさや姿勢だけでも弱々しい感じが伝わってくるんですよね。ものすごく徹底した役作りだなと驚きました。いきなり超人になるのではなく、自分の中での戸惑いがありながらも自信を付けていく。その変化を違和感なく表現しているお芝居が素晴らしいなと感じました。

――本作には個性豊かなヒーローが登場しますが、梶さんにとっての“理想のヒーロー像”は?

今は多様性の社会ですからいろいろな形があるんでしょうけれど…自分としては“何か困ったときに一番に思い浮かぶ存在”がヒーローと言えるのかなと。マーベル作品のような宇宙規模で活躍するヒーローの場合もあるでしょうし、あるいは家族や友達だったりするのかもしれない。僕自身も身近なコミュニティーの中や、声優としての活動を通して、誰かにとってのそういった存在になれていたらうれしいですね。

――2024年に声優活動20周年を迎えられ、声優業にとどまらず新しい取り組みも行われていますが、梶さんの仕事への原動力やモチベーションをキープする秘訣(ひけつ)は何ですか?

気付けば20年たっている感じで、どちらかと言えば、自分の中ではあっという間だったなと感じます。めちゃくちゃ濃くはありましたが(笑)。作品を受け取ってくださる方々が喜んでくれる、ポジティブなものとして捉えてくださっていることはもちろん、子どもの頃からずっと声優になりたいと思って生きてきた人生だったので、その一人として活動できているという現実が、役を演じさせていただける場所があるということが、それだけですごく幸せなんです。

自分から何かを生み出すことへの意欲が人一倍強い人間なので、それをようやく形にできるようになってきた今、常に何かを模索しつつ、楽しみながら生きています。

役づくりのためにさまざまなことに挑戦してみたり、今回で言えば、これまでのマーベル作品をおさらいしたり。自分がプロデュースする音声AIプロジェクト「そよぎフラクタル」に関しても、次はどんな仕掛けをしようかなとアイデアを練っている時間が最高に楽しいし、面白い。そんなバイタリティーこそが、そのままモチベーションに直結しているんじゃないかなと思います。

◆取材・文=小池貴之

関連リンク

関連記事

  1. 新垣結衣が語りに!“伝説の家政婦”タサン志麻さん夫婦に密着「たくさんの人の心にスッとしみこむはず…」<ふたりのディスタンス>
    新垣結衣が語りに!“伝説の家政婦”タサン志麻さん夫婦に密着「たくさんの人の心にスッとしみこむはず…」<ふたりのディスタンス>
    WEBザテレビジョン
  2. 東京03の超絶サクセスストーリー 全国ツアーだけで「1年食えるくらいはもらえる」
    東京03の超絶サクセスストーリー 全国ツアーだけで「1年食えるくらいはもらえる」
    WEBザテレビジョン
  3. <BLACKPINK>「あつまれ どうぶつの森」内に“BLACKPINK島”がオープン!MVのセットやステージを再現
    <BLACKPINK>「あつまれ どうぶつの森」内に“BLACKPINK島”がオープン!MVのセットやステージを再現
    WEBザテレビジョン
  4. 松井玲奈、大粒の涙…新型コロナ感染中の思い吐露「人生の中では一番苦しいぐらいの数日間」
    松井玲奈、大粒の涙…新型コロナ感染中の思い吐露「人生の中では一番苦しいぐらいの数日間」
    WEBザテレビジョン
  5. ジャニーズWEST中間淳太 “探偵”イメージの細身スーツで「小説現代」表紙に!推しミステリから自身の創作活動まで明かす
    ジャニーズWEST中間淳太 “探偵”イメージの細身スーツで「小説現代」表紙に!推しミステリから自身の創作活動まで明かす
    WEBザテレビジョン
  6. 瀬戸朝香、“なかなか良い感じ”7歳長女によるメイクSHOTに反響「優しくて自然な感じすごくいい」「娘さんお上手!」
    瀬戸朝香、“なかなか良い感じ”7歳長女によるメイクSHOTに反響「優しくて自然な感じすごくいい」「娘さんお上手!」
    WEBザテレビジョン

「映画」カテゴリーの最新記事

  1. SUPER BEAVE・渋谷龍太、主題歌起用に「光栄の一言に尽きる」柳沢亮太「監督の気持ちを音楽として表現できたら」<金子差入店>
    SUPER BEAVE・渋谷龍太、主題歌起用に「光栄の一言に尽きる」柳沢亮太「監督の気持ちを音楽として表現できたら」<金子差入店>
    WEBザテレビジョン
  2. 丸山隆平、映画の反響について「すぐにSNSをチェックし、世代や性別に関係なくこの作品が届いてるんだなと実感」<金子差入店>
    丸山隆平、映画の反響について「すぐにSNSをチェックし、世代や性別に関係なくこの作品が届いてるんだなと実感」<金子差入店>
    WEBザテレビジョン
  3. 役者・神山智洋の魅力とは WEST.主演映画「裏社員。」瑠東東一郎監督が惹きつけられた理由語る【独占コメント】
    役者・神山智洋の魅力とは WEST.主演映画「裏社員。」瑠東東一郎監督が惹きつけられた理由語る【独占コメント】
    モデルプレス
  4. SUPER EIGHT丸山隆平「SUPERで言ったら大先輩」主題歌アーティストを絶賛【金子差入店】
    SUPER EIGHT丸山隆平「SUPERで言ったら大先輩」主題歌アーティストを絶賛【金子差入店】
    モデルプレス
  5. SUPER EIGHT丸山隆平、公開日に主演作お忍び鑑賞「ちょっとお高めのシートに」【金子差入店】
    SUPER EIGHT丸山隆平、公開日に主演作お忍び鑑賞「ちょっとお高めのシートに」【金子差入店】
    モデルプレス
  6. 大橋和也ら「君がトクベツ」劇中アイドルLiKE LEGEND、主題歌の声援ガイド公開「最高のグループ」「みんなで声出したい」の声
    大橋和也ら「君がトクベツ」劇中アイドルLiKE LEGEND、主題歌の声援ガイド公開「最高のグループ」「みんなで声出したい」の声
    モデルプレス
  7. レニー・ゼルウィガー、シャロン・ストーンら、女優の名演技が光る映画3作品を一挙紹介<Studio Canal作品>
    レニー・ゼルウィガー、シャロン・ストーンら、女優の名演技が光る映画3作品を一挙紹介<Studio Canal作品>
    WEBザテレビジョン
  8. 永野芽郁、不倫疑惑報道後初の公の場 共演者との集合ショット公開
    永野芽郁、不倫疑惑報道後初の公の場 共演者との集合ショット公開
    モデルプレス
  9. 「はじまりのうた」リバイバル上映を記念して、ジョン・カーニー監督作品の3タイトルをオールナイト上映
    「はじまりのうた」リバイバル上映を記念して、ジョン・カーニー監督作品の3タイトルをオールナイト上映
    WEBザテレビジョン

あなたにおすすめの記事