ロングコートダディ・兎

ロングコートダディ・兎、共演した久保史緒里(乃木坂46)を絶賛「こんなにお芝居が上手な方とは知らなかった」<ネムルバカ>

2025.03.19 12:00
ロングコートダディ・兎

「それでも町は廻っている」「天国大魔境」の石黒正数の青春コミックを、「ベイビーわるきゅーれ」シリーズの阪元裕吾監督が実写化した映画「ネムルバカ」。心地よさと焦りが同居する“大学生”という不思議な時間の中で“自分らしさ”を見つけようともがく若者たちを描いた作品で、“後輩”入巣柚実を久保史緒里(乃木坂46)が、“先輩”鯨井ルカを平祐奈が演じる。今回は久保演じる柚実のバイト先の同僚・仲崎役として映画初出演を果たしたお笑いコンビ・ロングコートダディの兎にインタビューを行い、初出演となった作品や役柄、共演者の感想、見どころなどを語ってもらった。

映画初出演、撮影現場は「めちゃくちゃ緊張感がありました」

――映画初出演ということですが、出演が決まった時、どんな気持ちでしたか?

嬉しかったですね。映画にはいつか出てみたいと思っていたので、このタイミングで出演させていただけて素直に嬉しいと思いました。ただ撮影現場に入った時はいつも仕事をしている人たちとは雰囲気が全然違いましたし、人見知りというのもあってめちゃくちゃ緊張感がありました。

――撮影が始まったら緊張感はとけましたか?

いえ、最後まで緊張していました。良い緊張感を持って撮影できた…というべきですかね(笑)。

――漫画原作ですが、作品は知っていましたか?

以前、漫画喫茶で働いていたことがありました。働いている店には「この漫画がすごい」というタイトルでオススメ作品が並べられている棚があったのですが、そこに入っていたのでタイトルは見たことがありました。しかし読んだことはなかったので、出演が決まってから読ませてもらった形です。

現実でもありそうなリアルな世界観で、実際にありそうな雰囲気を切り取って作品にするのは結構難しいと思うんです。それができているというのが、素人目に見ても素晴らしいなと思いました。

――主人公の2人、入巣柚実と鯨井ルカも実際にいそうなキャラですし。

そうですよね。それぞれが抱える悩みも、実際に同じようなことで悩んでいたり、考えていたりする人も多いんじゃないかなと思います。多くの人がキャラクターたちに共感するというか、感情移入しやすいのではないでしょうか。

演じる役の性格は真逆『「自分は輝いてる」気持ちを心がけました』

――兎さんが演じる“仲崎”はどんなキャラですか?

仲崎は、柚実がバイトしている古本屋の同僚です。女性に対して積極的だったり、勘違いが激しかったり、食事の時のマナーが悪かったりするんですよ。さっき少し触れましたが僕は人見知りなので、役とは性格が全然違うんです。

そのため脚本を読みながら、「どういうふうに演じようかな?」とかなり考えていました。自分に自信があって、自分を出していけるキャラクターを演じなければいけないんですけど、素の僕はそれができないというか苦手な部分。そこで僕自身を押し殺して、「自分は輝いてる」みたいな気持ちで演じようと心がけてました。

――撮影の時、どういうふうに役に入りましたか? スイッチの切り替えとか。

いやいや、映画は初めてですからね。スイッチを切り替えるとか、そういうことも全然考えてなかったですし、スイッチの入れ方もわからなかったです(笑)。切り替えという意味では、カメラが回りだすとスタッフさんや共演者の方々…周り全員のスイッチが入る感じはありました。僕自身はバチっとスイッチを切り替えたりできないんですけど、「映画ってこういうもんだぞ」という空気を感じられましたし、自分が役に入っていけたきっかけだったと思います。

――柚実役の久保史緒里さんと共演してみての印象は?

いやぁ、すごかったです。アイドルとしての印象はありましたけど、こんなにお芝居が上手な方とは知らなかったので衝撃を受けました。セリフも完璧で、感情もセリフから読み取れますし、素直に「すごいな!」と思いました。役作り、キャラクター作りも完璧でした。演技について僕がこういう目線で言うのもアレですが(笑)。

――柚実との食事のシーンも印象的でした。

ありがとうございます。すごく積極的にいってるのに振り向いてもらえない感じとかはちょっとかわいそうだなって、自分で演じながら思っていました(笑)。

コントをやっていくうちに芝居への興味が沸いてきた

――ご自身の出演されているシーンを含めて、完成した作品を見た感想は?

日常の何でもないシーンを切り取っていながらも、主人公の2人にとっては重要なできごとがあったり、葛藤や悩みが描かれていたりして、見ている人が共感できるシーンはたくさんあります。元気がもらえるというか、背中を押してくれるような作品だと感じました。

――相方の堂前(透)さんは、兎さんの映画出演に対してどんな反応をされていましたか?

コンビのグループLINEで仕事のオファーなどが来るので、出演することは知ってると思います。ただ「出るよ」「どうだった?」といった話は全くしてないですね。僕から聞くことはあるんですけど、あいつが僕の仕事を気にすることはないので(笑)。

――完成した作品を見てくれたらいいですね。

見てほしいけどなぁ。どうかなぁ?(笑)

――映画はいつか出たいと思っていたということですが、それはいつ頃から思っていたんですか?

芸人を始めた時、僕も相方も全く芝居というか演技ができなくて、下手くそだったんですよ。声が小さくて、見に来てくれた芸人仲間から「何も聞こえない」って言われてたくらいだったんです。

でもそれからコントをやっていくうちに声も出るようになってきて、できることが少しずつ増え出した頃に映画やドラマを観て「うまいなぁ」とか「すごいなぁ」とか思うようになったんです。その頃ですね。「出てみたいな」とか「やってみたいな」と思い始めたのは。

――まずは発声を良くして、コントの経験を重ね、そしてお芝居に興味を持つようになったという感じですね。

はい。最初の頃はドラマを観ていても“お芝居がどうのこうの”と思ったことはなかったんですけど、発声を良くして、コントでの表現が増えていくにつれて見方が変わったところがあります。発声と表現ということで言えば、この前舞台のお仕事で声優さんとご一緒させてもらったんですよ。声優さん…エグかった!難しい声の出し方を何回やっても同じように出せますし、毎回同じように表現できるんですよ。

――声のプロフェッショナルですからね。

まさにプロフェッショナルって感じでした。全然及ばない分野ですけど、刺激受けましたね。

今後、演じてみたい役は…“ふくよか侍”

――役者としてのお仕事が続くとしたら、どんな役をやってみたいですか?

時代劇で侍の役とかやってみたいですね。食料とかがあまりなかった時代に、なぜかこんなに丸々とした体型で…“ふくよか侍”みたいな感じの役をやってみたいです(笑)。

――では最後に、映画「ネムルバカ」の見どころを含めてメッセージをお願いします。

映画「ネムルバカ」は日常の何気ない、どこにでもいそうな2人をテーマに作られた作品です。特別なことはない世界観ですが、この2人にとっては大きな世界で、いろんな大事なことがあったりします。

人にはそれぞれ大事なものがあると思いますし、周りから見たらくだらないことで悩んでいるように見えても、その人にとっては重要なことだったりする場合もあります。リアリティがあって、共感度の高い物語なので、たくさんの方に見てもらいたいなと。

元気がなかったり、疲れてる時には背中を押してもらえる作品なので、ぜひ映画館でご覧ください!

◆取材・文=田中隆信

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