松坂桃李、役所広司が放ったセリフが自身の心に“グサリ”「この感覚は味わったことがない」

2025.01.24 14:50

俳優の松坂桃李と役所広司が1月24日、都内で行われた映画「雪の花　―ともに在りて―」公開記念舞台あいさつに、共演の芳根京子、メガホンをとった小泉堯史監督とともに登壇した。

松坂桃李、過酷な撮影を振り返る「充実した時間を日々過ごしていた」

江戸時代末期を舞台に、数年ごとに大流行して多くの人命を奪う天然痘と闘った一人の町医者の実話を描く小説「雪の花」(作・吉村昭／新潮文庫刊)を映画化した本作。天然痘に侵された日本を本気で救おうと立ち上がった福井藩の町医者・笠原良策を松坂が、良策を支える妻・千穂を芳根、良策が教えを請いに出向く京都の蘭方医・日野鼎哉を役所が演じる。

鑑賞後の観客の前に登場した松坂は「時代劇は芳根さんと一緒にやらせていただいた『居眠り磐音』以来で、5〜6年ぶりくらいなんですが、改めて時代劇っていいなって思いました」と目を輝かせ、撮影時の思い出を聞かれると「撮影自体は早くて、小泉さんの現場は、朝入ったらすでに照明もカメラもセッティングされている状態で、カメラの前で1回テストをやって本番、そしてカットがかかって、多くて2〜3シーンくらいなんですけどお昼過ぎとか、長くても午後3時くらいには終わってしまって、その後に翌日のリハーサルや本読みをやるんですけど、充実した時間を日々過ごしていて、とても健やかでいい状態で毎日現場に行かせていただきました」と回顧。

一方、雪山を越えるなど過酷なシーンもあったそうで「そういう撮影をさせていただく中で、良策さんを演じる中で、当時は漢方医学が主流だったんですけど、そこに蘭方を取り入れて、未曾有のウイルスをどう治していったらいいかというプロセスが、とても大変だったんだなと改めて実感しましたね」と打ち明け、「何より未知で不安なものに対して感じる恐怖みたいなものは、昔も今も変わらないんだなというのを実感しましたね」としみじみと語った。

役所広司が放ったセリフが自身の心に“グサリ”

そんな松坂と共演した感想を求められた役所は「良策という医者の役は、松坂さんの誠実で志に向かって諦めない男にぴったりだと思います。まあ、普段の松坂くんはいい人がどうか知らないけど」とコメントして会場の笑いを誘い、逆に、役所との共演について松坂は「鼎哉先生のセリフで『名を求めず、利を求めず』という言葉があるんですけど、役を飛び越えて僕にも言われているような刺さり方がして、今までこの仕事をさせていただいて、この感覚って味わったことがなくて、それが今でもずっと残っていて、5度目の共演をさせていただいたんですけどすごかったですね」と感服。これを聞いた役所は「先輩を立てて褒めてくれてありがたいですよね」と照れ笑いを浮かべた。

さらに、松坂は「役所さんが授業をするシーンがあるんですけど、生徒さんたちがキラキラしているんですよね。僕自身もそうだったんですけど、役所さんの授業を受けられるという感覚も楽しくて、毎日いい時間だったなと思いますね」と振り返ると、役所は「本当かな(笑)。噛まないで早く終わらせてって思ってたんじゃない？」と疑いの目を向けて会場を沸かせた。

また、諦めないで成し遂げようとした笠原良策にちなみ、2025年に成し遂げたいことを聞かれると、松坂は「今年は1度も体調を崩さずに完走するという目標を掲げていたんですが、年始に体調を一瞬崩してしまい、その目標がかなわなかったんですけど、それ以降から絶対に体調を崩さないという強い意志で最後まで完走しようと心がけています。今日から1度も体調を崩さずに完走します」と力強く宣言した。

◆取材・文＝風間直人