「タクシードライバー」より

「タクシードライバー」「恋におちて」など、ロバート・デ・ニーロ出演映画6作品を一挙放送 あらすじと見どころに迫る

2024.10.27 17:00
「タクシードライバー」より

役作りのために頭髪を抜いたり、体重を27kgも増やしたりと、演技に対するこだわりの強さで“デ・ニーロ・アプローチ”という造語まで誕生させた俳優、ロバート・デ・ニーロ。映画「ゴッドファーザーPART II」で若き日のコルレオーネ役を演じアカデミー賞助演男優賞を受賞したほか、映画「レイジング・ブル」で主演男優賞を受賞するなど、輝かしい実績を収めている。BS松竹東急(全国無料放送・BS260ch)では、「世界の名優シリーズ 生ける伝説 ロバート・デ・ニーロ特集」と題して、彼の出演した6作品を10月28日(月)より順次放送。本記事では、各作品のあらすじや見どころについて紹介していく。

麻薬や売春などの社会問題に切り込む「タクシードライバー」

10月28日(月)夜8時からは、映画「タクシードライバー」(1976年)を放送。「シャッター アイランド」や「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で知られる巨匠、マーティン・スコセッシ監督が手掛けた作品で、第29回カンヌ国際映画祭最高賞パルムドールを受賞している。

ベトナム帰還兵で元海兵隊員のトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)は、不眠症がゆえに、ニューヨークの片隅で夜間タクシードライバーとして働きながら鬱屈した生活を送ってきた。夜の街には麻薬や売春が横行しており嫌気が差していたトラヴィスだが、ある日、アイリス(ジョディ・フォスター)という12歳の少女が彼のタクシーに逃げ込んできたことをきっかけに、彼女と顔見知りになる。それ以降、夜の街でたびたびアイリスを目撃したトラヴィスだが、実は彼女は娼婦として働いており、さらにバックには厄介な男が付いていたことが判明。アイリスを救いたいと考えたトラヴィスは、闇のルートから銃を手に入れ、体を鍛え、ある作戦を練り始める――。

本作は、ロバート・デ・ニーロが世界的に有名になった作品の一つとされているが、当時アメリカでは“社会派問題作”として話題に。売春や麻薬などの社会問題に嫌悪感を抱くトラヴィスは、ガスコンロの上に腕を掲げて我慢したり、怪しいディーラーから4丁もの拳銃を購入し、拳銃が飛び出す装置を自作する。“悪を制するために悪になる”というトラヴィスの行動は、作中でのロバートの絶妙な演技力も相まって、ヒーローのようにも残忍な暗殺者のようにも映っている。また、当時若干13歳で娼婦役に挑んだジョディ・フォスターの演技にも注目だ。

既婚者同士の純愛を描く「恋におちて」

10月29日(火)夜8時からは、映画「恋におちて」(1985年)を放送。ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープがタッグを組んだ、心に染み入るような大人の恋の物語だ。

物語の舞台は、クリスマスを目前に控えたニューヨーク。建築技師のフランク(ロバート・デ・ニーロ)はプレゼントを買いに訪れた書店で、客のモリー(メリル・ストリープ)とぶつかった。床に散らばるプレゼントを2人で拾い別れたものの、その後ある日の通勤電車にてばったりと再会を果たす。そのことをきっかけに、デートを重ねるようになるフランクとモリー。強く惹かれ合い、お互いが最も大切な人になっていくのだが、実は2人は既婚者で――。

本作は“不倫”がテーマではあるものの、おしゃれなニューヨークの街並みや、駅でモリーを待つフランクの様子、デートに来ていく洋服を迷うモリーの描写など、まるで“十代の初恋”のような美しい純愛として描かれる。

そして10月30日(水)夜8時からは、映画「アナライズ・ミー」(1999)が放送される。ニューヨークで絶大な権力を握るマフィアのボス・ポール(ロバート・デ・ニーロ)。縄張り争いの相手・シンドーネに命を狙われ常に緊張状態にさらされた彼は、やがてそのストレスからパニック発作を繰り返すようになる。そんなポールを心配した彼のボディガードは、精神科医のベン(ビリー・クリスタル)を彼に紹介する。最初は関わりを避けようとするベンだが、ポールに“2週間後のマフィアの総会までに発作を治してほしい”と懇願され、渋々治療を引き受けることに――。

マフィアのボスと精神科医という、凸凹なコンビが徐々に絆を築き上げていく過程は、コメディチックでありながらも感動的に仕上がっている。またデ・ニーロは本作で軽快なコメディセンスを披露し、新境地を開拓した。

10月31日(木)夜8時からは、「アナライズ・ミー」の続編に位置付けられている映画「アナライズ・ユー」(2003年)を放送。

服役中のマフィアのボス・ポール(ロバート・デ・ニーロ)は、ある日刑務所内で命を狙われたことから再び精神科医のベン(ビリー・クリスタル)に連絡する。“ベンの保護観察下であること”を条件に釈放されたポールと、FBIによって半ば強制的に彼の身元引受人にさせられたベン。彼はそんなポールのために、“ギャングドラマの監督”という仕事を見つけてくるが――。

前作のドタバタ劇がさらにパワーアップした本作では、ポールが無事社会復帰を果たすもののドジを繰り返す。特にギャングドラマの撮影現場に本物のマフィアが混ざっている様子は、現実との区別がつかず、より一層ドタバタ加減を増長させており見どころ満載のシーンとなっている。

映画「ジョーカー」にも影響を与えたマーティン・スコセッシ監督作「キング・オブ・コメディ」

11月1日(金)夜8時からは、映画「キング・オブ・コメディ」(1984年)を放送。先述の「タクシードライバー」でもタッグを組んだ、マーティン・スコセッシ監督による作品だ。

コメディアン志望のパプキン(ロバート・デ・ニーロ)は、尊敬する人気コメディアンのジェリーに強引に自分を売り込むが、ジェリーは追い払う口実として事務所に電話するよう伝える。しかしパプキンは、ジェリーに気に入られてテレビ出演を依頼されるという妄想を繰り広げる。その後、パプキンは自分のネタを披露しようとジェリーの事務所を訪ねるが、門前払い。諦められない彼は誘拐という手段で一夜限りの舞台を掴もうとするのだが――。

本作は、大ヒット映画「ジョーカー」のモチーフとなった作品と言われている異色の風刺コメディで、徐々に現実と妄想の区別がつかなくなる主人公を演じる、ロバートの怪演ぶりが映し出される。

11月2日(土)夜9時からは、実話をもとにした、マフィアたちの友情と裏切りを描いた映画「グッドフェローズ」(1990年)を放送。主人公のヘンリー(レイ・リオッタ)は、幼いころから“グッドフェローズ”というマフィアの世界に憧れを抱いており、12歳になったときに大物ギャング、ポーリー家に飛び込んだ。その後、兄貴分のジミー(ロバート・デ・ニーロ)や仲間たちとのさまざまな経験を経て、結婚をし、子どもも授かったヘンリー。しかしある日、ジミーが指揮を執る600万ドル強盗事件に加わったヘンリーは、FBIに目をつけられ逮捕されてしまい――。

本作は、マフィア同士の抗争というよりも、“マフィアに憧れた少年の生き様”にフォーカスされており、手持ちカメラを多用しながらの撮影や、ヘンリーが逮捕される1日を細かいカット割りで演出したことで、ヘンリーのより細かい行動や心情描写がわかりやすく描かれる。

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