磯村勇斗、憧れの役所広司と親子役で初共演「本当にぜいたくで貴重な時間を過ごさせていただきました」
俳優の役所広司、磯村勇斗が、10月24日に都内で開催された映画「八犬伝」の公開前日先行上映イベントに登場。今作が初共演ということでお互いの印象などについて語った。
「八犬伝」をVFXも駆使して描く
唯一無二の物語で、日本のファンタジー小説の原点と称えられる「南総里見八犬伝」は、1842年に完結するも、約200年の時を超え、今も漫画やアニメ、映画、舞台、歌舞伎など多彩なジャンルで二次創作が行われ、現代のエンターテインメント界に大きな影響を与えてきた。
今回の映画「八犬伝」は、里見家の呪いを解くため、八つの珠に引き寄せられた八人の剣士の運命をダイナミックなVFXで描く「八犬伝パート【虚】」と、物語を生み出す作家・滝沢馬琴と浮世絵師・葛飾北斎の奇妙な友情を通して描かれる「創作パート【実】」が交錯するエンターテインメント大作となっており、山田風太郎の原作「八犬伝 上・下」を壮大なスケールで映画化している。
【実】のパートで役所は馬琴、磯村は馬琴の息子・宗伯(鎮五郎)を演じ、初共演で親子役を務めた。“息子役”磯村の印象を聞かれ、役所は「磯村くんの映画もたくさん見ていますし、素晴らしい俳優さんだと思っていました。共演できて、ますます磯村くんという俳優の魅力を感じることができました」と笑顔を見せた。
一方、磯村は「今回、台本を開いて役所さんが自分の父親の役ということで、共演できることを非常に楽しみにしていて。憧れもあったので、現場では緊張して臨んでおりました。本当にぜいたくで貴重な時間を過ごさせていただきました」と、感慨深い表情で振り返った。
また、そんな役所と共演してみて学んだことを聞かれると、磯村は「本当に現場がお好きなんだろうなと感じました。役者さんによっては(休憩中やセットチェンジで)すぐに現場を離れる方もいらっしゃるんですけど、役所さんはずっといらっしゃって、空気を作ってくださっていたなという印象です。僕も現場がすごく好きなので、現場にいるということをこれからも大切にしたいなと思いました」と打ち明け、「馬琴さんが感情的に息子に対してバーッと言うところがあったんですけど、そういうところも役所さんはずっと現場にいて、集中している姿も見たりすると、やはりキャリアを積んでも、どんなにいろいろ経験してきても役と向き合うことを忘れない、ということは、今回の現場で役所さんの背中を見て、勝手ながら学ばせていたたきました。その心を大事にしようと思いました」と、尊敬のまなざしで役所を見つめた。
それを受け、うれしそうな表情を浮かべた役所は「やっぱりセットを準備してくれた、美術の人たちが作ってくれた自分の部屋があったり、おうちがあったりする所にいたほうが落ち着くんですよね。スタッフがたくさんいる中でお芝居するというのは緊張するし、恥ずかしいんだけど、『ここが自分の場所だな』って思うと、何となくそこが一番安心していられるというか。そういう感じがするんですよ」と、“現場にいる理由”を説明した。
役所、長く俳優を続ける秘訣は「人間関係を大事に」
イベントでは、磯村が考えた質問と、一般公募で募った“役所への八つの質問”について、役所が時間の許す限り回答していく企画も実施。
磯村からの「長く役者を続けるために何を大切にしてきましたか?」という質問に、役所は「やっぱり俳優も社会人なので、俳優だから許されることはないんです。社会人としてまずあいさつができることと、遅刻しないこと。俳優の仕事は一人でできることではなく、チームで作るものだから、人間関係を大事にしていくことは一番大事なことのような気がしますね。僕たちは(監督などに)呼ばれて(現場に)行く商売なので、ちょっと人間的に欠陥があるとなかなか呼んでもらえない(笑)。そういう人間関係は、一番正しいものを生み出すような気がしますね」と答え、人間関係の大切さを伝えた。
役所の回答に、磯村は「納得します。お芝居うんぬんより、まずは人として、社会人としてのパーソナルな部分が大事なんだなと思っていますし、ずっと長くやられている方は皆さん本当に腰が低くて、物腰柔らかくて。ごあいさつもきちんとされているのを見ると、まずそこは絶対大事にしていかなきゃなってすごく思います」と賛同し、身を引き締めていた。
なお、イベントには応援ゲストとして東京オリンピックとパリオリンピックの2大会連続金メダルを獲得した柔道家・阿部一二三選手も登壇。一足早く今作を見た感想などについて話す場面もあった。
映画「八犬伝」は、10月25日(金)に全国ロードショー。
◆取材・文・撮影=錦秋之丞
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