上野樹里7年ぶりの主演映画「隣人X 疑惑の彼女」が描く“輪郭なき恐怖” 他者への理解で揺れる“いま”見直すべき理由
上野樹里主演の映画「隣人X 疑惑の彼女」のBlu-ray&DVDが6月5日(水)に発売される。ミステリー×ロマンスというエンタメ的側面だけでなく、“わからないもの”に対する「輪郭なき恐怖」に疑義を呈した話題作だ。SNS全盛の現代にこそ相応しい、社会的意義もある同作を振り返る。
日常に紛れ込む人間そっくりな“惑星難民X”を巡る心理戦
原作は「第14回 小説現代長編新人賞」を受賞したパリュスあや子の小説「隣人X」。本作は原作小説に、熊澤尚人監督が新たな視点を盛り込んで映画化したものだ。
主演を務めるのは上野樹里で、人との関わりを避けてひっそりと生きる女性・柏木良子を演じる。そして良子を“X”なのではと疑って接触しながらも良子に惹かれていく記者・笹憲太郎を、林遣都が熱演。さらに台湾の実力派ファン・ペイチャ、野村周平、川瀬陽太、嶋田久作、原日出子、バカリズム、酒向芳など、実力と話題性を兼ね揃えた豪華な面々が日台の垣根を越えて集まった。
物語の舞台は、紛争のため故郷を追われた“惑星難民X”があふれるパラレルワールドだ。各国がその対処に苦慮するなか、いち早く受け入れを発表したアメリカに追随するよう日本。しかし「人間の姿をそっくりそのままコピーして日常に紛れ込む」という特性を持つXとはなんなのか、彼らの目的や生態は国民に広く知らされないまま。
そんな状況下では当然、社会に不安や動揺が広がる。隣にいるかもしれないXを見つけ出すために、躍起になる人々。週刊誌記者の笹もまた、Xを見つけ出すために疑惑の掛かった良子の追跡を始める。しかし疑っていることを隠して良子と接するうちに、笹の気持ちに変化が現れて…。
「人間そっくりに化ける」という特性を持つX。たしかに「街で横に立った相手が人間か異星人かわからない」という状況を想像すると、言い知れない不安が湧いてくるかもしれない。
だがそれは、「相手のことをよく知らないから」ではないだろうか。その他大勢とは違う特徴を持つ“誰か”は、大っぴらに「違う」と取り上げられ、排除せよと糾弾されるべきだろうか。
笹は良子と接するうちに、良子が“X”かもしれないという疑惑を超えて心を動かされる。良子の正体という大きな謎を追うエンタメ的側面と、視聴後には胸がつかえるほどの重い感覚を味わえる社会派の側面を持つ同作。隣にいる誰かを思いやることの難しさと大切さ、いつのまにか心にある偏見の透明さを、残酷なほど克明に描いた問題作だ。
入念な話し合いで足並みを揃えたからこそ完成した傑作
相手を追い詰めながら惹かれていく…という難しい役を演じた林遣都。本作に関わるうえでは演じる側と書く側のズレを埋める作業を入念におこなっていたそうだ。監督が表現したいもの、脚本の意図、演出の狙い…それらを妥協せず表現するため、制作陣と「時間を忘れるくらい作品について話し合いができた」と映画公開前のインタビューで明かしている。
また本作が7年ぶりの主演となった上野が同作に傾けたエネルギーも、並みのレベルではない。演じるにあたって脚本を読み込み、描かれていない細かな部分まで想定しながら、熊澤監督と話し合いを重ねたのだとか。これに熊澤監督も真正面から向き合い、ときに6時間、8時間とアイデアを出しあったという。
熊澤監督は、話を聞くだけでなく、わかりやすく説明を交えながら意見を述べてくれたと上野は語る。また話し合いでの上野の意見を全てメモをして、次に会った時には意見が反映された状態の脚本を渡されたことでやりがいを感じたというエピソードも披露している。驚くべきは、物語の核心的な設定も上野のアイデアだったそうだ。
「自分が良子を演じるならば、2、3度観ていただいたときに違う発見をしてもらえる作品にしたいと思った」公開前のインタビューで上野が語った通り、良子という人物は深い謎を湛えている。1度目は笹の目線で、2度目は良子の目線で…なにげない言葉選びや所作は、たしかに見直すたびに違う解釈で楽しめるだろう。
6月5日(水)に発売されるBlu-ray&DVDには、音声特典として上野樹里と熊澤尚人監督による「オーディオコメンタリー」が付属。さらにBlu-rayにはメイキングや舞台挨拶など、80分超えの映像特典が収録される。
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