第1作「猿の惑星」より

秀才“猿軍団”が人間を支配する人気SFシリーズ「猿の惑星」が映画界に与えた衝撃と魅力を解説

2024.05.14 07:10
第1作「猿の惑星」より

映画史に残るSF映画の名作シリーズ「猿の惑星」の“完全新作”として製作された映画「猿の惑星/キングダム」が、5月10日に劇場公開された。今から遡ること56年前、1作目の「猿の惑星」(1968年)が公開され、登場人物の猿を表現する特殊メイクをはじめ、「猿が人間を支配する世界」といったショッキングな設定が世界中に大きな衝撃を与えた。本シリーズは第1作の続編を描いたオリジナル版、「猿の惑星」の“起源”をひもとくリブート版、そしてティム・バートンによる第1作のリ・イマジネーション版といった全9作品がこれまでに公開されている。完全新作の映画公開を機に不朽の名作「猿の惑星」シリーズの魅力と衝撃を改めて振り返る。

猿に支配されていく人間の様を描いた衝撃作が登場

フランスの小説家、ピエール・ブールのSF小説を実写映画化した本作は「人間が高度な知能を持つ猿に支配された未知の惑星」を舞台にした、他に類を見ない独創的な世界観や見る者を引き付けるストーリー性で人気を博す大ヒットシリーズ。

この壮大な物語の大きなテーマでもある「人間と猿の共存」を巡り、対立する度に繰り返される戦いを通して、人間社会への強い風刺的なメッセージが表現されてきた。物語に登場する猿たちはとても賢く、猿同士は手話でコミュケーションを取ることができ、さらに人間の言葉を操る者もいるようなエリート集団。作品上の設定にもかかわらず、われわれ人間の思考を見透かしているような猿たちの迫力は、とてもリアルで恐怖すら覚えた人も多かったはず。

そんな猿たちを生み出す特殊メイクにいたっては、作品を重ねるたびに驚かされる猿たちの知能のように、メイクの技術も進化し続けた。第1作の公開当時はかなり珍しいテクニックだったこともあり、第40回アカデミー賞名誉賞(メイクアップ)を受賞するなど、その技術は映画界で高く評価された。

時代が進むにつれ、逆転化していく猿との関係性

さまざまな角度で強烈なインパクトを残し続ける「猿の惑星」の物語は、2011年に誕生した「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」、「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(2014年)、「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」(2017年)のリブート3部作によって、人間が猿に支配されていく過程が描かれ、この大きな物語の起源をひもとくことができる。公開された年数はオリジナル版より遅いものの、物語全体の時系列は、リブートシリーズが初期に該当しており、リブート版、オリジナル版の順番に視聴して映画を理解していくというユニークな発想も本シリーズの魅力の一つ。

一方、このリブート版の3作目「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」には話すことができないが次第に猿たちと絆を深めていく人間の少女・ノバ(アミア・ミラー)が登場しており、実は1作目にも同じ名前の女性が登場していることからどのような文脈でリブート版からオリジナル版へとつながっていくのか…といった期待の声が多く集まっていた。時代を超えて伏線回収するような追体験は他ではなかなか味わえない楽しみ方だろう。

時系列とともに作品をひもといていくのももちろんのこと、映画公開順に視聴するのも各作品の時代背景と映画史に残る技術の進化を感じ取りながら最新作に向けた予習をするのも良いだろう。

そんな「猿の惑星」の新たな歴史となる最新作の舞台は、今から300年後の世界。「ゼルダの伝説」実写映画の監督にも抜てきされ、世界から注目が集まっているウェス・ボールと、「アバター」シリーズを手がけた最高峰のVFXスタジオWETAがタッグを組み、現在から300年後、支配者が人間から猿へと移り変わった衝撃的な世界を舞台に、猿と人間の共存か、猿の独裁かをかけた新たな衝突が圧倒的なスケールで描かれている。

大都会だった人間の暮らす世界はディストピア化し、猿と人間の立場は逆転。高い知能と言語を得た猿たちが文明的なコミュニティを持った巨大な帝国「キングダム」を築こうとしている――あらすじだけでもゾッとしてしまうストーリーを目撃する前に、猿と人間の“共存”と“対立”の歴史を振り返ってみてはいかがだろうか。

映画「猿の惑星/キングダム」は全国ロードショー中。「猿の惑星」過去シリーズはディズニープラスで配信中。

◆文=suzuki

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