高杉真宙がインタビューに応じた

高杉真宙、役者としての“武器”は「『何もないところ』かな、と思っています」<Interview>

2021.04.10 12:00
高杉真宙がインタビューに応じた

高杉真宙が、公開中の映画「バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~」に出演している。同作は、2017年に「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」、2018年に「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」、2021年1月期には今までの規模を大きく超え、若手からベテランまで100人を超えるバイプレイヤーが集結した第3弾「バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~」としてテレビ東京系で放送され、話題を呼んだシリーズの劇場版だ。

シリーズ初の映画となる今作の舞台は、さまざまなテレビ局の連ドラチームが隣り合わせのスタジオで撮影している、富士山の麓ののどかな撮影所「バイプレウッド」。100人の役者が出演する自主映画の撮影を始めていた濱田岳、柄本時生ら若手バイプレイヤーは、トラブル続きで撮影が難航する。

とある配信ドラマの撮影に挑んでいる田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一の手助けを受けながらも、それぞれの思いが交錯し、やがて役者同士のぶつかり合いに発展。連ドラ、大河、朝ドラ、映画チームなど、バイプレウッド全体に嵐を呼ぶ大騒動を巻き起こす。

今回、WEBザテレビジョンでは同作に若手バイプレイヤーとして本人役で出演している高杉にインタビューを実施。「バイプレイヤーズ」シリーズについてや“本人役”での演技について、そして“濱田組”の印象、もし自分が映画を撮るとしたら?など、高杉に語ってもらった。

――ドラマへの出演を経て、映画版でも活躍。映画が公開となった今の気持ちを教えてください。

この作品に出演できて良かったなと思いましたね。ドラマでも出演させていただきましたし、映画でも1人の役者として出演できることは幸せなことだと思います。こうやって選んでいただいて、さらに頑張ろうと思いました。

――「バイプレイヤーズ」という作品にはどんな印象を持っていましたか?

もともと作品は見ていて、スーツを着たオープニングがカッコいいなと思っていたし、皆さんが並んでいるポスターも印象的でした。なので今回映画のポスターでスーツを着て写真を撮りますって言われたとき、テンションが上がりましたね。

あの写真の一つに自分がなれるんだって実感して、いつか出演したいなと思っていたので、すごくうれしかったです。

――実際に作品に入って、感じたことはありますか?

この作品には、撮影をしている側の代弁というか、「そうだよな」と思わせてくれる感情が盛り込まれているんですよね。

もちろんフィクションではあるんですけど、撮影ってこうだよねって言うのを見せてくれる。そこがすごく好きで、感動するシーンじゃなくても感動してしまったりするんです。一人一人が集まってできている作品ってこうだよね、っていうのが魅力だと思います。

――普通の作品とは違って、本作は“高杉真宙”役ですね。

現場でも役名で呼ばれず、「高杉さん」とか「真宙」って呼ばれるのが不思議な感覚でした。ちょっと気を抜くと、高杉真宙を演じるんじゃなくてそのままの本人でやってしまいそうになるのが怖かったですね。台本があるので、役の高杉真宙と、本人の高杉真宙をいかにブレンドできるかを考えてました。

高杉真宙役は、撮影現場の僕というよりも、普段の僕の方が近いなと思いました。ちょっとフラフラしたところとか(笑)。素の高杉真宙に近いなって思うことが結構あって、喋り方なんて普段のままですからね。語尾が聞こえない感じとか(笑)。

ただ、あそこまで先輩にツンケンしたり突っかかったりはしないですね! 監督からは「負けないで」と言われました。先輩や共演者の方の圧がすごいので、そこに負けないようにガシガシいかなきゃなと思っていました。

役所広司との再共演は「毎回お会いするたびに緊張していました」

――物語では、濱田岳さん、柄本時生さん、菜々緒さん、芳根京子さんら若手役者たちと一緒に、濱田監督作品の映画「月のない夜の銀河鉄道」の撮影を行っている設定。濱田組の印象は?

すごく楽しかったですね。芳根さん以外の方とは初めましてだったんですが、休みの日は何をしているの?とか、先輩方が僕のことを聞いてくださいました。

濱田組の感想は、以前学生さんが制作した映画に出演させていただいたことがあるんですが、そのスタッフ側に回った気分でした。こういう自主映画から始まって、皆さん業界に入ってくるのかなとあらためて思いました。この感じがすごく良いなぁと思って、自分もそういう学校に入っていたらまた違っていたのかなとも考えたりしましたね。

ただ、濱田組には役所広司さんがいらっしゃって、録音部として参加されるので、その光景だけは違和感でした(笑)。役所さんとは以前、映画「渇き。」(2014年)でご一緒させていただいたんですが、そのときのことを覚えていてくださって、うれしかったですね。毎回お会いするたびに緊張していました。

――今作には劇中ドラマがたくさん登場しますが、気になったのは?

北村一輝さんが出演されている大河ドラマ「宮本武蔵」ですね。撮影の日がめちゃくちゃ猛暑で撮影も大変だったはずなのに、映像を見たらすごくカッコ良くて。あの豪華メンバーの「宮本武蔵」を見たいなと素直に思っちゃいましたね。

もし、実際にこの作品が撮影されるならぜひ出演したいですね。時代劇であのメンバーは強過ぎます! ちょっと濃過ぎる感じはしますけど(笑)。その他の作品は……「しばいであそぼ」はちょっと厳しそうだから怖いなぁ(笑)。

――もし、自身が監督となって、作品を作るなら?

映画「グーニーズ」(1985年)とか冒険モノが好きなんです。でも、作品を作る才能がないと思うんですよね。できることなら、助監督とか…皆さんが撮影しやすい環境を作る側に回りたいなと思います(笑)。

――では、俳優を100人集めて作るならどんな作品にしますか?

学園モノが良いですね! 年代ごとにクラス分けをした自由度の高い学園モノなんて、楽しそうでいいじゃないですか(笑)。

――そもそも、バイプレイヤーズという存在は、作品を支える大切な存在。高杉さんは主演も助演も経験されていますが、共演者の方に助けられたことは?

たくさんありますね。一番覚えているのは、連ドラ初主演をやらせていただいた「明日もきっと、おいしいご飯〜銀のスプーン〜」(2015年、フジテレビ系)で、富田靖子さんが母親役だったんです。

そのときは、本当のお母さんのような富田さんの優しさに救われていました。あまり寝ることができなくて、セリフも全部飛んじゃったことがあったんですね。そのときに「寝てないでしょ! 寝なさい!」って言われて、芝居だけじゃなくて普段のことを気遣ってくださって。

健康管理はお芝居に直結すると思うので、ハッとさせられましたね。愛にあふれる富田さんだったからこそ、本当の母親に対するようなお芝居ができたのかなと思います。それ以降お会いできてないので、お会いしたいですね。

――個性豊かな俳優さんが本作にもたくさん出演されていますが、高杉さん自身の役者としての武器は何だと思いますか?

「何もないところ」かな、と思っています。現場ごとに、求められているものを100%自分の色なく出せたらいいなと。できるだけ自分の色は出したくないなと思うんです。まぁ、自分の色ってなんだろう?って考えたときに、何もなかったからなんですけどね(笑)。

役がどう見えるかなので、高杉真宙は出さなくていいんですよ。自分というものが目立たないようにお芝居を続けていきたいですね。

◆取材・文=横前さやか

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