「ママレード・ボーイ」なぜ今実写化 時代設定は?ボイスメモ出てくる?これまでの少女漫画実写化との“決定的な違い”とは
2018.02.20 12:00
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集英社「りぼん」で1992年~1995年に連載され、 両親がパートナーチェンジをし、家族全員が突然ひとつ屋根の下で暮らすというセンセーショナルな設定で人気を博した吉住渉氏の少女漫画『ママレード・ボーイ』が満を持して実写映画化される。1994年にテレビアニメ化、現在続編にあたる『ママレード・ボーイ little』が連載中だが、20年以上の時を経て「なぜ今」実写映画化されるのか。情報解禁時、原作の愛読者・アニメ視聴者が特に気になっていた「時代設定」や「ボイスメモの登場有無」についても含め、今作を手がける松橋真三プロデューサーと北島直明プロデューサーが制作意図を語った。
胸キュンの恋愛ドラマであり、ホームドラマである『ママレード・ボーイ』“2つの層を狙う”キャスティングの妙
『オオカミ少女と黒王子』(2016)、『斉木楠雄のΨ難』(2017)に続くタッグとなる両プロデューサー。『オオカミ―』の制作当時、「実写化してほしい少女漫画」についてマーケティング調査を行ったところ、断トツの1位が『ママレード・ボーイ』だった。「なぜ今、というのが皆さんの頭の中にあると思いますが、その調査をした時に、ファンの未だ冷めやらぬ情熱みたいなものを感じ、これは是非やったほうがいいのではないかということでスタートした作品です」と経緯を語る松橋プロデューサー。原作の吉住氏もかねてより実写映画化を熱望し、実際に多くのオファーを受けてきたものの実を結ばず。今回がまさに原作者も念願のプロジェクトとなる。また“今やる”もう1つの理由として、昨今相次いでいる少女漫画実写化との“決定的な違い”を挙げた松橋プロデューサー。大半の少女漫画が主人公とその相手役2人の恋に終始するのに対し、『ママレード・ボーイ』は主人公2人が出会うきっかけとして、それぞれの両親(通称:両親S)のパートナーチェンジ、さらにはその2家族のシェアハウスが中核となることから、高校生同士の胸キュン恋愛ドラマでありながら一種のホームドラマでもあるという点だ。
「『ママレード・ボーイ』という作品の特徴として、若いカップルだけではなく、その親も交えての面白い話であるというのが、今少女漫画が沢山映画化される中では格別に違う点であり、今となってはすごく新しいんじゃないかということも含めて、そこを面白く描けたらというのが企画の発端です。私の妻が35歳でまさに『ママレード・ボーイ』を読んでいた世代なんですが、最近もう一度読んでみてもらったところ『あぁ、こういう話だったんだ』と新たにわかった部分があったと。中高生の頃に読んでいた自分は、銀太を交えた三角関係の話に夢中になっていて、親との関わりの部分がこんなにも深い話だったとは、当時は気付かなかったと。それを聞いて、これは2つの層が狙えるんじゃないかと思いました。きちんと大人を交えた話をしつつ、今のティーン層がドキドキできる三角関係の構図もしっかり作っていく。そういう面白いドラマが描ければ、少女漫画原作の実写化としては新しい形になると考えました」(同)
当時の愛読者である大人世代と今のティーン層、その両方を楽しませるという狙いはキャスティングにも色濃く反映。主人公の高校生・光希と遊を演じるW主演にはフレッシュで華のある桜井日奈子(20)と吉沢亮(24)、さらに“両親S”には中山美穂(47)、檀れい(46)、谷原章介(45)、筒井道隆(46)。90年代のトレンディ・ドラマを彩った俳優陣が揃う顔ぶれは「豪華すぎる!」と話題を呼び、“ただの胸キュン映画ではない”新鮮さを際立たせた。特に慎重に選定したという“両親S”のキャスティングはかつてフジテレビでトレンディ・ドラマを多く手がけた小岩井宏悦エグゼクティブ・プロデューサーが担当。「そこは小岩井さんのキャスティングの妙ですよね」と北島プロデューサー。
「現場で面白かったのが、筒井さんと吉沢くんが話をしていて『吉沢くんは23歳(※撮影当時)か…23歳って今何が流行っているの?』と。よく考えると筒井さんが23歳の時は『あすなろ白書』をやられていたわけですが、そんなトレンディキラキラ時代の真っ只中にいた人が今お父さん役になり、その息子役に吉沢くんのようなまた新しい世代のキラキラが出てきたという…。『ママレード・ボーイ』が幅広い世代に愛されている作品だからこそ、当時読んでいた方々はその両方を楽しめるのではないかと。連載当時の世代の方々は中山さんや筒井さんのドラマもきっと見ていたと思うので、そういう楽しみ方もしてもらえるといいですね。この原作ならではの面白いスキームやエッセンス、ある種のホームドラマみたいな部分をキャスティングでのっけていくのは、昔トレンディ・ドラマをやっていた小岩井さんの発想のすごさだと思いました」(同)
時代設定は「現代」スマホも登場、ボイスメモはなし
映画『ストロボ・エッジ』(2015)、『オオカミ少女と黒王子』(2016)、『PとJK』(2017)の廣木隆一監督がメガホンをとり、脚本はドラマ「ラブジェネレーション」(1997)、「神様、もう少しだけ」(1998)、映画『今日、恋をはじめます』(2012)の浅野妙子氏が担当。原作の全8巻にわたって描かれる肉厚な恋愛・家族関係の核となる部分を映画版のストーリーとして再構成する中で、原作者からも様々な質問を受けたという。時代設定は「現代」とし、もちろんコミュニケーションツールとしてスマートフォンも登場するが、そういった細かな要素は「違和感なくアジャストすることができた」と北島プロデューサー。「(原作に対して)『古い』と思われる方も多いかもしれませんが、トレンドの調査のために『109』に行ってみると、カルチャーが一周回ったような感覚で、漫画の光希や遊が着ている服って今も一緒なんですよね。携帯電話に関しても、毎日決まった時間に登下校する高校生で、ましてや同じ屋根の下に住む2人ですから、携帯やLINEがあるかないかは特に毎日の生活に影響しない。現代に携帯が出てきたことによってコミュニケーションを置き換えなければならないという弊害は特にありませんでした」(同)
現代設定であること、そして「あくまでも原作の実写化であり、アニメの実写化ではない」ことを一貫し、アニメのみの要素であった「ボイスメモ」(※光希と遊のメッセージ交換に使われたロボット型のボイスレコーダー。グッズとしても発売され大ヒットした)は今作には登場しない。いわゆる“再現度”は漫画実写化において常に議論が目立つものだが、それよりももっと普遍的な、いつの時代も変わらぬ“胸キュン”と“家族愛”の物語を繊細に描くことで、前述の“2つの層”に共感を訴えていく。
「当時は確かに一緒に住むという発想すらありませんでしたが、今はシェアハウスや知らない人とのシェアルームも普通になってきた。つまり作品自体は昔のものですが、エッセンスとしては古くない。そういった意味では時代性に合っているし、これまで実写化されてこなかったことや、今このタイミングで実写化されることは運命だと思う。そして監督が『食』を大切なテーマとしているのも特徴的で、食を挟んで向こう側に誰かがいるという空気感の作り方が素晴らしい。誰かと食卓を囲むってすごく素敵なことだなと。不倫だとか日々色々と報じられていますが、この『ママレード・ボーイ』はある種純愛だし、1つの家族としての答えであるし…ホームドラマが日本から消えた今こそ、またもう一度戻ってやる意味があると思っています」(同)
映画『ママレード・ボーイ』は4月27日公開。(modelpress編集部)
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