冬のモヤモヤは腸の乱れが原因?ハッピーに過ごす腸活法とは
2023.12.30 17:05
冬になると気持ちが落ち込んでしまう、やる気が出ないという方は多いのではないでしょうか。日照時間が短くなる冬は、精神不調のリスクが高まります。そこで注目したいのが腸と脳の働きが関連するという「脳腸相関」。あんしん漢方の管理栄養士である小原水月さんに、腸内環境を整えて精神不調を予防する方法を伺いました。
精神不調とは
精神不調は、気分が強く沈む、興味や喜びを感じない、食欲の低下、睡眠障害、疲れやすいなどさまざまな症状があらわれ、うつ病がかくれている場合もあります。精神不調の原因
精神不調の原因には「ストレス」があげられます。腸と脳はお互いに影響し合う関係(脳腸相関)にあり、ストレスによって特定の乳酸菌が減少することで腸内細菌のバランス(腸内フローラ)に変化が起こり、精神不調などを引き起こすことがわかりました。(※1)
また、度重なるストレスは、からだのさまざまな器官をコントロールする自律神経のバランスも乱すため、情緒不安定や体調不良などを引き起こす原因となります。(※2)
精神不調を予防するには
精神不調は改善に時間がかかる場合もあるので予防が大切です。ストレスをどうとらえるかというマインドと、脳機能への影響が大きい腸を整える方法をご紹介します。ストレスコーピングをしようストレスコーピングとは、ストレッサー(ストレスの基)に対処する方法のひとつで、 コーピング(coping)には、英語で「対処する・処理する」という意味があります。 ストレスの根本的な原因を見つけて取り除く「問題焦点コーピング」と、ストレッサーに対する自分の考え方を変える「情動焦点コーピング」があります。
たとえば、対人関係がストレッサーならば、不快に感じたことを相手に伝えたり、物理的に相手との関係を遮断したりするなど、直接的にストレッサーに働きかけて問題を解決するのが問題焦点コーピングであり、不快に感じた相手の短所を長所に置き換えるなど、自分の考え方や受け止め方を変えるのが情動焦点コーピングにあたります。
ストレスを感じたときは、このような方法を使って問題解決をはかるのも有効です。
腸活をしよう生活習慣を見直し、腸内環境を整える腸活には2種類あります。
1つは、乳酸菌など人にとってよい働きをする菌を食事(味噌やぬか漬け、納豆、キムチ、ヨーグルトなど)で摂り入れる「プロバイオティクス」です。なお、食事で外から入ってきた菌は1〜3日で体外に排出されてしまうので、継続して食べ続けましょう。
もう1つは、もともと腸内にいる常在菌を活性化させる「プレバイオティクス」です。よい働きをする菌を活性化させるには、消化吸収されずに腸まで届き、菌の栄養源となる食品成分(食物繊維やオリゴ糖、レジスタントスターチ(消化されないでんぷん)など)を摂る必要があります。
プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方を摂ることで効率的な腸活ができ、精神不調の予防に役立つでしょう。
ごはん✕味噌汁の和食が腸活に役立つプロバイオティクスとプレバイオティクスの両方をかね、継続的に食べ続けられる食事は、ごはんと具だくさんのお味噌汁を基本とした和食です。じつは、近年の日本人の食物繊維不足は穀物の摂取量の低下が大きな原因となっています。(※3)
しっかりとごはんを食べることで食物繊維の量を確保できます。また、具だくさん味噌汁を添えると、野菜の食物繊維や、味噌に含まれるオリゴ糖と乳酸菌や麹菌などの有益な菌類を同時に摂ることができますよ。
なお、食事中の肉や魚に多く含まれるたんぱく質や脂質の割合が多くなると、腸内環境が悪化しやすくなります。一汁三菜を意識しておかずが多くなり過ぎないようにするのも、腸内環境を良好に保ち、精神不調を防ぐのに重要なポイントです。
精神不調が出始めた場合は?
一時的な精神不調は誰にでも起こりますが、気になる症状が2週間以上続く場合は以下の方法を検討しましょう。心療内科を受診しよう心療内科や精神科などの専門医の診断と治療を受けることが大切です。早めに対処すると回復も早く、うつ病などの精神疾患への進行を防げます。受診の際は発症時期と症状、原因として思い当たるストレス、受診までの経緯などをメモしておくとスムーズです。漢方薬を試してみよう漢方薬のなかにはメンタル不調の緩和に役立つものがあります。
漢方薬は「気分の落ち込みを改善する」「イライラを鎮める」「血流をよくして自律神経の乱れを整える」「消化・吸収機能を改善してからだの内側から心を元気にする」などのアプローチで根本改善を目指し、心身をより健康な状態に導きます。
精神不調に役立つ漢方薬・加味逍遙散(かみしょうようさん)
疲れやすく、イライラしやすい人に適した漢方薬です。エネルギーの流れを整えて不足した栄養を補うことで精神を安定させ、気分の落ち込みやイライラを鎮めます。
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
動悸や不眠がある人に適した漢方薬です。エネルギーの流れを整えることで、精神を安定させてイライラや抑うつ、不眠などの症状に働きかけます。
漢方薬を服用するときに大切なのは、自分のからだに合ったものを選択することです。
自分のからだに合っていない漢方薬を選んだり、間違った組み合わせで服用したりしてしまうと、効果が薄まったり副作用が生じたりする可能性が高まります。
必ず漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談して、選択するようにしましょう。
からだの内側からしなやかなメンタルに
忙しく心身ともに不安定になりやすい年末年始も、ストレスコーピングを取り入れて、物事を多角的にとらえられるようになると、グーンとラクになりますよ。また、普段の食事を見直したり、漢方薬を取り入れたりしてからだの内側から働きかけることで、心軽やかに。ただし、無理は禁物です。気になる症状が2週間以上続く場合は専門医に相談しましょう。
<参考文献>
※1:Lab BLAINS「腸内細菌叢と脳をつなぐγδT細胞(3月20日 Nature Immunology オンライン掲載論文)」
https://lab-brains.as-1.co.jp/enjoy-learn/2023/03/44676/
※2:厚生労働省「e-ヘルスネット 自律神経失調症」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html
※3:内閣府「日本人における食物繊維摂取量(平均値)の推移」
https://www.cao.go.jp/consumer/history/03/kabusoshiki/other/meeting4/doc/140701_shiryou1-2.pdf
writer / Sheage編集部
※記事の内容(本文・画像など)に関しては、許諾を得て掲載しております。
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