森永邦彦さんが指導しパリでショー 東京都主催のアワード受賞者が挑戦

自らの経験を次世代につなげたい――。東京都が主催する、人材育成のためのコンテスト「ネクストファッションデザイナーオブトウキョウ」(NFDT)と「サステナブルファッションデザインアワード」は、24年の受賞者によるファッションショーを、26年1月のパリ・メンズファッションウィーク中に行う。発表に向けて指導するのは「アンリアレイジ」デザイナーの森永邦彦さん。10年以上、公式スケジュールでショーを発表してきた経験とリソースを生かし、環境を整えた。
プロの人材が参画
当初はルックの制作や演出のアドバイスなど「ショーとして見せられる状態に着地させることが目的だったが、自分が指導する以上、しっかりしたものをやりたいと思った」と森永さん。アンリアレイジのショーを作り上げるチームに協力を仰ぎ、ショーのディレクターやプレスを呼ぶPR、ヘアメイクなどプロの人材に入ってもらう体制を整えた。オフスケジュールで行うものの、仏オートクチュール&モード連盟に公認してもらえるように話を進めている。
11月末には、3回目の講義を実施。13組14人の参加者の意識の共有を図るコンセプトも伝えた。そこで森永さんが強調したのは「自分の外の世界に発表する意識だけではなく、内側にある世界に目を向けること」。外で壁にぶち当たっても、自分の内に世界があることが自信につながる。内面が満たされれば、外の世界につながっていく考え方だ。
素直な表現大事に
参加者の一人、毛利壽乃さんは「これから発展していくための大きなチャンスを頂いているということや、自分の表現が評価(判断)されていくことへの意識、緊張感や責任感も増えた。派手なものを発表する選択肢もあるけれど、自分の中から出てくる素直なものの表現を大事にしたい」と話す。
森永さんはこれまで3年続けてNFDTの審査員も務めている。「応募者が真剣に取り組む姿を見てきて、東京都の支援によって見つけた人材、才能が生きるよう何とかしたいと思った。これまで20年ショーをやってきた経験、人脈を誰かにつないでいきたい気持ちもある。パリでショーに挑戦する人が続くきっかけになれば、ファッション業界として将来への持続的な取り組みになる。力のあるブランドが生まれるには、絶対数を増やすことに尽きる」という。
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