「ウマ娘 シンデレラグレイ」第9話より

<ウマ娘 シンデレラグレイ>88年ダービー、チヨノオー×アルダンの名勝負を再現、オグリが拓いた夢の道にオペラオーが映るエモい演出

2025.06.03 16:00
「ウマ娘 シンデレラグレイ」第9話より

アニメ「ウマ娘 シンデレラグレイ」(毎週日曜昼4:30-5:00、TBS系ほか/ABEMA・ディズニープラス・Hulu・Lemino・TVerほかで配信)の第9話「日本ダービー」が6月1日に放送された。オグリキャップ(CV.高柳知葉)のクラシック出走資格の問題に揺れた注目のエピソード。史実を覆すことにはならなかったが、サクラチヨノオー(CV.野口瑠璃子)とメジロアルダン(CV.会沢紗弥)の名勝負の再現、テイエムオペラオーの後ろ姿という神回が反響を呼んだ。(以下、ネタバレが含まれます)

88年ダービーの再現、執念で差し返すサクラチヨノオー

ついに迎えた日本ダービー。1人が大きく逃げ、二番手集団から後続までが差のない縦に伸びる展開。4コーナーの終わりからサクラチヨノオー、内からメジロアルダン、外からヤエノムテキ(CV.日原あゆみ)が抜け出し、直線で競り合う形になる。残り200メートル、ここで一度はメジロアルダンが差すものの、サクラチヨノオーが意地の差し返しを見せる。そのままわずかクビ差でサクラチヨノオーがゴールを駆け抜け、悲願のダービー制覇を達成した。

ダービーを勝つ。どのウマ娘も抱く目標の中で、執念の底力を発揮したサクラチヨノオーのこの走りは、1988年、史実の競走馬サクラチヨノオーが走った実在のダービーを再現したものだ。内から抜いたメジロアルダンがそのまま置き去りにするかと思われた瞬間、沈まなかったサクラチヨノオーがぐいっと追い上げて、ゴール手前で差し返したのだ。

競馬ファンの間では語り草になっている名勝負。「シンデレラグレイ」でも小柄なサクラチヨノオーが見せる懸命な追い上げと、再び追いすがろうとするメジロアルダンの必死の形相が感動を呼び、SNSには「真面目でひたむき、でもレースになると発揮される闘争心…最高の推しウマ娘です」「リアルで見た興奮がよみがえる神回だった」と、魅入った視聴者のコメントがあふれていた。

オグリキャップ、テイエムオペラオー、マルゼンスキーのクラシックエピソード

結局、クラシック登録問題の渦中にいたオグリキャップは、シンボリルドルフ(CV.田所あずさ)の尽力も実らずダービーに出ることは叶わなかった。しかし、この一件がURAの中央諮問委員会を動かし、ルール改正を約束させることになる。

このとき、「いつか私たちが目にする夢のために」とシンボリルドルフが紡いだ言葉とともに後ろ姿が映ったウマ娘は、テイエムオペラオー。史実ではオグリキャップの一件で整備された追加登録制度を使って皐月賞に出走し、優勝した馬である。オグリキャップ自身は叶わなかったが、その存在はJRAのルールを変え、後続の夢をつなぐ道となったのだ。

また、ダービー出走にまつわることでは、マルゼンスキー(CV.Lynn)にも悔しい思い出があった。「大外枠だってよかったのに…」という彼女のつぶやきは、史実の競走馬マルゼンスキーの手綱を取った中野渡清一騎手の言葉から引用されたもの。1977年当時、外国からの持ち込み馬(マルゼンスキー)、外国産馬は出走不可だったクラシックレースに対し、中野騎手は「大外枠でもいい。賞金もいらない。他の馬の邪魔もしない。だから日本ダービーに出させてくれ」と、懇願したという。“無敗のスーパーカー”マルゼンスキーの強さを知らしめる逸話である。

ふとしたワンシーンや風景など、作中にはさまざまな形で史実にまつわる出来事が散りばめられている。こうしたところが「シンデレラグレイ」をはじめ、「ウマ娘」シリーズが競馬ファンにも広く愛される要因になっているのだろう。

“白い稲妻“タマモクロス、オグリとの対決は近い

ダービーを終え、これで「中央編入篇」は完結。次回からは第二章「白い稲妻篇」がスタートする。ここで登場するのが、本作のもう1人の芦毛のウマ娘、タマモクロス(CV.大空直美)だ。冒頭で描かれた春の天皇賞では、稲妻を放ちながら激走。他を寄せつけない電光石火の走りで圧勝した。

父シービークロスの異名“白い稲妻”を継いだタマモクロスは、史実でオグリキャップの最大の壁になった馬。本作において2人のライバル関係がどのように描かれていくのか、非常に楽しみなところである。

放送後のSNSには、「ついに、ついにやで!」「タマちゃんカッコよすぎるで!」「タマちゃんきたぁ!」など、待ちわびていたファンの歓喜が集まる。また、「第一章完結回にふさわしい、見事に仕上がった回でした」「あんなに頑張ったのに。と報われなかったとしても続く誰かのためにはなるかもしれない。いい話だった」など、神回となった今話にはさまざまな感想が寄せられている。

◆文=鈴木康道

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