漫画『10歳で性被害にあいました 誰にも相談できない』に込められた「100点の行動はとれない」現実と葛藤
小学4年生のなるみが、放送委員会で出会った6年生のゲンシから性被害を受けるが、なかなか先生にも親にも、友達にも相談できない……。大人になっても少女時代のトラウマを抱えていた主人公が、親となって過去と向き合う姿を描いた衝撃のコミック『10歳で性被害にあいました 誰にも相談できない』。自身の経験を基に本作を描いたという著者のちくまサラ氏に、センシティブなテーマに取り組む上で気を付けたことや、今年7月から配信された続編のテーマについてなどを聞いた。(前後編の後編)
――もともとは自身のブログに描いた「10歳で性被害に遭った話」という実録漫画がきっかけでフィクションストーリーを加えた『10歳で性被害にあいました 誰にも相談できない』ですが、編集者の方が入ることによって、絵柄なども含めて、作品が変化した部分はありますか。
ちくま ブログでは生々しい表現にならないように動物の絵で描いたのですが、ちゃんとした絵で描くことになりました。主人公だけではなく周りの大人たちの心境の変化も描きたかったので、母親や先生のキャラクターは特に気をつけて考えました。
――フィクションストーリーを加えるにあたって、気を付けたことはありますか。
ちくま 話の途中から私の体験とは違うストーリーになっていくのですが、分岐しても違和感がないように気をつけました。
――ご自身の視点だけではなく、家族、教師、加害者側など、様々な視点が描かれていますが、どのように個々の心情を考えていったのでしょうか。
ちくま それぞれ事情があり、考えながら日々を生きているんだということを意識しながら考えていきました。私自身が大勢の人と関わりながら大人になり、親になったことで、いろいろな物の見方ができるようになったのだと思います。
――ストーリーに引き込まれて一気に読ませていただいたのですが、デリケートなテーマに、エンタメ要素を入れる難しさはありましたか。
ちくま 元の体験があるため、特に難しさは感じませんでした。自分はこうだったけど、もしこうなったらどうなるかな、みたいな想像をしながら考えました。
――トラウマを抱えたなるみは、大人になり母になりと成長していく中で、人のために声をあげたり、自身の母に思いを寄せるようになります。
ちくま なるみは繊細で正義感が強く、思慮深い。半面、年齢相応な部分もある。小学生当時の私とかぶる部分が多いんです。正義感が強いと割を食うことも多く、その結果、私はスレた大人になってしまいましたが……。なるみはスレずにまっすぐなまま大人になったらこうなるだろうなと考えた女性です(笑)。
――ちくまさん自身、過去のトラウマをどのように乗り越えたのでしょうか。
ちくま これといったきっかけはなく、少しずつ平気になっていった感じです。私は家に父親がほとんどいない状態で育ったので、なぜ同じクラスの男子は放送当番に来ないのか? なぜこの6年生は体を触って来るのか? といったことが全く理解できずに、男性というのは話の通じない得体のしれない生き物だと思っていました。それが中学、高校と年齢があがり、アルバイトなどを通じて、ちゃんとした大人の男性と関わることも増えました。世の中にはマトモな男性の方が多数だということを知って、普通に男性と接することができるようになっていきました。
――単行本の反響はいかがだったでしょうか。
ちくま スカッとやり返したり、悪者退治のようなお話を期待していた方からは、モヤモヤが残るという感想をいただくことが多かったです。ただ、私が伝えたいのはまさにそこで、現実ではその場その場で100点の行動をとることは難しいこと。だからこそ、自分や周りの人が似たような状況になった時に、自分はどう行動するか? という点を考えるきっかけになればうれしいです。
――続編では、ネットを通じて知り合った自称マンガ家のけの子に騙されて、盗撮に走ってしまう中学2年生の光里を描かれていますが、どのようにアイデアが生まれたのでしょうか。
ちくま ここ数年あまりにも盗撮のニュースを目にすることが多く、特に学生の盗撮が増えている印象を受けました。そこで、あえて女の子が盗撮にハマってしまうというテーマはどうかなと考えました。私自身、過去に盗撮現場を目撃したことがあります。それはまるで「ゲームを攻略していく」ような動作で、ただただ衝撃でした。犯人は逃げてしまったのですが、とても強烈な記憶で忘れられません。盗撮は性欲だけで起きるものではない。依存の仕組みにハマってしまえば、誰でも抜けられなくなる可能性があるものだということを伝えたくてこのお話を考えました。
――続編でも親と子の関係性が重要なテーマになっていますが、小学4年生がなるみのような性被害に遭った時、母親のみどりはどのように接するのが良かったと思いますか。
ちくま 普段から親と性に関する話ができるかどうかは、かなり重要なんじゃないかと考えています。ストーリーに出てくる、おりものの悩みを笑い飛ばされたのがきっかけで、性に関する相談ができなくなったというのは私の実体験です。親が性の話題を恥ずかしがったり茶化したりせず、普段から性被害のニュースについて話し合ったりして、話しやすい環境をあらかじめ作っておくことが大事だと思います。そうしたら子どもが何か変だな? と感じる出来事があっても、親に早い段階で相談しやすくなるんじゃないかと考えます。たとえ被害が起こってしまったとしても、しっかりと子どもと向き合い、おいてけぼりにしないことが大事だと思います。
『10歳で性被害にあいました 誰にも相談できない』好評発売中
著者:ちくまサラ出版社:KADOKAWA (2024/12/5)
公式ホームページ:https://www.kadokawa.co.jp/series/500784/X:https://x.com/chikumababy
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