

“憎しみと愛”が入り乱れる任侠BL『あなたを殺す旅』――和田雅成×髙橋大翔が語る男の色気
7年前の抗争で起きたある事件を境に、若頭の片岡に対して強い憎しみを抱く組員の小田島。復讐心を胸に片岡と旅に出た小田島だったが、次第に片岡の人間的な魅力に惹かれていく……。憎しみと愛情が交錯する、危うく切ない任侠ラブストーリーとして話題のドラマ『あなたを殺す旅』が絶賛配信中だ。本作でW主演を務める和田雅成と髙橋大翔に、本作の撮影エピソードやお互いの印象などを中心に話を聞いた。
――ドラマ『あなたを殺す旅』はBLコミックが原作ですが、任侠ラブストーリーという設定を聞いた時、どう思われましたか。
和田 純粋に面白いなと思いました。僕も今年9月で34歳になって、年齢的に王道のBL作品とはご縁がないと思っていたんです。でも今回の設定を聞いて、「これなら行ける!」と。BLものに今までとは違った風を吹かせられるんじゃないかと思って、挑戦させていただきました。
髙橋 個人的に任侠ものもBLものも、どちらも出たいジャンルだったんです。それが合体しているというところでワクワクしました。ただ任侠は残酷で怖い印象、それに対してBLは柔らかい印象があったので、どう観る人に受け取られるのだろうという不安も感じました。
――和田さんもBL作品は初めての出演ですか?
和田 舞台で男性とのキスシーンを演じたことはありますが、BLと銘打った作品は初めてでした。ただ僕の演じた片岡は女性とも関係しますし、結果的に愛の矛先が男性だっただけで、それほどBLは意識しませんでした。
髙橋 あまりBLという感覚はなかったですよね。任侠ものという意識で演じている時にラブシーンがあって、「あ、そうだった。ピュアにならないと」みたいな(笑)。だからこそ演じやすかったですね。
和田 BL作品の経験がなかったので、視聴者の方々がどういうものを求めているのか分からない部分もあったんですが、そこはプロデューサーをはじめとしたスタッフの方々がプロフェッショナルなので、安心して任せて演じることができました。
――初回からお二人のラブシーンが車内で繰り広げられますが、どのように撮影は行われたのですか。
和田 自由演技でした。カメラも自由自在に動くので、好きなように動いてほしいと言われて、スポーツみたいでしたね。
髙橋 カメラマンさんも「自由にやって。こっちもついていくから」と近い距離でカメラを回しているので、汗だくになっていましたよね(笑)。
和田 「この角度が欲しい」といった指示はあったけど、リハーサルもなかったしね。お互いの呼吸を感じながら演じていたのでリアルでした。
髙橋 レスリングに近いものがありました。
――初めて脚本を読んだ時の印象はいかがでしたか。
和田 こんなにト書きが多い脚本を読んだのは初めてで、ついつい文字や段取りを追ってしまって、「これに縛られたらどうしよう」という懸念がありました。でも上條監督に相談したら、「ベースを変えなければ、他はお任せします」とのことだったので、あくまでト書きを指針として捉えていいんだと安心しました。
髙橋 表情まで細かく書かれていることに驚きました。たとえば僕の演じた小田島がクールな表情を貫いていたところに、「ここで初めて笑う」と具体的に書いてあって。僕は何度も原作コミックを読み返したのですが、気持ちを読み取るのが難しいところもあるんです。そこを脚本では細かく書いてくれていたので分かりやすかったです。それをどのように視聴者の方に伝えるかは、じっくりと話し合いました。
和田 浅井先生が絵の中に込めた思いを汲み取りながら、脚本と照らし合わせると理解も深まって、こういう感情なんだと表情や佇まいを意識することができるんですよね。
髙橋 小田島はきりっとした表情が特徴的で、危険な雰囲気は原作を参考にすることが多かったです。
――ヤクザを演じる上で動きや表情で意識したことはありますか。
和田 僕は普段の生活から、いつ誰かが刺しに来ても対応できるようにアンテナを張り巡らせているんです。エレベーター内で後ろに人がいる時も、後ろに目があるような状態にしていますから(笑)。片岡も絶対にそういうタイプなんです。だから敵に急襲されても、即座に反応できる。そんな片岡がフェリーで刺されてしまいます。それは小田島に気を許したため、呆けた瞬間があったからなんです。僕も日頃から危険と隣り合わせな気持ちでいるので、いつもの片岡と、油断した時の片岡の違いを際立たせるのに活かせたと思います。
髙橋 逆に普段の僕は気が抜けていて、いつ刺されてもいいと思っているタイプなんですけど(笑)。車などを出た瞬間に周囲を見渡して不審人物がいないかを確かめるとか、ちょっとやそっとじゃないと動じない部分などは、いろんなヤクザ映画を観て研究しました。
――たとえば、どの作品を参考にしたのですか。
髙橋 日本映画では『仁義なき戦い』、アメリカ映画だと『スカーフェイス』や『ゴッドファーザー』です。
和田 俺も観たわ~。
髙橋 『仁義なき戦い』に出演している菅原文太さんの声などを参考にしながら、「ヤクザってこうだよな」「これぐらいやらなきゃダメだな」とは思っていましたけど、そっちに寄り過ぎても、このドラマには合わないのでバランスを考えました。
――和田さんも役作りの上で参考にした作品はありますか。
和田 僕は以前からヤクザ映画はたくさん観ていましたし、北野武監督の『アウトレイジ』も大好きです。ただ一番参考になったのは、上條監督から「ファン・ジョンミンの演じたチョン・チョンを、片岡を演じるにあたって観てほしい」と言われた韓国映画の『新しき世界』です。チョン・チョンはヤクザヤクザしてなくて、ちょっと外したようなところが多くて、「片岡に欲しいのはこういう色なんだ」と明確になりました。
――お二人は『あなたを殺す旅』が初共演になりますが、すぐに打ち解けることはできましたか。
和田 実はクランクインの前に1ヶ月くらい本読みの期間をいただいたんです。
髙橋 基本的に二人での本読みで、ときどき朝日役の堀 海登さんが参加されていました。
――ドラマで本読み期間がそれだけあるって贅沢ですね。
髙橋 本当にありがたかったです。上條監督の意向でもあったんですが、いつもは不安な気持ちもありながらクランクインまでを過ごすことが多いんです。でも今回はある程度、片岡と小田島の関係性を形にした上で撮影に臨めたので、そこまで不安要素はなかったです。
和田 本読みで作り上げたものをベースにやっていけば、あとは現場に乗せていけばいいからね。
髙橋 役を掴むための読み合わせというよりも、自分たちの空気感をすり合わせる読み合わせでしたね。
――その一カ月で仲を深めたということでしょうか。
髙橋 そういうわけではなかったです。
和田 なかったよね。
髙橋 僕は最初から和田さんとの距離を縮めようとは考えていませんでした。一緒に旅をするまで、小田島は片岡に対して復讐心を抱いていたので、最初はピリッとした空気感のほうが良いと思ったんです。
――お互いの第一印象はいかがでしたか。
和田 今話していたように髙橋くんが仲良くならなくてもいいというスタイルで本読みに臨んでいて。その真意も伝わってきたので、クールだなと思いつつ、役に真摯な人だなと感じました。
髙橋 かっこいい人って第一印象はキザに見えますけど、和田さんは最初から暖かい人だなと思いました。物腰が柔らかくて、年齢差を感じさせないので接しやすかったですね。
――撮影を進めていくうちに関係性の変化はありましたか。
和田 撮影を通して、お互いが大切にしているところが感じられて、言葉じゃなくて芝居で相手に対する気持ちを乗せていくことができました。
髙橋 芝居をしながら、片岡と小田島みたいな関係性で、僕たち自身も徐々につながっていった感覚があります。
――それぞれが演じたキャラクターの魅力はどこにあると思いますか。
和田 片岡は本音がどこにあるのか分からないミステリアスさと、何も語っていないのについていきたくなる兄貴的な部分が最大の魅力だと思います。初めて原作コミックを読んだ時も、もっと片岡のことを知りたいなと思いました。
――片岡の魅力を出すために意識したことはありますか。
和田 僕は生きているスピードが速くて、すぐに話したくなってしまうほうなんですが、片岡は語らないかっこよさがあるので、生きているスピードを緩めました。僕が100だとしたら、片岡は60から70くらいのイメージで、感情の動かし方やセリフのスピードを抑えました。
髙橋 小田島は寡黙なのでクールな印象を持たれると思うんですけど、心の奥底には真の優しさがあるんですよね。なぜ片岡を殺そうと思っているかといえば、朝日のためなんです。でも、それがパッと見の印象で出てはいけないので、クールで仕事人なところを佇まいで見せることを意識しました。
――小田島は劇中でどんどん変化していきます。
髙橋 そうですね。特に金髪時代の小田島は、朝日に出会う前、朝日と出会った後、そして朝日を失った後と3つの時期に分けられるんですよね。朝日に会う前は感情のないロボットで、朝日に出会って人の暖かさを知って、朝日を失った後はまたロボットに戻る。だから朝日と一緒にいる金髪の時期を、できるだけ暖かく優しい人間でいるように心がけました。そして片岡と出会って、また大きく変化していくんです。
――組長が亡くなって組員が一堂に会する葬式のシーンはいかがでしたか
髙橋 シンプルに怖かったです(笑)。
和田 あれだけ大勢のキャストの方が集まって、コワモテばかりで壮観でした。
髙橋 20〜30人ぐらいいましたよね。
和田 それまで二人のシーンが多かったので新鮮でしたし、それぞれのキャラクターが、それぞれの人生を生きようとしている感じも素敵でした。
――完成したドラマをご覧になって、どんな感想を持ちましたか。
和田 映像もクオリティも高いですし、すごく素敵な作品に仕上がっていたので、大勢の人に広がってほしいなと思いました。
髙橋 僕は反省点が浮かび上がるので、自分の出ている作品を客観的に観ることができないんですが、『あなたを殺す旅』楽しめました。映像も役者も素敵で、主題歌も劇中の曲もかっこいい。この作品に出られて良かったと思いました。
――最後にお二人が男惚れするのは、どういう男性ですか。
髙橋 自由に生きている人です。本当に自由な人って、やりたいことをやっているように見えて、ちゃんとやることは粛々とやっているんですよね。やりたくないことから逃げるのではなく、やった上でしがらみに縛られず、周りを気にせず、自分が信じたものを貫く。自分の価値観に従って生きている人はかっこいいなと思います。
和田 本気で何かを愛せる人ですね。人でもモノでも、やりたいことでも、本気でそれに向き合っている人はかっこいいです。たとえ、それ以外のものを犠牲にしていたとしても、「本気でこれが好きなんだろうな」と感じた瞬間、素敵だなと思います。僕はたくさんの舞台をやらせていただいていて、舞台を愛していますけど、そういう人を見た時に自分も変わってくるんです。その人に並びたいというよりも、その人と一緒にものづくりをしたくなるんですよね。
『あなたを殺す旅』FODにて毎週金曜日20時より最新話を独占配信
出演:和田雅成 髙橋大翔遊屋慎太郎 堀 海登 寺中敬輔 中林登生工藤俊作 小沢真珠
原作:浅井 西「あなたを殺す旅」(徳間書店Charaコミックス/コルク)主題歌:山本大斗「徒然 - Tsurezure」
監督:上條大輔脚本:高橋ナツコ音楽:鷹尾まさき
AUTHOR 猪口貴裕
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