

日本の国犬、「柴犬ではない」と判明 正解の「狆」回答できたのは1割未満
日本の国犬を、6割近くの人が「柴犬」と考えていることが判明。実は、皇族とも縁の深い「狆」が有力候補であることをご存知だろうか。
「国旗」や「国歌」、「国技」といった具合に、各国を象徴するのが「国○」と呼ばれる存在。今回は、多くの人が誤解している「日本を象徴する生き物」について紹介したい。
日本の国犬、どの犬種だと思う?

日本の「国花」と言えば、桜に菊。それでは日本を象徴する犬、つまり「国犬」とされる犬種をご存知だろうか。
Sirabee編集部では以前、全国10~60代の男女653名を対象としたアンケートにて、「日本の国犬」に関する3択のアンケート調査を実施している。
その結果、最も多い回答は「柴(犬)」(56.7%)、次いで「秋田犬」(34.2%)、そして最も少なかったのが「狆」(9.1%)と判明したのだ。

今や世界で人気を博し、名実ともに日本を代表する犬種と言える柴犬だが、じつは「日本の国犬」の有力候補は秋田犬、および狆なのだ。
1300年前に渡来した狆の祖先
中でも「狆が日本の国犬である」という意見は根強い。しかし、先のアンケートを見ても分かるように「狆にあまり馴染みがない」という読者は少なくないだろう。
柴犬や秋田犬といった犬種とは大きくかけ離れた、どちらかと言えば「チワワ」や「ペキニーズ」を連想させる外見を受け、そもそも「狆が日本原産であると知らなかった」という人は多いのでは。
純粋犬種の犬籍登録や有能・優良犬の普及、畜犬の飼育の指導奨励、動物愛護精神の高揚のために活動し、様々な協議会を通じて「犬の素晴らしさ」「犬と暮らす楽しさ」を広く伝える国際的愛犬団体「一般社団法人ジャパンケネルクラブ」(JKC)公式サイトでは、「古い文献によると732年に韓国(新羅時代・377年~935年)から日本の宮廷に献上された犬が狆の祖先であろうと言われている」と、説明されていた。
また「この後約100年の間に数多くの狆が渡来している。又、日本により中国(唐時代・618年~910年)並びに北朝鮮(渤海時代・698年~926年)に派遣された使者が、直接日本に持ちかえったことが文献に記述されている」とのことで、徐々にその数を増やしていったことが伺える。
そして、江戸時代以降は「徳川綱吉時代(1680年~1709年)には江戸城で室内愛玩犬として飼育された。1613年には英国人キャプテン・サーリスにより英国に持ち帰られ、更に1853年には米国人ペリー提督により狆数頭が持ち帰られ、その内の2頭がビクトリア英国女王に献上された。 1868年以降、我が国の上流社会の婦人層で抱き犬として愛玩され、今日では家庭愛玩犬として広く飼育されている」といった具合に、国際的な知名度をも上昇させていったのだ。
(引用元:一般社団法人ジャパンケネルクラブ 犬種紹介 「狆」)
そこで今回は、1959年(昭和34年)設立の伝統を持つ組織「日本狆クラブ」に、詳しい話を聞いてみることに。すると、狆が「日本の国犬」とされる、納得の背景が多数明らかになったのだ。
日本狆クラブの初代会長、とんでもない大物だった...
日本狆クラブの初代会長は、旧皇族・東久邇盛厚(盛厚王)氏。
そして2代目会長は、久邇宮朝彦親王の三女・安喜子女王を母に持つ、旧岡山藩池田家第15代当主・池田宣政氏。
その後を継ぐ3代目会長は宣政氏の息子であり、昭和天皇と香淳皇后の第4皇女・池田厚子(順宮厚子内親王)氏の夫・池田隆政氏である。
これらの事実から分かるように、じつは狆という犬種は、日本の皇族と深い繋がりがあったのだ。
日本狆クラブの担当者は「長らく天皇家・皇族に飼われていたので、『国犬』と呼ばれているのだと思われます」「狆が天皇陛下の御簾の前の座布団の上に静かに座っていることから、『鎮座』という言葉は『狆が座っている様子にかけている』とも言われています」と、説明していた。
ちなみに、狆という名前は天皇の一人称「朕」にかかっているという説もあるそう。
現在では犬を飼育する場所は「室内」が常識となっているが、そうした意識が高まり出したのはここ20年ほどの話。しかし、さらに大昔の400年前から「室内犬」として愛されてきたのが狆なのだ。
幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師の楊洲周延(ようしゅう・ちかのぶ)が、江戸城大奥の年中行事や奥女中たちの生活を描いた『千代田之(の)大奥』シリーズには「狆のくるひ」という作品が存在し、豪華な薬玉にじゃれつく2匹の狆が描かれている。
日本狆クラブの担当者も「江戸時代に室内(畳の上)で飼われていた犬は、狆だけです」と、強調していた。
そんな背景もあり、歴史ドラマの作品では狆がしばしば登場している。日本狆クラブではこうした演出に多数協力しており、担当者は「私が飼っていた初代の狆はドラマ『坂の上の雲』で松たか子さんに抱かれ、3代目の狆は2023年のドラマ『大奥』で仲里依紗さんに抱かれ、撮影に協力しました」と、笑顔で語ってくれた。
日本人に長年愛される狆、その魅力は...
日本狆クラブは「戦後の狆の保存と普及・発展」を目的に設立された団体。もちろん、会員は狆の愛好家たちが集まっている(狆を飼っていなくても入会可能。動物を飼えなくなった高齢者も、そのまま在籍している)。
そこで続いては、そんな狆の魅力について同クラブの会員たちに話を聞いてみることに。
すると、殆ど全てのオーナーが口を揃えて「体臭が少ない(ほぼない)」「気性が穏やかな子が多い」という点を挙げたのだ。
会員Aさんは「『陸の金魚』と言われている姿は優美で、毛並みは美しく、愛くるしい目をして静かに鎮座している狆にメロメロです!」「お迎えして一番驚いたのは、体臭がほぼ無い点です。手入れを怠れば、耳や口臭は少しはありますが、洋犬のワンちゃんと比較すると、圧倒的に体臭が少ないです」と、その魅力を語る。
「ダブルコート」という被毛の特性上、抜け毛は多くなってしまうが、「柔らかいので、パグちゃん達のように絨毯に刺さって取りにくい...といったこともありません」とのこと。
「頭数が少ないためか、狆の飼い主さんに会うと、お互い必ず声をかけてしまいます。私たちは『狆磁石』と呼んでいます」と、微笑ましいコメントを寄せてくれた。
また、会員Bさんは「白と黒のスッキリした配色は、白黒をつける、紋服の黒と白、鯨幕の色などを連想させ、日本人の心と好みに合うのではないでしょうか。大昔から日本人にかわいがられてきたので、現代においても『かわいがられて当たり前』というような、甘え上手のDNAが組み込まれていると思います」と、分析する。
50年近く狆を飼い続けているが、「他の犬を飼おうと思ったことはありません」とのことで、完全に「狆一筋」であることが窺えた。
日本人にとって「心の原風景」のような存在と言える狆。そのかわいらしい姿を見て、遺伝子レベルでの「懐かしさ」を感じた経験がある人も多いのではないだろうか。
執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2025年6月6日~2025年6月11日 対象:全国10代~60代男女653名 (有効回答数)
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