

玉置玲央、仕事で大事にしているのは「選んだ選択肢を後悔しない」こと 思い入れ深い再演作へ見せる意気込み

昨年の大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合)藤原道兼役で注目を集め、日曜劇場「キャスター」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系)にも出演中の玉置玲央が、間もなく5月17日(土)より開幕する舞台『Take Me Out』2025に出演する。メジャーリーグのスター選手がゲイだとカミングアウトしたことをきっかけに、ロッカールームで巻き起こる様々な人間模様を描く本作。2018年の上演から続投で、物語の語り手となるメイソン・マーゼック役を演じる玉置に、作品や役への思いや、幅広いフィールドで活躍する中で、俳優として大切にしていることを語ってもらった。
俳優業に対する意識が変わったきっかけの作品
――キャスト発表の際、「メイソンという役が自分の演劇人生に於いて重要な役になっている」とコメントされていました。それはなぜですか?
初演のクリエイションがすごくよくて。座組もよかったし、相手役(ダレン・レミング)を演じた章平とのクリエイションも思い出に残っているし、手ごたえがあったんです。ちょうどそのくらいから、自分の中での俳優業に対する意識も変わっていった時期だったので、すごく印象深い作品です。
――手ごたえというのは、観客の反応から?
いや、というよりも、座組作りがうまくいったということですね。座長だったので。別に座長として何かやらなきゃって思っていたわけじゃないですけど、メイソンは(物語の舞台となる野球チームの)ロッカールームの外の人間なので、座組の自分の立場と、作品内の自分の立場がいい感じにリンクして、お芝居や座組の全体を見ることができて。結構いい雰囲気になったんじゃないかなって思ったんです。それが楽しかった。保護者感というか。
――なるほど。先程ご自身の役者としての意識も変わったとおっしゃっていましたが、どのような点が変化しましたか?
(昨年出演した)『朝日のような夕日をつれて2024』もそうなんですが、ワントップというか、圧倒的な主役の人がいてお芝居を作るやり方ももちろんあるんですけど、僕はあんまり得意じゃないし、好きじゃなくて。それよりも、皆で一丸となって素敵な作品を作るっていうのが好みなので、それがうまくいったのが前回2018年の『Take Me Out』でした。こういうことってやっぱりできるんだなと思って、そこからそういう意識になっていったんじゃないかなって気がしますね。
――2018年の公演で思い出に残っていることは?
皆で明治神宮に野球をしに行ったんです。その後銭湯に行って、飯食ってっていう。本当にチームメイトって感じで良かったですね。なんか皆でご飯行くことが多かったな。ラムしゃぶも行きましたね。やんちゃな、血気盛んな人が多くて。僕は年齢も上の方だったので、保護者として目を光らせるのが大変でした(笑)。
――今回のメンバーはいかがですか?
まだ未知数ですね(取材は稽古前に実施)。とはいえ再演・再再演を重ねるってすごく意味があることだと思っていて。この作品に新しい風を吹かせたいと思って集められたメンバーだと思うので、不安とかは全然なくて、今回はどうなるんだろう?って感じてます。
――演出の藤田俊太郎さんとのクリエイションは久しぶりですが、いかがですか?
フライヤー撮影の時点で「もう僕の中にはビジョンが見えてます」って言ってたんで、何の不安もなく、期待しかないって感じで。すごく優しい人なんです。座組全員、絶対誰一人取りこぼさないように演出をつけてくださるし、稽古の進め方もそうですし。それにまた触れられるのは嬉しいなと思いつつ、僕も前回から7年間いろんなことをやらせていただいて今に至っているので、藤田くんとも新しい邂逅みたいなものがあるといいなと思います。
俳優たち自身と役がオーバーラップする
――「再演・再再演を重ねることには意味がある」とおっしゃいましたが、それが実現しているのはやはりこの『Take Me Out』という作品自体の魅力によるものかと思います。演じられるご本人としては、どのような点に面白さを感じていますか?
この作品は年齢や人種の違う多種多様な人間が、メジャーリーグというベースの上でロッカールームに集められて、ある種逃げ場のない中でぶつかり合う物語ですが、様々な出自の俳優たちが集まってこのお芝居をやっていくのがすごく面白いなと思います。栗山民也さんが「演劇は記憶の再生装置である」とよくおっしゃるのが、この歳になって身に染みてわかるんですけど、僕は役が憑依するとか、スイッチを切り替えてお芝居をするのはあんまり好きじゃなくて、日常の地続きにお芝居があるのが好きなんです。前作のときも演劇の方法論が違う人たちが集まっているからぶつかることもあって。選手たちが立ち向かうもの(試合)が必ず決まってるというのも、僕らの本番に向かう流れと同じで、俳優たち自身と役がオーバーラップしていって、板の上にそれが立ち上がるのが、すごく面白いところだと思いますね。
――メイソンという役柄については今回どのようにアプローチしていきますか?
今回、僕らのレジェンドチームに対して、ルーキーチームもあるんです。前回2018年のときに、メイソンのモデルになった方の写真を見せてもらったんですけど、こんなに線は細くないし、こんなに人殺しそうな顔してないし(笑)、端的に言えば、(ルーキーチームでメイソンを演じる)富岡晃一郎の方がビジュアル的にメイソン像に近くて、多分キャラクターとしても近いんですよ。だから、俺がトミーだったらよかったのにな…って思ってるんですけど(笑)。羨ましい部分があるんですよね。こういう人がメイソンを演じたら、もっとキラキラするし、この物語の救いになるなって思っていた部分を、もしかしたらトミーはできるんじゃないかなって思ってて。
でも僕は前回より実年齢はメイソンに近くなってるし、僕こそがメイソンだとも思ってるから、もう1回演じる意味を見出さなきゃなって思ってます。僕には僕の、僕にしかできないメイソン像を持ってるので。それに幸いなことに僕には章平っていう相方がいて、それでメイソンは出来上がるって思ってるんで、また違った文脈で魅力的なメイソンを作れると思います。
――公演に向けて楽しみなことはありますか?
前回の7年前より、自分を観てくださるお客様の数が増えたと思うので、その方たちにどう観てもらえるのか未知数な部分があって、その出会いが楽しみですね。
――昨年出演された『朝日のような夕日をつれて2024』も前回から10年ぶり、8度目の再演でした。再演作に出演されるとき、初演と意識が変わるところはありますか?
それはあんまりないかもしれないです。確かにここ最近自分の中で思い入れの強い作品の再演が続いて気合いが入ってはいるんですけど、前回に悔いはないので、当たり前ですけど前回よりいいものにするぞという思いで。でも、もう一個作品を膨らませる、豊かにできる可能性があるっていうことは意識するようにしてるかもしれません。
選んだ選択肢を後悔しないこと
――ドラマ、映画、舞台と、フィールドを問わず活躍されている印象があります。2025年はどんな年にしていきたいですか?
…何もしない年にしたいな(笑)。いや、でも本当にありがたいことに、今までの人生で本当にやりたくない仕事ってないんです。やりたいことだけやって今まで来れてるから、2025年度も同じく、自分の心に嘘をつかず、無理もせず、頂けるお仕事を、結果やりたい、やってよかったって思える仕事にしていきたいと思っていますが、内心働きたくないなと(笑)。
――今年3月には自身初のフォトエッセイ「では、後ほど」も発売されました。
結構赤裸々なことを書いたなって思ってます。俳優をやる上で、大袈裟ですけど神秘性がないと面白くないなって思って、絶対触れないようにしてた部分をあけすけに書いたりもしたので、そこを楽しんでもらえたらいいなと思います。冒頭に「このエッセイは僕の説明書です」みたいな文章を書いたんですけど、本当にその通りで。これで引く人がいたらそれで構わないし、より楽しんでくれる人は楽しんでほしい。「これが僕です」って書いたつもりです。
――最後に先程、頂いたお仕事をやってよかったと思えるものにしていくとおっしゃっていましたが、この意識は俳優だけでなく様々なお仕事の方に通ずるポイントかと思います。働く上で、どのように心がければそれを実現できると思いますか?
自分が心がけていることなんですけど、選んだ選択肢を後悔しないこと。人生において、岐路に立たされて大きな選択をしなきゃいけないときってたくさんあると思うんです。後から「あっちの方がよかったかな」とか、「別の選択肢を選んでたらどうなってたかな」とか想像しがちだけど、もうそんなこと言ってもしょうがない。そのとき自分がいっぱい考えて、人に相談もして出した答えだったら、もうそれを100%信じて、それが一番正しかったんだと思って突き進むようにしてます。自分が選んだことなんだから、自分がそれを誇らないと。
それこそ僕は人に見られる仕事なので、後悔したまま板の上に立ったり、カメラに撮られたりすると、そういうものがなんとなく出ちゃうって思ってる節があって。実際はわからないのかもしれませんけど。だから、そこに嘘をつかないようにすることを心がけています。
■撮影/市川秀明
ヘアメイク/武井優子
スタイリスト/中村剛(ハレテル)
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