

「孤独のグルメ」原作者・久住昌之が語るシリーズの未来「それぞれの孤独のグルメ」で見えた「地方」という新境地

2012年1月、深夜帯のドラマとしてスタートした「孤独のグルメ」。松重豊が演じる輸入雑貨商を営む“井之頭五郎”が一人で食事を楽しむという内容で、大胆な食べっぷりや食べた感想が漏れる“心の声”などで話題を集めて人気シリーズに。2025年1月には松重が主演のみならず、監督・脚本(共作)を務めた映画「劇場版 孤独のグルメ」も公開されるなど“孤独のグルメ”ワールドが拡大中だ。
そんな「孤独のグルメ」の特別編として「それぞれの孤独のグルメ」が2024年10月から12月にかけて放送された。井之頭五郎だけではなく、各話に世代や職業の異なる主人公たちが登場し、自由気ままに腹を満たす。2025年4月23日にDVD-BOXが発売されることを記念して、「孤独のグルメ」原作者の久住昌之氏にインタビューをおこなった。
放送が始まった時のテレビ欄に書かれていたのが「(新)孤独」でした(笑)
――ドラマが始まったのが2012年1月ということで、もう13年くらいたちますが、最初の頃の番組への反響はどんな感じでしたか?
最初の頃はあんまり反響はなかったですね。深夜帯で視聴率が2%に満たないし、放送が始まった時のテレビ欄に書かれていたのが「(新)孤独」でした(笑)。深夜帯だから文字数の都合で削られちゃって、どんな番組なのか分からない表記でしたし…。それがよく映画化まで来たと思いますよ。
――シリーズ化もされていますし、シーズンごとに注目度も高くなっていった感じはあると思いますが、大きな変化というとどの時期ですかね?
コロナ禍で年齢の高い人が見てくださるようになった印象はあります。あまり外出ができない時期に在宅時間が長くなって、「孤独のグルメ」の見逃し配信や過去シーズンの配信を見ていただいたのかと。そのあたりで見てくれてる層も広がったんじゃないかな…と思いますね。
3月の下旬に佐賀県の鹿島という酒蔵がたくさんあるところで演奏したのですが、何万人と集まっていただいて。その時に「一緒に写真撮らせてください」と言っていただいたのですが、皆さん年齢が高めでした。ちなみに若者は遠くから「孤独だ!」と気付いてくださいます。でも、それだと僕がすごく孤独みたいじゃない?(笑) とはいえ、じわじわ「孤独のグルメ」が浸透しているのを改めて感じました。
――テレビを見るスタイルが変わったのが大きいですね。
配信以外でも、地方の局で深夜に再放送いただいているようですね。最初に放送した時から結構な年数がたっている作品を、新たに見てくれている人がいるというのもうれしいものです。“グルメ”がテーマなので定番料理は定番料理で変わらず人気ですし、店独自のメニューも珍しくて興味を持ちます。また基本的に1話完結なので、どのシーズンの何話を見ても楽しめるのもいいところかなと思います。
神田の方のカレー屋さんが言っていたんですけど、再放送のたびに波があるのだとか。「突然混む日があるなと思ったら再放送されてた」と聞きましたよ。
――やっぱり番組の影響は大きくなっているみたいですね。
いろんなお店の方が言っているのは、「番組に出たことで近所の人が来てくれて、常連さんの数が増えた」ということです。地域に密着したお店を紹介しているので、そういう効果は僕もうれしいです。
――このシリーズの本編の後にある「ふらっとQUSUMI」。久住さん自身がそのお店を訪れて注文して食べるという内容ですが、これも個人的には欠かせないコーナーだと思います。
ありがとうございます(笑)。実際にあるお店でドラマを収録しているのですが、照明とかも含めてやっぱりドラマらしく映っているんですよね。なので僕のコーナーでは“普通に行くとこんな感じなんだな”というのが分かるというか、ドラマとは違う見せ方ができているんじゃないかと思っています。
シーズン1の時は5分くらい尺があってお店の外観から撮っていたりしましたが、シーズン2くらいから「入ってもらっていていいです」と2分くらいになりました(笑)。
第11話には久住昌之と漫画家・江口寿史が本人役で登場
――特別編として放送された「それぞれの孤独のグルメ」がDVD化されますが、こちらはどういう経緯で作られることになったんですか?
「それぞれの孤独のグルメ」は松重さんが映画の公開に向けて「いつもとはちょっと違うパターンを作ろう」と提案していただいてできたものです。構想・企画発案も松重さんなんですけど、映画で監督までやられましたからね。“外から見た感じのもの”も作りたかったのではないでしょうか。
――シリーズも長く続いていますが、五郎さん以外にも主人公がいるというのはこれまでになかったパターンで新鮮でした。ゲストも豪華で…。
登場していただいた方たちは本当に豪華でした。さまざまな職業の主人公が登場するのも面白かったですし、第2話のマキタスポーツさんが演じたタクシー運転手なんて「ああいう人いそう」と感じましたよね(笑)。どこかにいそうなタクシーの運転手が、どこかにありそうなお店で「孤独のグルメ」っぽく食べていたのが良かったです。
――第11話では平祐奈さんが漫画編集者役で、漫画家の江口寿史さんも本人役で登場していて舞台は吉祥寺。定食のお店がメインながら編集者が江口さんを探しに行くなど、吉祥寺の街のいろいろな部分が見られて面白かったです。この第11話には久住さんも出演されていますね。
「それぞれ~」には「ふらっとQUSUMI」のコーナーはありませんが、ドラマの1シーンに出させてもらいました(笑)。古本の店とか雑貨屋さんとか、しっかりとロケハンされている感じが伝わってきて「よくこんな所で撮っているなぁ」と思いましたよ。
江口さんの仕事場の外観は、本当の仕事場とは違うところで撮影しています。ただバランスが取れている感じで、違和感なく見れましたね。よく知っている街ですが、居酒屋とかも含めていつもとは違う感覚で見ることができて面白かったです。
ずっと見てきた人も見直してもらうと新しい発見もあるかもしれない
――これまでのシリーズで紹介したお店も同様ですが、お店それぞれに生まれた経緯や歴史があります。いくらでも深掘りできて、ネタは尽きないですよね。
その場所に定着したお店がたくさんあって、確かにネタは尽きません。でも、東京はやり尽くした感じがありますね。断られたお店もありますし、そういうのも入れたら大変な数だと思います(笑)。
それにグルメというコンテンツは人気がありますから。テレビでもグルメ番組でいろいろなお店を紹介していますし、雑誌で紹介されていたり、YouTuberとかが独自で取材して動画をアップしていたりもしますよね。たくさんお店はあるんだけど、“「孤独のグルメ」で取り上げたいな”と思うお店を探すのがだんだん大変になってきています。
――「それぞれの孤独のグルメ」では、東京都のお店や埼玉県、神奈川県、千葉県といった関東のお店もありますけど、島根県出雲市の餃子のお店が出てきてますよね。
第7話の出雲は唐突な感じもあってよかったですよね。あれも主人公(比嘉愛未)がCA(キャビンアテンダント)ということで地方のお店を紹介することができて、新鮮な感じがしました。CAさんは地方に行くのが当たり前の職業なので、そういう設定で作ることも可能なんです。
地方はいいですよ。さっきお話ししたように東京で探すのが難しくなってきてるので、自分が地方に行った時に「いっぱいある!ここもいいし、あそこもいい!」と思っちゃいます(笑)。
たとえば新潟県の五泉市というところに行ったとき、立ち寄った喫茶店も渋くていいなぁと思いましたし、先日ライブで行った京都でもいい居酒屋がありました。“ヨイショ”ってメニューがあって「何ですか?」と聞いたら、「餅を揚げたものなんです」だと。名前の由来は“持ち上げる”時に「ヨイショ!」って言うからだって。言われてみればって感じなんですけど、そういうところもいいですよね(笑)。
――地方まで広げるといろんなお店に出会えそうですね。
今回のDVD-BOXには2023年の大晦日スペシャル(「孤独のグルメ 2023大晦日スペシャル 井之頭五郎 南へ逃避行『探さないでください』」)が収録されますけど、同回は沖縄で撮影されています。いつものシリーズとは違う雰囲気で楽しんでもらえると思いますし、そういうふうにさまざまな場所のお店も紹介できるといいですよね。
――「それぞれの孤独のグルメ」のDVD-BOXが発売されますが、同作を含めて「孤独のグルメ」シリーズをどんなふうに楽しんでもらいたいですか?
松重さんの食べるシーンを見ていると「おいしそうだなぁ」と思いますし、その料理を食べたくなるんですよね。「それぞれの孤独のグルメ」ではいろいろな俳優さんに登場していただいて主人公を演じてもらっていますが、皆さんおいしそうに食べられていますし、タクシー運転手、トラックドライバー、CAさんといった職業が役者さんに意外なほどハマっているところも、たくさんの方に見てもらいたいです。
シリーズもこれまでのシーズンが配信やDVDでも見られるので、最近気になって見始めた人にも楽しんでもらえると思います。またずっとシリーズを応援し続けてくれた人も、見直してもらうと新しい発見もあるかもしれません。ぜひぜひ、見てください。
◆取材・文=田中隆信
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