＜ひとつ屋根の下＞フジ歴代最高視聴率ドラマの第1話レビュー「そこに愛はあるのかい？」

2025.04.14 07:00

江口洋介が主演を務める「ひとつ屋根の下」(1993年、フジテレビ系)が、現在FOD・TVerで無料視聴できる。第11話はフジテレビ系歴代最高視聴率37.8％を記録して社会現象にもなり、1997年には続編が放送された超人気シリーズ作。両親を交通事故で亡くした長男・柏木達也(江口)が生き別れになった弟や妹たちを訪ね歩き、交流していく家族再生の物語。兄弟たちの再会から始まる第1・2話を紹介する。(以下、ネタバレが含まれます)

不倫に傷害事件、いじめ…鬱屈とした日々を送る弟たち

第1話。実業団のマラソンランナーとして、九州で活躍していた達也が東京に出てきた。達也は、会社の上司の娘・千鶴(鈴木ほのか)と結婚することになった。それを機に、脱サラし、クリーニング店を開く。達也の両親は7年前、交通事故で死亡していた。この時、6人の兄妹はそれぞれ親類に預けられ、バラバラになっている。達也は長男だ。あれ以来、兄妹には会っていない。自分が結婚することを知らせるため、達也は弟や妹を訪ね歩くことした。二男の雅也(福山雅治)は医学生。木内病院の院長・裕蔵(清水紘治)に気に入られ、実子を押しのけて跡取りになることが約束されている。

達也が最初に訪ねたのが、丸の内で働く商事会社のOLで長女の小雪(酒井法子)。達也は7年振りに小雪と会った。小雪は達也を自分のマンションに連れていく。2人が乾杯していると玄関でチャイムの音。小雪の上司、日下部(辰巳琢郎)が入ってきた。達也は突然、日下部に殴りかかるが、逆に強烈なストレートを浴びて気絶してしまう。やっと気が付いた達也は、「あんチャンは、不倫は嫌いだ」と小雪に言って帰った。

高橋家は洋風の中流家庭。ここに二女の小梅(大路恵美)が里子に出されている。この家の同年輩の高校生・由佳里(神崎恵)に、小梅はいじめられていた。達也は、高校の前で、下校する小梅を待っている。2人は喫茶店に入るが、小梅はしゃべらない。そして「いまさら、何だっていうのよ」と言って店を飛び出してしまう。

トゲトゲしかった弟たちが長男・達也の熱さに引っ張られていく

おしぼりの配送工場。三男の和也(いしだ壱成)が働いている。そこへ刑事がやってきた。前日、傷害事件があり、和也にアリバイを聞きにきたのだ。その夜、パブで和也が飲んでいる。そこへ小雪がやってきた。続いて達也もやってきた。和也は、傷害事件を起こし、鑑別所へ入っていたことがある。話しかける達也が、和也に手をさしのべると、彼はその手にナイフを突き立てようとする。

カクテルラウンジで雅也が飲んでいる。相当酔っていた。そこへ達也と小雪が入ってくる。雅也は達也の頭に酒を浴びせた。そして、雅也は達也に50万円渡そうとする。もう会いたくないというわけだ。達也はそれをつき返す。「兄妹といっても、7年も会わないと赤の他人か」と言って涙を流す達也を小雪は慰めた。

達也は長野の松本へ出かけた。ここには四男の文也(山本耕史)がいる。文也は2年前、オートバイにひっかけられたのが原因で車椅子生活を送っていた。そして、達也が話しかけても一言もしゃべらない。

江口演じる達也“あんチャン”が兄弟をまとめていく

続く第2話。達也は、長野にいる車椅子生活の文也を、自分のところに引きとることにした。それを弟や妹たちに知らせるため、小雪に兄妹召集を頼んだ。達也が外出先から帰ると、家の前に小梅がウロウロしていた。そして家に入ると叔父の幸夫(山本圭)、小雪、それに達也の婚約者千鶴がいた。達也は千鶴に、文也を引きとることになったと話す。車椅子生活の文也を見て、千鶴は声が出ない。そんな時、達也と雅也は警察に呼ばれた。和也が勤め先で障害事件を起こしたのだ。達也は和也も引き取ることにする。

レギュラー放送をしていたのは、30年以上も前のこと。「『ひとつ屋根の下』ね、もちろん見ていたよ」という人も試しに見てみてほしい。自分が覚えていたのは“こんな話だったかな？”と思う人が多いだろう。根っから明るく、少々デリカシーに欠ける長男・達也のキャラクターは想像通りだとして、弟や妹たちは初めはこんなに心を閉ざしていたのかと驚くのではないだろうか。彼ら兄弟は、初めから仲良く協力し合っていたわけではなかったのだ。

達也が妹たちに問いかける、「そこに愛はあるのかい？」という決めゼリフは最初から度々登場する。まだ彼らの絆はガタガタでもろいが、ここから唯一無二の兄弟へとなっていく。続々と配信話数が追加されるので、ここから見直していくのもおすすめだ。