霊感ゼロのホラー漫画家、“一番のファン”に取り憑かれる…斜め上の恋愛を知る展開に「初手からおもろい」の声【ホラー漫画】

2025.04.04 18:30

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、月刊ヒーローズにて2月に連載がスタートしたばかりのトナミショウさんが描く『先生はソレに気付かない。』をピックアップ。

2025年1月4日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、4,500件を超える「いいね」と共に反響コメントが寄せられた。本記事では、投稿時の作品を連載用に再編集された第1話を紹介するとともに、トナミショウさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

幽霊や超常現象を切望するホラー漫画家が出会ったのは…

幽霊や超常現象を見てみたいと願い続け、いわくつきのお面や壺などを数多く収集している霊感ゼロの漫画家・蓮沼先生。デビュー作からずっとホラーやオカルト系の漫画を描き続けているが、なかなか長期連載に結びつかない日々。そして本日、担当編集の守時は現在連載中の作品の打ち切りを伝えに、蓮沼先生の自宅へ向かうのだった。

一人暮らしの先生の部屋に入ると、そこには見知らぬ少女の姿が。しかし、守時が先生に少女のことを尋ねると驚きの言葉が返ってきた。

「まさか何か見えているのか？」

実は霊感ゼロの蓮沼先生と違い、守時は霊感が強い。どうやら視えていた少女は幽霊だったようだ。“柊夕陽”と名乗った16歳の少女は交通事故で亡くなってしまったのだが、蓮沼先生のファンであったことから取り憑くような形になってしまい、部屋に溢れる呪物達から先生を守る守護霊になったのだった。

ひとまずの状況が飲み込めた守時は、今日の目的でもあった作品の打ち切り決定を蓮沼先生に伝える。そしてジャンルの幅を広げるためにラブコメ作品の挑戦を打診したのだが…。「愛(ラブ)がわからない」という理由でラブコメ作品に後ろ向きな蓮沼先生は、自分の漫画が読者に受け入れてもらえない現状に自信をなくした様子を見せる。

そんな蓮沼先生の悲しそうな表情を見た少女が、先生のファンがいることを伝えるためとある行動に出る。そのお陰で“予想外の幽霊”と対面を果たした蓮沼先生は、自身の胸の高鳴りを“恋”と信じ、勢いに任せてラブコメ作品のネームを作成。無事に連載を勝ち取るのだった。

一番のファンである少女が守護霊になったことで、ホラー漫画家に巻き起こり始めた斜め上なラブコメ展開に「初手からおもろい」「これめっっちゃ好き」などの反響が寄せられている。

作者・トナミショウさん「まっっったく霊感はありません」

――『先生はソレに気付かない。』を創作したきっかけや理由などをお教えください。

ホラーコメディ自体はずっと描きたいなと思っていました。今作(同人版)を描く前にはその頃執筆していた連載作品が打ち切り宣告をされていたので、悔しい、やるせない気持ちとホラーコメディを描きたい気持ちを両方一気に昇華させたくて描いた気がします。

――本作には霊感ゼロの漫画家と霊感が強い担当編集者が登場しますが、トナミショウさんご自身の霊感についてお聞かせいただいてもよろしいでしょうか？幽霊を見たり不思議な体験をしたりなどの経験がありましたらお教えください。

まっっったく霊感はありません。TVのホラー特集で紹介される心霊写真を見てもなかなかソレを見つけることができません。ただ蓮沼先生と違ってそういったものを怖いなと思う心はあると思います。

――漫画家の蓮沼は自身が好きなホラーやオカルト系の漫画を描き続け、連載が長く続かないというジレンマにぶつかっています。漫画家にとって「描きたいものを描く=他者から望まれるものを描く」というのは大変難しいことだと思うのですが、トナミショウさんが漫画家として創作活動をしていく上で大切にしていることをお教えいただけますでしょうか？

どうでしょう…。もし、自分の描きたい漫画と望まれる漫画のバランスが取れていれば、もう少し連載が続いていたのかもしれません。そう考えると、まだまだ自分のエゴが強いのだと思います。

商業で描くということは、「読者のために描く」ということ。商業作家として当たり前の心得ですが、昔はあまり意識しておらず、自分のために描いていたように思います。だからこそ、今はその意識を大切にしていますし、これからも大切にしていきたいです。自分の譲れない部分は2割…1割…あればいいのかな…まだはっきりと回答できません。お恥ずかしい限りです。

――幽霊の少女・柊が事故で亡くなって読めなかった新刊『先生はソレに気付かない。』と本作のタイトルを同じにしたのは、何か大きな理由や意味が含まれているのでしょうか？

柊と読者、両者の読んでいる作品のタイトルを揃えることで、柊と蓮沼先生のように何かしらの思いを共有してほしいなと思ったからです。

――今回ご紹介させていただいているのは第1話となりますが、2話目以降の見どころや注目してほしいポイントなどをお聞かせください。

この作品はホラー”ラブ”コメなので、ラブの部分も盛り上げて描いていきたいと思っています！ホラー描写も笑える範囲で怖いを目指して追究していきますので楽しみにしていてください！

――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。

どうか長生きして、一作でも多く私の作品を読んでください。私も描き続けます！