迷い猫の捜索で生まれる、ご近所さんとの絆…都会の片隅でほっこりと紡がれる物語に「傑作だ」の声【漫画】

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は稲空穂さんが2025年1月13日にX(旧Twitter)に投稿された『知らないご近所さん』をピックアップ。

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本作はCOMICリュエルで連載中の漫画『特別じゃない日』シリーズ、『特別じゃない日　猫とご近所さん』に収録されているエピソードだ。X(旧Twitter)に本作が投稿されたところ、1.6万件を超える「いいね」と共に多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、漫画家の稲空穂さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

猫を中心につながるヒューマンドラマ

吉田のアパートはペット禁止。捨てられた子猫を拾って育てていることがバレて、吉田はいま大家さんから出ていくように言われている。引っ越し先もようやく決まった。

いつものように吉田がバイトから帰ると猫のシャケがいない。バイトの後輩の力を借りて探し回るものの、シャケは一向に見つからない…。途方に暮れた吉田はいままで関わったことのないアパートの住人にも尋ねてみる。一方的に苦手意識を持っていた吉田だが、意外にもご近所さんは親身になってシャケの捜索を手伝ってくれて…。

猫をきっかけに始まる絆、変化する大家さんとの関係。人間ってそんな悪いもんじゃないな…、『特別じゃない日』はそんな風に思わせてくれる温かなヒューマンドラマだ。読者からは「何度読んでも癒される」「心が安らぐ」など大きな反響が寄せられている。

作者・稲空穂さん「記憶に残っている色々な人の顔を散りばめながら描く」

――『特別じゃない日』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

当時、空き時間があったので、Gペン(アナログつけペン)の練習にと、漫画を描き始めました。

絵の練習をしたかったため、フキダシの無い1P～2Pで終わるショートの漫画をSNSに投稿していました。

短いお話なので、題材は身近な「特別でも何でもない日」を選んでおりましたが、それがたくさんの方に共感していただき続いていったのが『特別じゃない日』になります。

――稲空穂さんの作品では”なんでもない日常”が、愛おしく特別に思えてきます。作品の題材はどのように見つけるのかお教えください。

題材は私の身近な人が多いです。

ただ、ひとつひとつのお話がそのまま実際に起こっているわけではなく、祖父がスマホを見るときの動作、知り合いと道で会って挨拶をしたときの様子、子供の時に風邪を引いてしまったとき母に看病してもらったときのことなど…

嬉しかったり楽しかったり、記憶に残っている色々な人の顔を作品の中に散りばめながら描いております。

ただ、今回の「知らないご近所さん」に関しましては、担当編集さんが実際に経験された飼いネコちゃんの脱走と、近所の方とのエピソードを聞かせていただき、その素敵なお話をふんだんに盛り込ませていただきました…！とても楽しく描かせていただいたお話です！

――本作の中で特に気に入っているシーンがあれば、理由と共にお教えください。

“またたび”に誘われた近所の野良猫が、吉田の部屋に乗り込んでくるシーンです。

ホラー映画が大好きなので、ホラーのカメラワーク・恐怖描写を「特別じゃない日」に盛り込むことができて大満足だったシーンです。

――今後の展望や目標もお教えください。

「特別じゃない日」を描き始めた当初は、こんなにもたくさんの方に読んで頂けることになるとは思っていませんでした。

現在では、担当編集さんが、一緒にひとつひとつのお話を丁寧に作り上げてくださり、それを読者の方に読んで頂けて、さらにご感想までいただける、とても幸せな作品となっていると思っています。

これからも、読んでくださる方がいるかぎり「特別じゃない日」の世界を広げていけたらとても嬉しく思います。