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遠藤健慎、俳優デビュー16年目で挑む初舞台へ意気込み「“この1回きりだ!”くらいのつもりですべてを注ぎたい」
ヒラタオフィスとタカイアキフミ主宰のソロプロデュースユニット「TAAC」がタッグを組んだ舞台第2弾公演『さえなければ』が、3月5日(水)よりシアターサンモールスタジオで幕を開ける。高齢化社会が進み多死社会を迎えた現代、需要が高まっている“遺体ホテル”を舞台とした作品で、今回初舞台に挑むのが、子役からキャリアをスタートさせ、様々な映像作品に出演してきた俳優・遠藤健慎だ。この時代だからこそ生まれた場所にフォーカスを当て、「いま」を切り取った演劇作品に挑む彼に、初舞台への意気込みや稽古での手応え、改めて思う俳優業の魅力についてなどを聞いた。
【ヒラタオフィス+TAAC『さえなければ』/遠藤健慎インタビュー】
――2010年に俳優デビューして今年で16年目を迎える遠藤さん。今回、満を持して初舞台ということですが、これまで舞台作品に対しては、どんな印象を持たれていましたか?
「どこかで苦手意識があったというか、ずっとやりたくなかったという気持ちがあったかもしれないです。それこそ、僕はこの世界を目指したきっかけが“俳優になりたい”というよりも“『仮面ライダー』になりたい”という想いで入ってきたので。大前提として、そこだけを切り取ると映像作品なんですよね。そこからスタートしていることもあって、ずっと映像作品をやりつつ、『仮面ライダー』という目標からまた別の目標ができて、映像でやりたいこともあったし…っていう感じで。ただ、俳優という職業を背負っていくからには、俳優らしいことをしないといけないなという義務感みたいなものが生まれてきて、そのタイミングで“舞台を毛嫌いしている場合ではないな”と思うようになったんです。そんなときに(今作の脚本・演出を手掛ける)タカイさんさんから『舞台やってみない?』とお声がけいただいて、こんなにタイミング良く、声をかけてもらえるなんて思ってもいなかったし、挑戦してみよう!と思いました」
――心境の変化みたいなものがあったんですね。
「去年、俳優として自分はどういるべきかみたいなことを冷静に一人で考えることが増えて、その中で“舞台をやらなきゃ!”っていうよりは、“チャンスがあったらやってみよう!”っていう心情の変化がありました。そんな中でお声がけいただいたので、自分の中ではすごく腑に落ちた状態で挑戦している感覚です。あんまりナーバスな感覚はないというか。そこから台本をいただいて、“うわ、文量多いっ!!”っていう不安みたいなのはちょっとありましたけど(笑)。初舞台に対しては、すごくポジティブな気持ちで迎えられているかなと思います」
――苦手意識からやってみようと思ったきっかけというのは?
「昔、ピアノを習っていたんですけど、ピアノを練習して上手くなるのは楽しかったのですが、発表会っていうものがすごく苦手で。なので、自分自身、潜在的に生モノに対しての抵抗みたいなものがあったんですよね、演じる側として。でも、僕は音楽が大好きで、好きなアーティストさんに関しては音源で聞くよりもライブを見に行きたくなるじゃないですか。ということは、自分がやりたくない以前に、周りが見たいっていう気持ちを意識し始めて変わったんです。そのマインドがはっきり変わったタイミングで、今回のお話をいただいたという感じです」
■「何も知らない状態だからこそ、真っ白な状態で臨もうと思って稽古場に入りました」
――初舞台に挑む前に何か準備をしたりしましたか?
「特別に何かをやったとかはないです。あくまでチャレンジでもあるから、背伸びせず等身大の自分で稽古に入って、その場で何か必要なのかというのをあぶり出したくて。自分の中ではすごく大事だろうと思っていることが、実はこの舞台にとっては邪魔だったりするみたいなことが起こるかもしれないし、何も知らない状態だからこそ、真っ白な状態で臨もうと思って稽古場に入りました」
――稽古に参加してみていかがですか?新鮮なことばかりかと思いますが。
「めっちゃ新鮮です。映像作品だと家でやることって多いんですよ。セリフを覚えることもそうだし、そのセリフに対して、ここで自分なりのアレンジを加えられるかも…みたいなものを家で探って、それを現場に持っていって、やれたらラッキー。やれなかったとしても監督の意向の通りやっていくみたいな。でも、今回の稽古に関しては、みんなが同じタイミングで長文のセリフを渡されて、読み込む時間もない中で、“とりあえずやってみようか”っていう感じで芝居が始まるんですよね。台本と向き合いながらみんなが”難しいね“って同じ顔になっている中、できないなりにみんながぶつかりあって芝居していくっていう感じが相撲稽古に近いというか。一緒にゼロから探りながら作っていくっていう感じが、より“座組”だなってっていう感覚がしています」
――具体的にはどんなことが新鮮に感じたのでしょうか。
「稽古場で台本を渡されたあとに、『とりあえず立って稽古やってみようか』と言われて。僕は今まで、台本をもらってからある程度日数を経てから現場に入ることがほとんどだったし、自分の中でやりたいことみたいな構想を練ってから現場に臨んでいたんです。でもここだと、とりあえず台本を読みならでもいいから、やりたいことを探りながらやってみようっていう感じなんですよね」
――自分の中で芝居の構想が固まる前に、その場で表現していくみたいな?
「そうそう。固まる前にもうやっちゃってみよう!っていう感じなんです。僕は舞台に触れる前までは偏った完璧主義みたいなところがあって。できないことが悔しいから、ある程度、盤石の状態で臨むのが当たり前だと思っていたんです。でも、キャストの皆さんの“わからないけど探りながらやってみよう”という顔を見ながら、自分もわからないでいられる環境っていうこと自体が僕にはすごく新鮮で。キャストの方々にも助けていただいているし、そこからみんないろいろと考えてきたりして、アイディアとかが出てきたりすることに対して、自分もやることやらないといけないんだなっていうのがあるからほど良い感じ。ちゃんとしたプレッシャーも感じつつ、でも仲間がいてくれる感じが心強いというか、同じ船に乗っている感覚みたいなものはすごく感じています」
■「演じる湯口はすごく人間味のあるキャラクターだなと」
――同じシーンを何度も繰り返してブラッシュアップしていくといのも舞台ならではですよね。
「そうですね。映像だとテストやって本番撮って終わりですからね。まあ、何回か取り直しすることはあっても何度も繰り返しやることはい。特に昨今のドラマは瞬発力が求められたりもするので。稽古終盤にはブラッシュアップする段階に入っていくと思うので、その時までには何か掴んでおきたいなと思っています」
――初舞台というものに対して、今はわりと不安よりもワクワクが大きい?
「そうですね。楽しいかもしれない。ただ、僕は舞台に関しては今回の一回キリにしようという思いでやっているので、すべてを出し切りたいなと思っていて。やっぱり、完成度の高いものを自分で見出してそれを現場でぶつけて、それをカメラに収めてもらうというのが僕のルーツでもあって、そこに対してまだ何もできていないっていう悔しさもあるので。今回舞台を経験させてもらえることはすごく嬉しいし、ありがたりことだけど、舞台の世界に自分の生きる意味見出したくはないっていう同じアンチテーゼの両反面もあるんです。なので、今回舞台を経験するからには必ず良いものを届けたい。とにかく“この1回きりだ!”くらいのつもりですべてを注ぎたいと思っています」
――台本を読んだ際は、どんなことを感じました?
「最初にみんなで顔合わせしたときにはまだ台本が完成していなくて、『まだどうすればいいわかっていない』というふうにタカイさんが素直に言ってくださって。その場でちょっとエチュード的な感じの芝居をやって、そこからアイディアを拾って頑張って作りますっておっしゃっていたので、完成した台本を見たときに、ここまでいろんなレイヤーを重ねて、様々な問題を同じ世界線に落とし込んで完成させるって、スゴッ!!って思ったのが素直な感想です。内容がどうこうというより、あれだけぐちゃぐちゃだったものが最後こんなふうにまとまるんだ!みたいな部分にリスペクトを覚えました」
――演じる湯口というキャラクターに対してはどんな印象ですか?
「湯口は周りの影響で変わっていくところがあると思うので、自分のキャラクターがどうこうというより、周りを見て、“湯口はここを取り繕いたいんだな”とか、“湯口なりに面倒ごとはさけたいんだな”とか、そういった部分だったり、最後の最後で、いい意味で数えるほどしかいない周りの人を救ってあげたいというところには自分のエゴももちろんあって、すごく人間味のあるキャラクターだなって感じました」
――湯口とほかのキャストの方とのやり取りでは、ちょっとクスッとなるような場面もあるのかなと感じました。息のあった掛け合いみたいな。
「それが難しいんですよね。漫才っぽくハイテンポでやろうとするとたぶんコントっぽくなっちゃうのかなというか。“演技=演じる技”って書くからそれでいいのかもしれないし、お客様には嘘はつけるかもしれないけど、湯口には湯口のバックボーンがあって、前日譚があったりする。それらすべてを踏まえて、その場に本当に生きている、存在している湯口になって芝居しないといけないから、お客さんのことも考えてやろうとか考えすぎちゃうと見透かされてしまうところもあるんじゃないかなと。そこが生モノだとどう伝わるのか。正直、映像だったら演技をして面白くできたらいいということだったりするけど、その場にその人間として生きるっていう難しさはやっぱり生モノならではなのかなと思うし、これから稽古でどうなっていくかなって感じです。結果、笑ってもらえたら万々歳なんですけどね」
■「やってきた年数じゃなくて、どれだけ本気になれているかが大事なんだって改めて思うことができた」
――遠藤さんのファンの中でも今回は舞台初観劇という方もいらっしゃるのではないかなと思うのですが、若い世代の人たちにどんなふうにこの舞台を楽しんでもらいたいですか?
「きっと、ファンの方々は“ここが面白かったです”とか、そういうことを伝えようとしてくれるコが多いと思うんですよ。初めてでどういう見方をすればいいかわからないし、舞台終わったあととかの僕のSNSの投稿に対して、どういうコメントすればいいんだろうって悩んだりするかもしれませんが、そういうのを一切気にせず、フラットに見てもらえたらなと。僕のことを応援して観に来てくれるのはすごくありがたいことのですが、なんなら僕が出ていることすらも忘れて舞台を楽しんでほしい。ちゃんと作品としてメッセージ性があるものなので、“何か受け取らなきゃ!”とか変に構えたりせず、この作品を正面から素直に見てもらえたら、僕は届ける役目を持ってその舞台に立つので、きっと何かしらは残せるんじゃないかなと思っています。たぶん刺さるセリフも人それぞれ違うと思うし、どの目線に立ってみるかによっても楽しみ方が変わってくるので、フラットな気持ちで見て楽しんでほしいです」
――16年目にして、初舞台という新たな挑戦に挑んでいる遠藤さん。改めて今思う、役者の魅力とは?
「いや~本当に深いですよ、この仕事は。芸歴でいったら16年目になりますけど、14年、15年目くらいのときに、”自分は14、15年やっていて何でまだここにいるんだろう“みたいなことをすごく思っていたんです。でもそれってすごくダサいことだなって最近気づけて。確かに16年、この世界にいるけど、それがなんなの?って話じゃないですか。別にいつだって1年目だし、2年目も初めての2年目だから1年目というか、自分もまだまだペーペーだし何者でもない。去年、その鼻を自分で折れたっていうのが、自分にとってすごく大きくて。それ以来、”自分はこんだけの年数やってきてるから…”みたいな、年数のことだけ言ってたりするのって、すごくダサいなって思うようになって。やってきた年数じゃなくて、どれだけ本気になれているかが大事なんだって改めて思うことができたんです。僕自身、努力は裏切らないって思っているし、15年もやってるから別に努力しなくても売れるはずとか言ってるのは恥ずかしいことだなと。僕は今回の初舞台に対して、正直命かけて本気でやっていると思っているし、自分の中ではそれは背中でしか語れないと思っているので、1年目のつもりで立ち向かえる場があることにすごく感謝しています。なので、ぜひその姿を見に来てもらいたいです」
【舞台概要】
ヒラタオフィス+TAAC『さえなければ』
作・演出 タカイアキフミ
2025年3月5日 (水)~3月12日 (水)サンモールスタジオ
▼イントロダクション
ある住宅街で、自治体による遺体ホテルの運営が始まった。
現在もなお、職員と施設に反対する近隣住民の間で、侃侃諤諤の論争が繰り広げられている。
そんなある日、1体の遺体の行方がわからなくなって――。
※遺体ホテルとは・・・火葬や葬儀までの間、故人を安置するための場所。近年、多死社会・火葬場不足などによりその需要が高まっている。
【プロフィール】
遠藤健慎(えんどう・けんしん)●2000年11月24日生まれ、静岡県出身。ヒラタオフィス所属。
2010年に子役として俳優デビューを果たし、その後、映画やドラマなど数々の作品に出演。
近年の主な出演作は、【ドラマ】MBS・TBS『美しい彼 シーズン2』、NHK『生理のおじさんとその娘』、EX『特捜9 season6』、THK・CX『あたりのキッチン!』、NHK BS『舟を編む〜私、辞書つくります〜』、ABC・EX『あなたの恋人、強奪します。』、CX『ギークス~警察署の変人たち~』、【映画】『恋い焦れ歌え』、『冬薔薇』、『大事なことは小声でささやく』、『私が知らないあなたにういて』、『劇場版 美しい彼〜eternal〜』、『こん、こん。』W主演、『オアシス』など。
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