ユアン・マクレガーら出演、シーズン毎に新たなストーリーやキャストで展開される海外犯罪ドラマ「ファーゴ」を紹介

2025.01.28 18:00

数々の賞を受賞した犯罪ドラマ「ファーゴ」が、現在動画配信サービス「Hulu」にてシーズン1～5まで配信中。コーエン兄弟がアカデミー賞で脚本賞を受賞した同名映画を基に製作された同ドラマ。映画の世界観を再現しながらも、違う角度のストーリーと新たなキャラクターで展開していく。本記事では、映画とは一味違った魅力を楽しめるドラマ版の見どころとあらすじを紹介していく。

エミー賞で18部門にノミネートされた「ファーゴ」

主人公の冴えない保険外交員・レスター(マーティン・フリーマン)が謎の殺し屋と出会うことで、次々と殺人事件に巻き込まれる本作。「BONES ―骨は語る―」のノア・ホーリーが製作総指揮・脚本・監督を務めた。またドラマ化にあたりコーエン兄弟自らも製作総指揮として名を連ねている。コメディ色の強いスリラー映画を制作しているコーエン兄弟が手掛けただけあって、スリリングな展開の中にもブラックユーモアがあふれているのが特徴。

2014年にアメリカのケーブル局FXでシーズン1の放送が開始されると、視聴者からの支持を集め、エミー賞では同局史上最多となる18部門でノミネート。TVミニシリーズ部門でも作品賞、監督賞、キャスティング賞の3冠を獲得。さらに、2015年のゴールデングローブ賞ではミニ・シリーズ・TVムービー部門の作品賞と主演男優賞をダブル受賞するなど、原作に引けを取らない人気作となった。

そんな本作の見どころの一つは、シーズンが変わるたびに別のキャラクターによって新たなストーリーが展開していく点だろう。それぞれ登場人物も時代背景も全く違うストーリーでありながら、「ファーゴ」独特の世界観を持つ。映画とは一線を画す作品だが、オマージュも込められている。

冴えない保険外交員が殺し屋と出会ったことで人生が一変…

シーズン1の舞台となるのは、1979年のミネソタ。保険外交員のレスター・ナイガードは、ある日偶然高校時代のイジメっ子サム・ヘス(ケヴィン・オグラディ)と再会する。昔と同様に馬鹿にされ、怪我をしてしまったレスター。治療のため訪れた病院で、殺し屋マルヴォ(ビリー・ボブ・ソーントン)と出会い、「代わりにサムを殺してやろうか？」と持ちかけられる――。

殺し屋との出会いから平凡な人生が一変してしまう冴えない保険外交員・レスターを演じるのは、映画「ホビット」シリーズやドラマ「SHERLOCK／シャーロック」で知られるマーティン・フリーマン。レスターを波乱の人生に引きずり込む殺し屋・マルヴォを、映画「スリング・ブレイド」や「アルマゲドン」に出演するビリー・ボブ・ソーントンが務める。

さらに、レスターの妻・パールをケリー・ホールデン・バシャールが、女性警官モリーをアリソン・トルマンが、チーフのビルをボブ・オデンカークが、別の警察署勤務の警官グリムリーをコリン・ハンクスが演じている。

続くシーズン2は、シーズン1から30年ほどさかのぼった1979年が舞台となる前日譚。美容師のペギー(キルスティン・ダンスト)とその夫エド(ジェシー・プレモンス)が、ゲアハルト家の末っ子ライをひき逃げしたことで事件が動き始める。シーズン1で登場したモリーの父親ルー(パトリック・ウィルソン)が、ベトナムから戻り捜査にあたるが、カンザスシティのマフィアとゲアハルト家の抗争、そして地元警察の思惑が複雑に絡み合っていく――。

美容師のペギーを演じるのは「スパイダーマン」シリーズのキルスティン・ダンスト。ペギーの夫エドは「ブレイキング・バッド」のジェシー・プレモンス、警察官のルーを「エンジェルス・イン・アメリカ」のパトリック・ウィルソンが演じている。

ユアン・マクレガーが一人二役の熱演を見せるシーズン3

シーズン3は、シーズン1の4年後となる2010年のミネソタ州が舞台。保護観察官レイ(ユアン・マクレガー)は、兄で成功した実業家のエミット(ユアン・マクレガー)が父親の遺産である貴重な切手を不当に得たと信じる。そして元囚人で婚約者のニッキー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)とともに切手を奪おうと企み、殺人事件へと発展していく――。

同シーズンでは、「スター・ウォーズ」「トレインスポッティング」で知られるユアン・マクレガーが、特殊メイクを施し、体重を増やすといった役作りで、レイとエミットの一人二役を務めている。さらに、レイの婚約者ニッキーを「10 クローバーフィールド・レーン」のメアリー・エリザベス・ウィンステッドが、貸金業者の代理人V・M・ヴァーガを「ハリー・ポッター」シリーズのデヴィッド・シューリスが、エデン・バレー警察の前署長グロリア・バーグルを「LEFTOVERS／残された世界」のキャリー・クーンが演じた。

そしてシーズン4では、1950年のミズーリ州カンザスシティを舞台に、裏社会で対立する黒人犯罪組織とイタリア系マフィアの攻防をブラックユーモアを交えながら描かれていく。ロイ・キャノン(クリス・ロック)率いるアフリカ系アメリカ人の犯罪組織とドナテロ・ファッダ率いるイタリア系移民マフィアの間で抗争が勃発。両組織は平和維持のため古くからの慣例に従って互いの息子を交換することに。ロイ・キャノンの息子はファッダ家へ、ドナテロの息子ジョスト・ファッダ(ジェイソン・シュワルツマン)はキャノン家へ送られるが、その矢先にドナテロが不慮の事故に遭う――。

同シーズンで主人公のロイ・キャノンを演じるのは、「天国からきたチャンピオン 2002」のクリス・ロック。コメディアンとしてのイメージが強いクリス・ロックだが、本作ではマフィアのボスを好演している。対するイタリア系マフィアの長男ジョスト・ファッダを演じるのは「ダージリン急行」のジェイソン・シュワルツマン。アイルランド系マフィアの息子ラバイ・ミリガンを演じるのは、「007」シリーズのQ役で知られるベン・ウィショー。

さらに、「JUSTIFIED 俺の正義～連邦保安官レイラン・ギヴンズの犯罪捜査」のティモシー・オリファントや、「高慢と偏見とゾンビ」のジャック・ヒューストン、「ジュディ虹の彼方に」のジェシー・バックリーなど、シーズン4はシリーズ最多となる25人の主要キャストが出演する。魅力的なキャストが入り乱れてのマフィア対ギャングの抗争や奇想天外な脚本に注目したい。

平凡に見えた主婦が事件に巻き込まれたことで謎めいた過去が明らかに…

シーズン5の舞台は、2019年のミネソタとノースダコタ。平凡な主婦ドロシー・“ドット”・ライオン(ジュノー・テンプル)が誘拐される事件が発生。ドットは誘拐犯から逃げ出すことに成功するが、この事件をきっかけに彼女の謎めいた過去が徐々に明らかになる。夫と義母に自分の秘密を隠していたドットだったが、ノースダコタ州の地元保安官ロイ・ティルマン(ジョン・ハム)と、彼の息子ゲイター(ジョー・キーリー)に追い詰められていく――。

主人公のドットを演じるのは、「テッド・ラッソ：破天荒コーチがゆく」のキーリー役で注目を集めたジュノー・テンプル。保安官のロイを「MAD MEN マッドメン」でお馴染みのジョン・ハムが、ロイの息子ゲイターを「ストレンジャー・シングス未知の世界」のスティーブ役で知られるジョー・キーリーが演じている。

さらに、「ザ・ファミリー：大国に潜む原理主義」のデイヴィッド・リズダール、「ユニークライフ」のジェニファー・ジェイソン・リー、「ブラッドショット」のラモーン・モリスなど、多彩な俳優陣が名を連ねている。

各シーズン毎に異なるストーリーやキャスト陣で物語が展開していく犯罪ドラマ「ファーゴ」は、動画配信サービス「Hulu」にてシーズン1～5まで配信中。