「熱中時代・先生編」シリーズについて語る水谷豊

水谷豊「今にも通じるところがたくさんある」、ドラマ『熱中時代2・先生編』の見どころや学生時代に熱中していたことを明かす

2024.08.01 08:30
「熱中時代・先生編」シリーズについて語る水谷豊

1978年から1979年にかけて放送され、記録的な大ヒットとなった水谷豊主演の学園ドラマ「熱中時代・先生編」。北海道・小樽出身の新任教師・北野広大が、結婚退職した教師の後任として東京・若葉台小学校に赴任し、3年4組の担任として奮闘する物語。生徒たちと真剣に向き合い、一緒に汗と涙を流す姿は多くの感動を呼び、“理想の先生像”とも言われていた。BS松竹東急(全国無料放送・BS260ch)では現在「熱中時代・先生編」を放送中だが、8月3日(土)夜6時からは、1980年から1981年にかけて放送された第2シリーズ「熱中時代2・先生編」(毎週土曜、2話連続)の放送も決定。同シリーズでは、1年半ぶりに若葉台小学校の教師に返り咲いた北野広大の活躍が描かれる。そして今回、第2シリーズの放送開始を前に水谷豊にインタビューを行い、「熱中時代・先生編」シリーズの制作エピソードや作品の見どころ、自身が演じた役柄などについて語ってもらった。

「熱中時代」誕生秘話…チーフディレクターと脚本家の提案で“小学校の先生”を演じることに

――「熱中時代」に出演される前は、「傷だらけの天使」や「赤い激流」など不良の役が多かったと思いますが、教師役のオファーをどのような気持ちで受け取りましたか?

教師とは全然違うイメージが強かったのですが、田中知己さんという当時の日本テレビのチーフディレクターの方とお会いして、「何をやろうか?」というところから話を始めてくれて、大勢の子どもたちと僕が一緒にやったら面白くなるんじゃないかっていう案を出してくれました。

――チーフディレクターの田中さんの中に、これまでとは違う役をやってもらいたいという考えがあったんですね。

はい。最初に出てきた案は、少年野球でした。それで一度話を作り始めたんですが、当時、「がんばれ!ベアーズ」という映画がありまして、少年野球をテーマにすると、それに似ていると言われる可能性もあるのでやめようということになりました。その後「何にしよう?」って考えた時に、田中さんと脚本の布勢(博一)さんが「小学校の先生ってどう?」って提案してくださったのです。

――当時、学園もののドラマはいろいろあったと思いますが、小学校が舞台というのはあまりなかったような気がします。

そうですね。そういうところも含めて、面白いんじゃないかって思いました。今、(BS松竹東急で)土曜日に放送してるじゃないですか。僕も見ているんですが楽しいんですよ。自分が出ていた過去の作品を見てると、いつも思うんです。ドラマは一人で出来るものではないですからね。スタッフの方たち、共演者の方たちと一緒によくやってるなぁって。「熱中時代」は46年も前のドラマですから、見て反省とかはしないです(笑)。ドラマとして楽しく見ています。

教師役を演じるにあたって「自然と自分に近い部分が多くなっていた」

――演じられた北野広大先生は“理想の先生像”と言われることも多いですが、水谷さんが北野先生を演じる時、どんなことに気をつけていましたか?

先生と生徒は、大人と子どもですが、人と人との付き合い、関係性もあるんです。ついつい忘れがちですけど、大人と子どもでも“人と人”であることを忘れないようにしようと気をつけていました。

――それは、演出担当の方から指示などあったのでしょうか。

いえ、特に指示されたわけではないんですが、僕の中でそうしようと決めていましたね。

――水谷さん自身と北野先生は近い部分も多かったりしましたか?

どの役でもそうですが、自分の中にないものは無理ですね。役を演じているわけですが、自分の中の“何か”でもあると思うんです。なので、自然と自分に近い部分が多くなっていたと思います。

――先生役を演じるにあたって、役作りで参考にされた先生はいらっしゃいましたか?

そうですね。2人いました。1人は僕が高校一年の時の担任の先生で、のんびり喋る先生だったんです。「なんとかだなぁ」って感じで。「母さん、元気かぁ?」「本、読んでるかぁ?」ってね(笑)。そのニュアンスが好きで、その頃よくモノマネをしてたんです。2人目は、高校2年の時の担任の先生です。数学の先生だったのですが、黒板に書いて振り向きざまに「いっかぁ?」っていうのが口癖でした。そういった感じで、好きだった先生の特徴を取り入れていこうかなと思いながら役作りをしましたね。

「『熱中時代』では、理想だけじゃない部分も見せたいなという気持ちもありました」

――高視聴率を記録したドラマで、視聴者、特に生徒たちと同じ小学生はリアルに感じながら見ていたと思います。

そういうふうに見てくれている人も多くて、実際に全国で起きていた現象として、当時、2年生から3年生に進級する子どもたちが春になって“3年4組”になると「やったー!」って喜んだらしいんですよ。でも、新学期が始まってみたら「北野先生じゃなかった」ってガッカリしたって(笑)。

――それくらい影響力が大きかったんだと思います。

「『熱中時代』を見て先生になりました」っていうのもよく言われました。「悪いことしたね」って(笑)。「熱中時代・刑事編」もそうで、「あれを見て警察官になりました」って言われることも多くて、「あぁ、悪いことしたね」って(笑)。僕の同級生で私立の学校の先生になったやつがいて、「水谷みたいな先生になりたくてさぁ」って言われたことがあってびっくりしました。さっき、先生の理想像という話もありましたけど、理想を追うことは素晴らしいと思いますが、実際にはそうはいかないことが多いと思います。「熱中時代」では、理想だけじゃない部分も見せたいなという気持ちもありました。PTAのあり方とか、教育委員会のあり方とかもドラマの中で触れていましたし、教育評論家の遠藤豊吉先生が監修についていただいていたので、理想ばかりにならず、現実的な問題も見せていくという意味ではうまくバランスを取っていただきました。それでも「あんなふうになりたい」と言ってくれたのは素直に嬉しかったです。

――校長先生の家に、北野先生をはじめ、いろんな先生が下宿していて、そこでは学校とは違う先生たちの一面が描かれました。

面白い設定でしたね。“表の顔”と“裏の顔”じゃないですけど、先生たちの普段の生活も見せちゃうというのがいいなぁって。校長先生も夫婦仲が良かったり、時々ケンカしたり、人間味のある部分が垣間見えて面白かったです。

子どもたちが作文を読むシーンは「生徒役の子たちが実際に書いているケースが多かった」

――現在放送されている「熱中時代・先生編」に続いて、「熱中時代2・先生編」の放送が8月3日からスタートします。第1シリーズの最終回は本当に感動的な内容でしたが、それから1年半後、1980年の7月から第2シリーズが始まりました。前作は“北野広大”が教師になって、生徒たちと一緒に成長していくという物語でしたが、第2シリーズは駆け出しの先生ではなく、いろんな経験を積んだ“北野広大先生”だったと思います。どのように演じようと思われていましたか?

第2シリーズは難しかったです。最初と同じでは成長していない感じになってしまいますし、じゃあどれくらい成長したのか?という加減ですよね。そこが制作側の課題でもあったと思います。しかも、担当するクラスが3年生から2年生になるわけです。

――3年生だった生徒たちの担任を再びやるのであれば、生徒たちそれぞれの成長を描けますが、実際は新たな生徒たちと向き合うことになります。

小学生は学年が一つ違うだけでも全然違いますからね。タケノコは土から出てきたばかりだと白い部分が多い。2年生ってまだそういう白い部分が多い学年だと思います。そんな難しい2年生に対して、北野広大がどのように接して、白い子どもたちにどんな色をつけていくのか…そんなシリーズでした。

――第1シリーズも第2シリーズも、子どもたちが作文を読むシーンがあったと思いますが、あれは実際に生徒役の子たちが書いていたのですか?

そうですね。結構アドリブと言いますか、生徒役の子たちが実際に書いているケースが多かったです。生徒役の子たちの役名も本名でした。なので、子どもたちが自然な感じで演技ができていたと思いますし、ドラマと現実がごちゃ混ぜになって、僕のことを“先生”という目で見てくれていました(笑)。

水谷豊の学生時代は…?「走ることにも熱中していました」

――先生編の第2シリーズでは主題歌として「やさしさ紙芝居」を水谷さん自身が歌われていますが、主題歌を担当した経緯を教えてください。

「熱中時代」が始まるよりも前に、歌を歌うようになっていて、「熱中時代・刑事編」でも主題歌の「カリフォルニア・コネクション」を歌いましたので、第2シリーズの時も「主題歌を歌いませんか?」と提案していただきました。

――「やさしさ紙芝居」はノスタルジーを感じる曲で、懐かしさと切なさがありますよね。

はい。「カリフォルニア・コネクション」も「やさしさ紙芝居」も、作曲は平尾昌晃さんです。タイプは違う2曲ですが、やっぱりメロディーがいいんですよ。普通は、譜面通りに歌わないといけないんですが、僕はそれができないんです(笑)。平尾さんは「譜面通りじゃなくていい」って言ってくれて、それで気が楽になりました。作詞は松本隆さん。歌詞の世界観もいいですよね。

――ドラマのタイトルにちなんでの質問ですが、学生時代に“熱中”していたことはありますか?

1964年、僕が小学6年生の時に東京オリンピックが開催されました。12歳になる年に児童劇団に入ってこの世界での活動を始めたわけですが、演技だけじゃなくスポーツも好きでした。進学した中学校は陸上のコーチが日体大から来ていたくらい、陸上が強い学校だったんですけど、体育祭での僕の走りを見て、そのコーチに「素質がある」って言われて陸上部に勧誘されました。「バンパイヤ」というドラマも始まっていたのですが、中学2年の時は陸上部にも入って、走ることにも熱中していました。

――最後に、「熱中時代2・先生編」の見どころをお願いします。

第1シリーズが46年前、第2シリーズが44年前ということになりますが、きっと見ている方は40年以上前のものだということを忘れてしまうくらいのドラマだと思います。今、どこかでこういうことがあってもおかしくない世界というか、子どもたちが抱えている悩みとかは昔も今も変わらないと思いますので、今にも通じるところがたくさんあるんじゃないかなって。僕も今、第1シリーズを楽しく見ています。エンターテインメント作品ですから、第2シリーズも見て楽しんでいただけたら嬉しいですね。

◆取材・文=田中隆信(スタイリスト:髙橋正史、ヘアメイク:遠山美和子)

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