生きていればダサくもなる『何か“オモシロいコト”ないの？』／テレビお久しぶり#99

長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『何か“オモシロいコト”ないの？』(毎週月夜11:00-11:40、フジテレビ)をチョイス。

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生きていればダサくもなる『何か“オモシロいコト”ないの？』

毎週月曜よる11時から放送されている、菊池風磨と長谷川忍がMCを務めるバラエティ番組、『何か”オモシロいコト”ないの？』。今回は番組初となる生放送で、人間のとある行動について、”ダサい”か”ダサくない”かを、リアルタイムの視聴者投票も交えながら議論していく。ゲストは本田望結、菊地亜美、長谷川雅紀、野呂佳代、松尾駿。総合司会を伊藤利尋が務める。

ダサいか、ダサくないかを議論するテーマは4つ。まず1つ目は、『ファッション好きが出すぎちゃってる服を着ている』。一発目からずいぶんな議題であるというか、これにダサいとかダサくないとか外野が言い合ってるのが一番ダサい。誰しも好きな格好をすればいい。「ファッション好きが出すぎちゃってる」と判断したのは一体だれだ。ソイツの言うファッションとは一体何だ。番組内では”ダサい”という意見が優勢、視聴者投票でも7割近くが”ダサい”という結論に至っているのだが、ファッション好きは隠れて生きろとでも言いたいのだろうか。そもそも「ファッション好きが出すぎちゃってる」状態の定義が非常に曖昧である為、これは議論そのものが破綻している。

2つ目の議題は、『高めの腕時計をつけて「これ資産だから」とか言ってること』。これは、まったく経験がないんで分からない。ダサいとかダサくないとか以前に、この台詞ってあるあるなんだという驚きが先に来た。こちらもダサいという意見が優勢であったが、つまり、資産としてアクセサリーをつけているのがダサいということなんだろうか。腕時計のことは本当に無知であり、私には分からない。

3つ目は、『LINEの名前の下にメッセージ性のあることを書く』。確かにこれは、Ｚ世代である（と言い張っている）筆者からすれば、色々と思うところがある。個人的に、前向きなメッセージとかなら全然いいじゃないのと思うけども、番組内でも例として挙げられたように、「ここって何書くの？」みたいなやつは確かに、ちょっと苦手かもしれない。というか、私も、若い頃に覚えがあるような……。ともかく現在の私は、意識的に空白にしている。LINEだけではない、Twitter(X)のプロフィール欄にも、メールアドレスのみを載せている。頓着しない感じが出ていてクールでしょう。結局これがいいんです。これが。

4つ目の議題は、ここで私が触れたって仕方がないと思うんで、是非本編をご覧になっていただきたいと思う。ちなみに私は、あの”独り言”のほうに心惹かれるものがありました。あの、いかにも”善”な発言は、一体どういうことなのだろう。いや人の善を疑うわけではないんだけども、少なくとも私からは、あの独り言は出ないだろう。という…。

さて、かく言う私も、人には言えないダサい部分をたくさん抱えているし、それは番組内で挙げられたような可愛いものよりよほど悪質なダサさである。LINEの下のメッセージ云々でダサいくらいならまだしも、私はもう、生き物としてダサいのである。そして、そう考えたら、なんだかこの世のすべてがダサく思えてくる。結局、ダサい、ダサくないの基準など曖昧なものであり、私たちは自分らしく、それなりに誠実に生きていくほかはない。そこからちょっとしたダサさが零れ落ちたところで、生きていればそういうことも仕方がないだろう。

■文／城戸