田中泯×新田真剣佑が確かな存在感でクライマックスへ…息をのむ展開にくぎ付け<フクロウと呼ばれた男>
世界的に評価されるダンサー・舞踊家にして俳優としても唯一無二の存在感を放つ田中泯が主演し、海外でも精力的に活動する新田真剣佑が共演するドラマ「フクロウと呼ばれた男」の第8話~最終話が5月8日に配信された。キャスト陣の熱演に引き込まれつつ、予想できないとはこういうことかという、驚きの展開が待っていた。(以下、ネタバレを含みます)
国家の裏側・タブーに切り込んだ社会派ドラマ
本作は、あらゆるスキャンダルやセンセーショナルな事件を、時にもみ消し、時に明るみにさらして解決してきた黒幕/フィクサーである“フクロウ”こと大神龍太郎を主人公に、国家の裏側・タブーに切り込んだ社会派政治ドラマ。龍太郎を田中、父・龍太郎と対極な生き方で“正義”を掲げる次男・大神龍を新田が演じる。
2人を取り巻く家族や政治家キャストとして、龍太郎の妻・杏子役に萬田久子、長男・一郎役を安藤政信、長女・影山弓子役を長谷川京子、次女・理沙子役を中田青渚、自由新進党幹事長・竹内創役を中村雅俊、内閣総理大臣・渡辺しおり役を原田美枝子、財務大臣・西條宗助役を大友康平、厚生労働大臣政務官・丸山ひろし役を益岡徹が務め、ガッチリと脇を固めている。
主人公・龍太郎が立ち向かう政界と家族の問題
次期総理候補である竹内の息子が謎の死を遂げたことから始まったストーリー。龍太郎は国家の裏側から、竹内の息子と幼なじみの龍は真正面から、その謎に迫っていくことに…というのが、これまでのおさらいだ。
何度「えっ」と言い、何度息をのんだことだろう。それほどに第8話からの展開は驚きに満ちていた。
龍太郎が解決しなければならない政界の問題と、龍太郎の子どもたちが直面する問題。そのどちらにも金、名声、女、権力といった“欲”が複雑に絡み合っていて、どう動いていくのか予測がつかないというのはまさにこのことだと思わされた。
キャスト陣の見応えある演技が続く
龍太郎が目下、政界において対応するのは、丸山と丸山の弟・政志(中野英雄)のことだ。女性スキャンダルという政志個人の不祥事と、政志の会社を隠れ蓑に丸山の総裁選に絡んだ票集め。それを指摘するときの大の大人がびびってしまう静かなる恫喝に、フィクサーとして暗躍してきた力が示される。
同時に龍太郎は長男・一郎の問題にも対応。愛人に夢中な一郎の妻・沙帆(柳英里紗)に離婚を勧め、沙帆の父・イサム(長塚京三)に報告と詫びに出向く。イサムは会話から大物政治家らしき雰囲気が漂うのだが、この田中と長塚の対峙シーンがシビれるかっこよさだ。
問題の一郎は、父の期待に応えることもできず、弱々しいのに愛人への気持ちが止まらない。その一郎を体現する安藤の演技のうまさでヒヤヒヤする。また、無職になるも家族を支えるというプライドがある夫・昌弘(結城貴史)に振り回される弓子の優秀さが垣間見えるところと、こりもせず弓子に秘密裏に動く昌弘の不穏さがうごめく。
そんな中で、歌手を夢見る理紗子が自分で作詞作曲した歌を披露する機会を得るのだが、演じる中田が普段の声とは違い、歌となるとちょっとハスキーで、なんとも趣ある感じが複雑な展開に彩りを添える。
そして龍は、恋人でジャーナリストのサラ(ハイディ・バーガー)と真実に向かって調べを続け、父・龍太郎の存在に気づいていく。
龍太郎と龍の“正義”の行方をベースにした巧みな構成
第9話で「何かがおかしい」「私の知らないところで何かが起こっている」と龍太郎が感じて、物語が一気に動き始める。エグゼクティブプロデューサーであり、脚本も担当するデビッド・シンが仕掛けた面白さがグッと吸引力を増す。
政界の動きと、龍太郎の家族の動き。複雑に映し出されてきたものが、ポツポツと結びついているかもしれない予感はドラマ好き、サスペンス好きであれば心のどこかで常に抱いているものだろうが、それ以上にアッと驚くことが起きる。
圧倒的存在感を放つ田中と新田がけん引するキャスト陣の熱演と相まっての盛り上がり。ここまでに詳しく紹介していないキャラクターが数名いるのだが、彼らを含めて重厚感ある雰囲気が作り上げられている。第9話ラストから最終話は、本当に怒涛(どとう)といえる展開だ。あなたも、あなたも、あなたも…と、多くのキャラクターに驚がくするはず。フィクサーが必要だった世界の恐ろしさも。
龍太郎と龍の正義がどうなるのか。最後の最後まで「えっ」となるストーリーに引き付けられるに違いない。
「フクロウと呼ばれた男」は、ディズニープラスのスターで独占配信中(全10話)。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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