

田中泯、“息子役”新田真剣佑の印象は「懐の深い青年だと感じましたよ」<フクロウと呼ばれた男>

世界的なダンサー・舞踊家にして俳優の田中泯が、ディズニープラス「スター」で独占配信中のオリジナルドラマシリーズ「フクロウと呼ばれた男」(全10話)で主演を務めている。田中が演じるのは、あらゆるスキャンダルやセンセーショナルな事件をもみ消し、時に明るみにさらして解決してきた黒幕/フィクサー、“フクロウ”と呼ばれる大神龍太郎。このほど田中にインタビューを行い、龍太郎を演じる上で気を付けていたことや、息子・龍を演じた新田真剣佑の印象などを語ってもらった。
「頑張るしかないなと思いましたね」
――「フクロウと呼ばれた男」が4月24日から配信開始。見応えのある社会派政治ドラマになっていますね。
この作品は、“大人が見てくれる作品”にしたいという意図があって制作されたものです。ようやく配信が始まりますが、この作品に関わってからもう6年ぐらいたっています。
――そうなんですね。では、この作品がディズニープラスで配信されると決まった時はどんな心境でしたか?
「本当に?」っていう感じでした(笑)。そこまで時間も掛かりましたから、いろいろと複雑な気持ちもありましたけど、今回のドラマシリーズにして配信するには、僕が引き受けなければ進まない話だと言われたので、「分かりました」と言って受けることにしました。そこまでして選んでもらえたのであれば、頑張るしかないなと思いましたね。
――政界を題材にした作品でフィクサーである龍太郎を演じられていますが、題材や役柄をどう受け止めていますか?
政治を題材にしているのは面白いなと思いました。今の政治状況は、日本だけじゃなく、世界中がおかしくなっていますからね。国という壁があったにせよ、人間同士、同じ種がこんなに争いをしていていいのか?って思っていましたから。世界中でいろんな争いが起きていますし、このままだと危険ですよね。龍太郎が生きている世界は“上流社会”で、僕自身は最下層で生まれた人間なので、知らない世界だけど、だからこそこの役を演じられて良かったなと思ったりもしています。この役を演じたことで、そういう世界のことを知ることができたので。
――確かに、ほとんどの人は“フィクサー”がどんな存在なのか知らないですし、政界の裏側が見える作品に興味を持つと思います。
フィクサーは、いろんな事件をもみ消したりする“悪人”ですけど、その存在を知らない人のほうが圧倒的に多いですよね。日本人のほとんどが知らなくて、一部の人だけが知っている。その一部の人というのは複雑な社会を構成する張本人なわけです。でも、龍太郎が悪人と呼ばれる背景には、自分にとっての“正義感”があるからだと思うんです。「こうあってほしい」「日本という国はこうでなくてはいけない」という思いを持ち続けてきたんじゃないかと。
「体的なところは自分と重なったり…」
――龍太郎を演じる上で気を付けていたことは?
この全10話で登場する龍太郎は、「これで終わりにしよう」というようなセリフも実際に出てきますが、晩年を迎えています。若い頃は頭ごなしにやっていたりしたんだと思いますが、体も衰え始め、以前のようにさっさと歩けなくなっていたりします。しゃべる時も頑張っていて、異常に間が空いたしゃべり方…、ゆっくり自分に言い聞かせるようなしゃべり方をしていたりします。僕自身もそういう年齢に差し掛かっていて、体的なところは自分と重なったりしたので、そんなに苦労しないで演じることができました(笑)。第1話から最終話まであらためて見直してみたら、龍太郎の年老いていくプロセスがちゃんと表現できていたように感じました。
――家族と接している時は、フィクサーと違う一面も感じられる場面もありましたが。
そうですね。家族のことをほとんど顧みずに走ってきた男なので、子どものことはそんなに考えてなかったと思うんです。なので、末娘の理沙子(中田青渚)と喫茶店に入って話をする時も、何を話していいのか分からない感じですし、どんなことをしたいのかも知らないくらい。
「新田さんにもぴったりな役だと思います」
――新田真剣佑さんが演じる次男・龍との親子対立が大きな見どころですが、田中さんから見た龍はどういう人物ですか?
社会に対する正義感とか、個人としての正義感、生きるための正義、そういうものを持ち合わせていて、いいですよね。新田さんにもぴったりな役だと思います。
――龍は海外で生活していて帰国してきますが、新田さんも海外を拠点に活動されているので、そういう意味でもぴったりな感じがします。
新田さんは俳優をすると決める前は流浪の旅をしていたみたいですからね。グローバルな視点で物事を見ていると思いますし、懐の深い青年だと感じましたよ。
――田中さんも海外での活動も多いので、新田さんと共通する部分も。
そうですね。外から日本を見るというか、そういう体験を長い間してきましたので、似ている部分があると思います。
演出陣も豪華なラインアップ
――このドラマの演出は、森義隆さん、石井裕也さん、松本優作さんが担当されています。
テレビドラマって、演出・監督を1人でやることは少なくて、何人かでやることが普通なんですけど、見習いみたいな人も混じっていたりするので1人でやったほうが良くなるんじゃないかなと思うこともあります。でも、この作品に関しては3人とも自立している監督で、話題となる作品も手掛けられていて、それぞれ強い個性を持っています。
最初は「え? この3人がやるの?」と驚きました。しかも、第1話はこの人、第2話はこの人というふうな分け方じゃなくて、シーンごとに担当が違ったりするんです。その担当の振り分けは面白いと思いましたし、それぞれ個性がありながらも、3人でよく相談されていて、ギャップのないように仕上げていました。演出も意識して見てもらえると面白いかもしれません。年齢層の違うそれぞれ本当に素晴らしい三人の監督に会えたことも僕にとっては幸運でした。
――そして、この作品は日本だけでなく海外にも配信されるので、いろんな国や地域の方が見るわけですが、いろんな反響がありそうですね。
日本が舞台の作品ですが、海外の方が見たらどう映るのか興味があります。この脚本はエグゼクティブ・プロデューサーのデビッド・シンさんが書いているけど、まるで日本人が書いたんじゃないかと思うくらい、日本のことをすごく理解して書かれています。彼はすごく日本が好きなんです。映画「PERFECT DAYS」のヴィム・ヴェンダース監督も、現代の日本人が感じなくなってしまっている様なこと、気付いていない様なことも描写されていました。
この作品も、デビッドさんが外から日本を見て書いている感じもあると思うので、ドラマを見る人も気付かされることが多いんじゃないかと思います。最初に第5話まで配信されますが、ぜひ続けて見ていって最終話までたどり着いてほしいなと思いますね。
◆取材・文=田中隆信
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