

野呂佳代は「縁の下」で絶大な信頼感と存在感を放つ【てれびのスキマ】

バラエティ、ドラマに引っ張りだこの名バイプレイヤーに
放送中の大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合ほか)の第1話で、藤原道長(三郎)が、従者である百舌彦を連れ立って京の町を訪れる。散楽一座の大道芸を夢中になって見ている道長の横で、百舌彦は隣にやってきた町娘と手が当たり目を合わせると、手を握って微笑み合う。第2話でも、柄本佑扮(ふん)する成長した道長と百舌彦が一座を見ていると、彼女がまたやってくる。
目で百舌彦を探すと、百舌彦も気付き2人そろってどこかへ消えていく。どちらも1分に満たない短いシーン。しかもセリフは一切ない。けれど、その意味深な表現で視聴者に強烈な印象を残した。その町娘・ぬいを演じているのが、野呂佳代。バラエティタレントのイメージが強いが、いまやドラマに引っ張りだこの名バイプレイヤーだ。
年齢詐称しアイドルデビュー
野呂は幼稚園の年長のときに「101回目のプロポーズ」(1991年フジテレビ系)を見て、雨が降りかかる窓に向かい、しっとりとした顔をつくって浅野温子のモノマネをしていた。その頃から、お芝居が好きで、いつか役者になりたいという思いがあったという(「テレ東プラス」2022年4月6日)。
役者を目指し事務所に所属し、「ことぶきウォーズ」(2004年TBS系)で俳優デビューするが、その後は受けるオーディションすらない状態で苦しんでいた。そんな時、見つけたのがAKB48のオーディションだった。しかし、このとき既に22歳。新人アイドルとしては高齢だ。だから、野呂は年齢も詐称し写真も加工して応募。実際の面接で「誰だよ」という空気が流れるも「この子がスタイル良くなって綺麗になっていく過程があったら面白いよね」という秋元康の意向で合格した(「あちこちオードリー」2022年1月12日)。
その秋元からは目をかけられるも、やがて選抜から外され「劇場の番人」のような存在になった。前田敦子や大島優子がいる太田プロに所属し「『すごい出世街道に行ったわ!』と思ったんですけど、私だけ班が違った」(「QJWeb」2021年10月1日)と振り返るように、SDN48移籍後は苦しんだ。そんなアイドル時代も役者への思いは常に頭の中にあった。
先輩・有吉弘行の助言
アイドルを卒業してからはバラエティと並行して、役者として小劇場で活動するようになった。せっかく夢だった役者の仕事をしていても、他の元メンバーが映画やドラマで華々しい活躍をしている姿と自分を比べ「本当はドラマや映画に出たいのに」などと愚痴を吐く日々だった。
「10代のころは、20代で若手女優として恋愛ドラマやバラエティに出て、30代で本格的女優として確立されるというイメージがあった」(「クランクイン!」2014年4月25日)そんな目論見とは程遠い状況。そんなときに出演したのが、「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)だ。先輩である有吉弘行に「進路相談」をするという企画(2013年2月5日)だ。そこで野呂は「いまはパチンコの営業などで食いつないでいるが、深津絵里のような女優になりたい」と語る。
すると有吉は呆れたように「割りきってほしいですよー。深津絵里さんを目標にするなんて言わないでほしいですよ」と次第にヒートアップ。「自分のことが異様に見えてないっていうのが問題なんですよ」「パチンコ番組、全力でやれよ、バカ!」と言い放つ。それでも「縁の下はもう嫌だ」と食い下がる野呂に対し、有吉は「でもね、支えてきた人ってのはね、やっぱりずっと支え続けなきゃいけないんですよ。そういうもんなんですよ。途中で『やーめた』『私も神輿の上に乗りたいな』じゃね、それこそ手のひら返しみたいになって一気に嫌われちゃいますからね」と諭したのだ。
「ずっと支え続け」ている
そこからバラエティ番組に対する意識が変わった。たどり着いた答えは「バラエティを頑張れば、いつか女優に繋がる」(「テレ東プラス」前出)。転機になったのは「ゴッドタン」(テレ東系)だった。自分の理想の口説かれ方を自らが脚本を書いて演じる「私の落とし方発表会」での演技をスタッフが見て、役者の仕事のオファーをもらうことが少なくなかったという。
「メンタル強め美女白川さん」(2022年テレ東系)や「ブラッシュアップライフ」(2023年日本テレビ系)でも、友人として主人公を支える役柄。有吉が“予言”したように「ずっと支え続け」ている。遠回りした結果、バラエティでもドラマでも野呂佳代は「縁の下」で、絶大な信頼感と存在感を放っている。
文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」
※『月刊ザテレビジョン』2024年5月号
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