“美人声優”としても話題のLynn「【推しの子】」「水星の魔女」ヒット作出演で飛躍の年に

2023.09.07 06:10

関連ワードが毎話放送後にトレンド入りするなど、2023年アニメ界の話題をさらった作品である「【推しの子】」と「機動戦士ガンダム水星の魔女」。その両作に出演しており、前者では芸能プロ「苺プロダクション」の社長・斉藤ミヤコ役を、後者では容姿端麗、成績優秀なベネリットグループの総裁の一人娘ミオリネ・レンブラン役を務め、注目を集めたのが声優のLynn(りん)だ。10月4日(水)から始まるアニメ「婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む」にはエルーカ・クロフォード役で出演することも決定している。また、声だけではなく“美人声優”としても話題だ。今回はLynnのこれまでの軌跡を振り返りながら、その特徴と魅力に迫っていきたいと思う。

声優を目指したきっかけは山口勝平

小さい頃から芸能界への憧れを抱いていたというLynnは、小学生の頃に声優の仕事について知った。小学3年くらいの頃に大好きなアニメ「犬夜叉」「名探偵コナン」を見ていて、ふと好きな理由を考えたとき、それは“声”だったことに気付いたという。調べてみると、犬夜叉の声と工藤新一(江戸川コナン)の声はどちらも声優・山口勝平。偶然ながら、好きなキャラをどちらも同じ声優が演じていたことを知り、“声優”という仕事の面白さを感じた。それが声優を知ったきっかけでもあり、声優を目指す出発点にもなっていたのだろう。

それから声優への思いが強くなっていき、高校生になると「日本ナレーション演劇研究所」(通称：日ナレ)に当時住んでいた新潟から東京まで毎週新幹線で通った。基礎科ではストレッチや発声練習のようなまさに基礎的なことから教わり、2人で組んでのエチュードや即興劇、さらには歌のレッスンも受けたという。日ナレでのレッスン以外では、毎日「外郎売り(練習法)」を覚えて、滑舌や発声練習をして次のレッスンに備えた。

ちなみに「アイドルマスターシンデレラガールズ」の速水奏役や「新あたしンち」のしみちゃん役でおなじみの飯田友子とは基礎科の同じクラスだったそう。

アニメ声優初挑戦は「NARUTO-ナルト-疾風伝」

高校卒業後、現在も所属する事務所アーツビジョンの声優として本格的にキャリアをスタート。声優を知ったきっかけがアニメだったということで、アニメの仕事をやりたいという気持ちが強かったが、最初の仕事は洋画の吹き替え。それでもやはりアフレコの現場では共演する先輩俳優から学ぶことが多く、“実践”で得たものは多かったという。

人気海外ドラマ「glee／グリー」が初のレギュラー作品で、シーズン4から登場するマーリー・ローズという女性の声を担当。マーリーを演じていたのは後にドラマ「スーパーガール」で主演を務めるメリッサ・ベノイストだった。それからも洋画や海外ドラマの仕事が続いたが、ついにアニメ作品に関わることに。それが2012年の「NARUTO-ナルト-疾風伝」だ。

これをきっかけに、「バクマン。3」「マギ The kingdom of magic」など、アニメの仕事も増えていき、2014年7月期に放送された「さばげぶっ！」でアニメ作品初レギュラーをオーディションを通過して勝ち取った。原作は同名のコミックで、女子高校生たちが部活として“サバイバルゲーム”に興じる物語。Lynnはサバゲ部唯一の“良心”と言われている経堂麻耶役を担当した。初主演は、2016年10月期の「競女!!!!!!!!」。女性のみで対戦する“尻相撲”に似た架空の水上競技「競女(ケイジョ)」を題材にした青春ストーリーで、Lynnは主人公・神無のぞみを演じた。

個性的なキャラを巧みに表現するLynn。明るく元気でこだわりの強い高校生・秋月風夏(『風夏』)、生真面目で内気な性格だけど芯の強さがある丸眼鏡が特徴のギルダ(『約束のネバーランド』)、表情豊かで元気な性格だったが膵臓の病気になってしまう女の子・山内桜良(『君の膵臓をたべたい』)など、Lynnが演じた役は声と共に表情もすぐに思い出すことができる。

マルゼンスキー(『ウマ娘プリティーダービー』)や松本香子(『私に天使が舞い降りた！』)もそう。比較的最近の作品だと、「機動戦士ガンダム水星の魔女」のミオリネ・レンブラン、「【推しの子】」の斉藤ミヤコもLynnの代表的キャラと言えるくらいハマっていた。

その美しさでもファンをとりこに

声優としてのLynnの活動や演じたキャラを追ってきたが、Lynn自身はどんな人物なのか。一つは無類の“ラーメン好き”。「Lynnのうまい！もう一杯は辞めておきます」という配信番組を担当しているが、ラーメンについて語っている時はテンションが高く、そこからもラーメンへの深い愛情を感じる。

また、競馬好きで競馬専門誌で連載コラムを持っていたり、JRAのキャンペーンに出演したり、競馬番組に出演して予想を披露したり、レイパパレが制した2021年春の「第65回大阪杯(GI)」では、3連単10万馬券(1000円単位で賭けていたので100万超の払い戻し)を的中させたことも話題になった。“ウマ娘”声優であり、ガチの“ウマ女”でもあるところもファンの心をつかんでいる。間もなくやってくる“秋のGIシリーズ”でもキレ味鋭い予想が見られそうだ。

そして声だけでなくLynn自身の美しさも多くのファンをとりこにしており、2022年3月には写真集「りん」を発売。開放感あふれる沖縄で撮影され、ドレス姿から水着、馬に乗ったアクティブなショットまで、いろんな姿を見ることができる。声優とは違う魅力が感じられる1冊となっている。

もちろん本業の声優としてもアニメ「婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む」のエルーカ・クロフォード役など、これからも幅広い役柄に挑戦していくはずなので、さらなる活躍に期待したい。

「【推しの子】」と「機動戦士ガンダム水星の魔女」はディズニープラスなど各種動画配信サイトで配信中だ。

◆文＝田中隆信