香川愛生 撮影/関根いおん

“コスプレする棋士”香川愛生女流四段のディープすぎる愛「ここまでの反響になるとは予想外」

2023.07.17 07:03
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藤井聡太七冠の活躍に端を発した現在の将棋ブームは、まさにとどまることを知らない。ベテランから若手まで、様々な形で将棋の魅力を発信する中、可憐な姿からは想像できないほどの攻め将棋の使い手であり、「番長」の異名を持つ香川愛生女流四段は、YouTubeチャンネルの開設や数々のイベント出演だけでなく、自身が愛するゲーム・アニメと将棋の魅力を掛け合わせ、独自の普及活動に勤しんでいる。将棋ファンはもちろん、将棋ファン以外からも人気を集める彼女に、将棋の普及活動について、また自分を形成したカルチャーについての話を聞いた。

将棋会館の記念すべき事業に、敬愛する『名探偵コナン』を推薦してしまうほど、香川女流四段の“コナン愛”は深い。なぜそこまで『名探偵コナン』に惹かれるのだろうか?

「私が物心ついたころにはすでに『名探偵コナン』はテレビアニメが放映されていて、気づくと毎週テレビの前で待機するのが日課になっていました。『名探偵コナン』の魅力は、まず主人公の江戸川コナンくんが、謎を次々に解決していく爽快感、面白さががあります。

元々、“謎解き”自体が好きで、幼少からゲームの『レイトン教授』シリーズをプレイしたり、『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』『ネプリーグ』を見ては一緒に回答したりしていました。今も休日中は頭を働かせている方がリフレッシュできます。良い謎に触れ、良い謎解きができると開放感が生まれるんですよね。

『コナン』はまさに、事件があって、証拠があって、その中から犯人を推理するという、『頭を使って“読む”』ところの面白さの塊で。ただそれだけでなくキャラクターの魅力がすごく強いですよね。”ラブコメ”とも言われるように新一や蘭ちゃんといった主要キャラクターをはじめとした登場人物から生まれる、様々な人間模様と恋愛模様が楽しめるところも、世界へと惹き込んでくれます。こうした様々な魅力が一つの作品に凝縮されているからこそ、私も長年に渡り敬愛しているんだと思います」

将棋以上に長い時間を共にしているのが、ゲームだ。始めたのは5歳と早く、元『週刊ファミ通』の浜村通信の子息と小学校時代の同級生ということもあり、友人と大好きなゲームを一緒にプレイするのが本当に日常の一部だったという。数々の作品をプレイする中、心を大きく掴んだのは『ポケットモンスター』だった。

「アニメを幼少期から見ていたので、ストーリーやキャラはもちろん大好きですが、競技としての『ポケモンバトル』が衝撃的で。中学生の頃から、世界大会の中継がニコニコで放送されていたのをよく観るようになるのですが、一対一の読み合いが将棋に近いし、『こんなかわいいポケモンたちの世界でも、ここまでの真剣勝負が繰り広げられているのか!?』という熱さに、見事に撃ち抜かれてしまいました。

通常の対戦も面白いのですが、大会となると通常では思い浮かばないような、まさに“神読み”のごとき選択をされる方がいたり、誰も思い浮かばないような戦略を起用する方がいたりと、本当にプレイヤー1人ひとりの戦い方が凄まじくて。中でも大会で勝ち進むような強いプレイヤーの方は自分にしかない“型”を考えていて、そうした戦い方の構築方法が私は見ていてすごく楽しいんですね。

直近で開催された、『ポケモンジャパンチャンピオンシップ』という日本一を競う大会では、まさにその自分にしかない“型”を見たんです。これまでの常識を覆すような戦法に、数多くのプレイヤーが衝撃を受けたと思います。しかもその方が最後、優勝したんですよ! 誰も思いつかない戦法で勝つっていうのは将棋でもポケモンでも、人を燃え上がらせますよね。気づけば友人と『あれはすごかったね!』と、延々感想戦をしていました(笑)」

さらに、香川女流四段を語る上で欠かせないものの一つにコスプレがある。YouTubeでもコスプレ姿を披露し、「コスプレする棋士」として、メディア出演を果たしたことも。ある種、将棋同様に近代の日本文化である、コスプレにのめり込んだのは何がキッカケだったのか?

「大学のゼミにすごくカッコイイ女の子がいたんですね。本当にカッコよく人柄もステキな子だったので、普段何をしているの?と聞いたら、コスプレサークルの部長さんだったんです。彼女と友達になった流れで私もコスプレすることになったんですよ。色々と教えてもらいながら私も徐々にのめりこんでいきました。

最初にコスプレしたのはゲーム『スーパーダンガンロンパ2』の七海千秋ちゃん。友人が主人公の日向創くんをやってくれたので、それの合わせでした。このコスプレで、スタジオで撮影しましたし、幕張メッセのイベントにも遊びに行きました」

その趣味が後に、『有吉反省会』で「コスプレ写真でファンをざわつかせている」と取り上げられて以降、将棋を題材にした作品『りゅうおうのおしごと!』のヒロイン・空銀子のコスプレで対局イベントに出演し、果てはカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』のイベントに公式コスプレイヤーとして参加するなど、仕事へも繋がっていくことになる。

「ここまでの反響になるとは……予想外すぎて不安ではありました(笑)。本当にただの趣味ではありますが、コスプレ文化も楽しんでいただけたらいいなあという想いがありましたので、こうした広がり方もありなのかなと。

正直な話、コスプレは大変です。コスプレの楽しみ方は人それぞれあり、あくまで私流のこだわりですが、作品やそのキャラクターの良さが伝り、なおかつキャラクターをちゃんと再現・表現できていないと納得できないんです。原作という答えに、自分をどこまで近づけられるか?その戦いが私のコスプレにはあります。

上手く伝わるか不安ですが、私の中でコスプレは100点と99点の差が激しいんです。完璧以外は受け入れがたい。ウィッグの毛の一本一本に魂を宿らせて、まさにキャラクター本人と同一でなければ納得できません。

常に完璧でなければいけないというプレッシャーの中でコスプレしているため、イベント前日はもう対局前より緊張していますね(笑)。『明日大丈夫かなあ、忘れ物もしてないかなあ』って。将棋は20年以上にわたり指してきたので、緊張もありつつ自力で切り開いていける自信や慣れがありますが、コスプレは1ヶ月丸々準備して本番に臨み、それでも確実に納得いくものができるわけでもないので……本当に毎回お腹痛くなります(笑)」

きっとこの先も自分にしかない発信方法で、香川女流四段は将棋の魅力を伝えてくれることだろう。しかも来年は、1974年より始まった女流棋士制度が50周年を迎える。こうして将棋界にとって節目の出来事が続く中、この先の歩みについてどのように考えているのだろうか?

「実は来年秋にプロデビューしてから15年経ち、いよいよ人生の丸々半分をプロ棋士として過ごしてきたことになります。女流棋士制度発足50周年という節目に、個人的な節目を迎えられるのは、気が早いですが感慨深いなと。

一女流棋士としては、先輩方が紡いでくださった女流棋士の世界を、より発展させていくために、私ができることをとにかく考え続けていくことになると思います。一方で、自分の活動となると、新しいことを切り開いて行くことをやっていきたいですね。

最近考えているのは、この1、2年はすごくアウトプットに注力してきたというか、自分の中にあるものをたくさん出してきたので、この先はインプットといいますか、より自分自身の魅力を高めていくにはどうしたらいいかな?と考えています」

(取材・文/田口俊輔)▽香川愛生(かがわ・まなお)1993年4月16日生まれ、東京都出身。日本将棋連盟所属の女流棋士。YouTubeチャンネルの登録者数は将棋界で最多となる20万人を誇る。Twitter:@MNO_shogi

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