ダウ90000・蓮見翔、“最大のピンチ”を振り返る「仕事なくなるよって…」
動画配信サービス「Paravi」では、演劇コントユニット・ダウ90000とダウ90000の大ファンである女優・松岡茉優が出演するParaviオリジナルバラエティ「ダウってポン」が全話独占配信中。今、最も勢いのある演劇コントユニット・ダウ90000は、作・演出を務める蓮見翔が日本大学芸術学部出身のメンバーを中心に旗揚げしたグループ。Paraviでは、そんなダウ90000が“往年のバラエティに挑戦”しようと思った時に起きたハプニングによりピンチに見舞われ、それでも番組を成立させるために奮闘するフェイクドキュメンタリー番組を全5話で配信している。今回、ダウ90000主宰の蓮見にインタビューし、本作の見どころやダウ90000結成時の裏話、今後の展望などを聞いた。
途中からリアルとフェイクの境界線が曖昧になった
――配信されてからの周囲の反響は?
回を重ねるごとにいろんな方から感想をいただけるようになったので、うれしいです。あといろんな意見があって面白いなぁと。友達からオープニング映像のチープさをツッコまれていたんですけど、後から普通に「面白い」という声が届いて。最初はそのチープさが振りになってることに気付いてなかったもんねとニヤニヤしてしまいました(笑)。
――“フェイクドキュメンタリー”という作りの番組ですが、撮影に参加してみていかがでしたか?
途中からなんかリアルとフェイクの境界線が曖昧になって訳が分からなくなったりする瞬間もあったんですけど(笑)、みんな思ったより順応して撮影に臨めていて「こういうのもいけるんだなぁ」と新たな気付きになりました。最初に番組のコンセプトなどを聞いた時に「これは面白いな」と思ってはいたのですが、普段は自分が本を書いて演出してという感じでやってきたのでどうなるか不安だった部分がありました。でも撮影に入ってみるとめちゃくちゃ楽しかったです。
この番組は“フェイクドキュメンタリー”が10割なのですが、そのフェイクドキュメンタリーを作ろうと思ってる人が要所にいるって感じなんですよね。仕掛ける人というか。それがいつ来るのか全く分からなくて、本当に何も知らずにやってました。その場で台本を書いてるような感覚で、それにノッてくれる人とノッてくれない人と露骨に分かれるのも面白かったです。
――劇中では蓮見さんの家で打ち合わせをしたりしてましたが、そういうところは“リアル”なんでしょうか?
そうですね。家で打ち合わせだったり、新年会を開いたりもしているのでああいった場面は普段通りですね。
役者志望のメンバーに「コントライブをやらせてほしい」とお願いした
――ダウ90000さんは2020年に立ち上げたということですが、どういった経緯で活動を始めたのでしょうか?
みんな大学の演劇サークルに所属していて僕が最年長だったんですけど、卒業した年に「じゃあみんなあとは頑張ってね」とやるにしてはちょっと大学生活の時間を奪いすぎたかなと思っていたので責任を取るというわけではないですが…就職せずプロでやってく気がある人は残ってもらってグループを組んで、とりあえず「バイトを辞めても活動できるところまでは頑張ります」と言ってスタートしました。
2020年の9月に組んで、翌年1月には演劇公演第1回目をやろうと決めていたんです。でもその前にも舞台に上がる機会は作りたくて、みんなが役者志望で演技や芝居をやりたいという思いが強いのは分かっているので、「それは絶対に叶えるから、その前にコントライブを毎月やらしてほしい」とお願いしました。
そのコントをYouTubeに上げて、ちょっとでも口コミ広げて第1回公演が埋まるようにしようというのを目指しました。毎月コントライブをやっていたんですけど、「これすごいウケるな」という手応えを感じるようになったところで注目していただけるようになりました。それで外部のライブに出させてもらえるようになって活動の幅がちょっとずつ広がっていった感じです。
全員で出演するドラマが決まったときに危機感を覚えた
――劇中では第1話より“最大のピンチ”のような状況から始まりますが、ダウ90000さんで“最大のピンチ”というものはありましたか?
ありがたいことに結構順調に活動ができていると思うんですけど、全員で出演するドラマが決まったときは危機感を覚えましたね。「セリフを覚えてきてね」って声をかけたんですけど、みんな本当にセリフを覚えてきただけで演技プランなどの準備が全く出来ていなかったんですよね。ちゃんとセリフは覚えてきていたんですけど、本当に言ってるだけなんです。初めてのドラマでこの準備量は何もやってないのと一緒だから、意識を変えないとまずいという話をしました。
みんな自分に才能があって売れたと思っているんじゃないかということも言いました。僕たちは大人数のグループでコントをやっているという、その存在が稀有だから注目していただいた部分が大きいと思うので、そのありがたみをちゃんと踏まえて仕事しないと仕事なくなるよって。それからはみんな意識変えて頑張れているのですが、その時が今のところ“最大のピンチ”だったなと思います。
――劇中でも蓮見さんが締めるところを締める、というような感じでしたよね。
俺が怒ったら終わりだってずっと思ってるんですよね。いざ怒り出しちゃったらもう今の空気感じゃなくなるから。多分舞台上の演技とかも変わってきちゃうと思うんです、関係性が変わるから。そうなってしまうのはダメだけど、どうしても言わなきゃいけないことがある時だけちゃんと言うようにしています。すごく嫌な言い方で言ってると思います(笑)。まだブチギレたほうがましだと思うくらい。そういうのは自分で気付いたほうが人としての厚みが出るから良いと思うんですけど、どうしてもって時には年に1回くらい厳しく言うようにしています。
――グループとしての今後の展望は?
僕たちの劇場公演に沢山のお客さんが足を運んでくださって、その規模がちょっとずつ大きくしていければいいなと思っています。毎年コントと演劇の新作を1本ずつ作って公演を続けたいなと思ってるんですけど、地方も回れるくらいお客さんを呼べるようになって、ドラマなど個人の仕事もしていけたらいいなという思いがあります。個人の活動をそれぞれ頑張りつつ、グループでの活動が廃らないように頑張っていきたいです。
松岡茉優は「とんでもない人だなと驚きました」
――当番組にはダウ90000さんのファンと公言されている松岡茉優さんも出演されてますが、松岡さんの現場でのご印象は?
番組でコントに挑戦していただいてるのですが、ネタ合わせを一緒にさせてもらったときにとんでもない人だなと驚きました。コントをやる感覚も持っていて、ネタのノリを掴むのが早くて器用な方なんだなと感じました。そういった方にファンだと言っていただけるのはとてもうれしいですよね。
――最後に視聴者の方へメッセージをお願いします。
僕らのことをすでに知っている方は「こういうこともするんだ」と思っていただけるだろうし、初めて見る方には名刺代わりのような番組になっていると思うので少しでも興味を持っていただけたら覗いていただきたいです。また、新作コントを書き下ろしているのでそれだけでもぜひ見ていただきたいです。100%楽しむためには第1話から見るのをおすすめしたいですが…(笑)。最近、新進気鋭とか言われている男が本気で書いたコントがどんなものなのか、そういった興味からでも見ていただけたら嬉しいです。
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