吉本実憂 撮影/田中健児

吉本実憂が『ドラ恋』で得た気づき「感情をより深く作り込まないと顔に全部出ちゃう」

2023.01.24 07:03
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2012年に「第13回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリを獲得してから、女優としてのキャリアを積み上げてきた吉本実憂。現在出演するモキュメンタリー『恋愛ドラマな恋がしたい in NEW YORK』(ABEMA)の裏側や出演を通しての変化を聞いた。

──現在放送中の『恋愛ドラマな恋をしたい』はこれまで出演された映画やドラマとはまた違った作品ですよね。

吉本 もともと『ドラ恋』はめちゃくちゃ観ていて、ファンだったんです。観ながら「もし出たら……」と想像したことがあったんですけど、恥ずかしかったのでまさか自分が出るとは思ってなかったです(笑)。

──観ている側として、どこに魅力を感じていたんですか?

吉本 普通の恋愛リアリティショーと違うのはお芝居が関わってくることで、役者の方やお芝居をやりたいと思っている方々がオーディションを受けて、主演を勝ち取りに行くという部分。オーディションの風景ってなかなか見られないし、そこで葛藤している姿を観ると、気持ちがわかる分すごく苦しくなるんですけど、それでも頑張って前に進んでいる方々を観ると自分の活力や原動力になるんです。

──オーディションの風景やシェアハウスで暮らすところもすべて撮られている中で、大変なことはなかったですか?

吉本 ニューヨークに行く前から、取り繕うことはなしで素のままで行くと決めていたので、そういう意味で本当に無理している部分はないし、ほとんどカメラは意識してなかったです。流れに身を任せていたらすごく泣いていたり笑っていたり、悔しがっていたりしていて、自分って普段こういう人なんだと発見がありました。あとは反響やコメントで「実憂ちゃんって表情豊かなんだね」と言われることもあって、今までのイメージをちょっと変えられてよかったかなと思います。

──ご覧になってみて、ご自分に関する新たな発見はありましたか?

吉本 自分では暗い人間だと思っていたんですけど、映像で観ているといわゆるゲラかもしれないなって(笑)。あとは表情ですね。よくこの表情をしているなとか、恋したときはそれまでと顔が全然違ったので、すごく恥ずかしいなと思いました(笑)。こんなに人って変わるんだと思った反面、お芝居ではこれから感情をより深く作り込んで役に溶かさないと、顔に全部出ちゃうんだなということも学びでした。

──これまで出演された作品とはまた違う学びもあったのでしょうか。

吉本 ありました。もともと自分に自信がないので、役の方が魅力的だと思っていて、だから演じるときは自分を排除して0からその役を作り上げていたんですね。だけどニューヨークに行って自分の感情を役に溶かすというか、自分の感情をちゃんと使うことを学んだので、その勉強の1つとして『ドラ恋』のドキュメンタリー部分もしっかり観ようという気持ちになりました。もう吸収できるものは全部吸収したいなって。

──女優としてお仕事されていると、観ている方からいろいろ言われることもあると思うのですが、それは気にするタイプですか?

吉本 気にしない方だとは思いますね。一番は自分のSNSに届くコメントを信じています。たまに悲しいコメントもくるんですけど、それは自分に送ってきている分まだいいなと思うんです。言うなら直接言ってきてほしいし、陰口が一番嫌かもしれないです。

──そして1月28日には音楽朗読劇「星の王子さま Le Petit Prince 〜きみとぼく〜」に出演されますが、朗読劇は初めてなんですよね。

吉本 初めてです。しかも音楽朗読劇なので、初めての中の初めてです(笑)。今回は(木戸)大聖くんと一緒でよかったと思いました。福岡県出身とか共通点が多かったり、同じ感覚を持っていて、すごくちゃんとお芝居に向き合っている方なので、顔合わせからすごく盛り上がりました(笑)。

──そう思えるくらい、合うものがあるんですね。

吉本 やっぱり地元が一緒っていうのは特に強くて(笑)。九州という島から出てくる勇気ってやっぱり……いい意味で暑苦しいんですよね(笑)。だから福岡で、しかも北九州だったら大丈夫な人だなっていう、深いんだか浅いんだかわからない理由なんですけど(笑)。

──朗読劇ならではの魅力はどういうところで感じますか?

吉本 本当は全部覚えようかなと思ったんですけど、それだったら舞台でいいのかなと思いました。朗読劇の良さって多分、表現する側が文字を見ながら読むことにあるのかなと思っています。そうすることによってより深みを増すというか、感情はもちろんですけど、聞いてくださっている方にも文字として言葉が届くのかなと思っているので、あまり作り込まないようにしています。緊張は多分しないと思いますし、当日が楽しみです。

──緊張しないんですか?

吉本 緊張という言葉を、何年前かに置いて来てしまったんですよね(笑)。ただ『ドラ恋』の「ブルーベリーナイツ」のオーディションのときだけは緊張しました。あの回はリー・ストラスバーグ演技学校というところでオーディションをしたんですけど、ロバート・デニーロさんやマリリン・モンローさんとか、自分がいつも観ている作品の役者さんたちが卒業した場所なんです。

当日はその場所と、いつも審査してくださっている先生に加えて学校で実際に教えている先生や卒業生の方が審査員だったので、「ここで受かるしかない」という気持ちが緊張に変わってしまい、ずっと手が震えていましたね。

「全部の主演を取る」くらいの気持ちで戦いに行っていたのに、まだ主演を取れていなかったので、「ここで取れないなら役者を辞めようかな」くらいの気持ちで望んでいたのも緊張に繋がりましたね。そのときのことはあんまり覚えてないです。

──最後に、今年お仕事やプライベートでやりたいことを教えてください。

吉本 もう私はお芝居をやれていたら、作品を作り続けられていたら幸せですね。それはニューヨークに行って、死ぬほど感じました。だからお芝居に関わることや、良い影響をもたらすいろんな表現を学んでいきたいです。シンガーソングライターの役などがいつ来てもいいように歌やドラムもちゃんと始めたいし、あとはアクションですね。闘いが好きなので(笑)。最初はリアルアクションを学ぶことが入口だったんですけど、ちょっとした感覚や間合いで見え方が変わってきたり、生きるか死ぬかの世界で闘う気持ちを持つということが想像以上に奥深くて。ただキレイなだけじゃないリアリティのあるアクションをやりたいなと思ったので、これからもどんどん極めていきたいです。

──戦いが好きというのはどういう感覚なんですか(笑)?

吉本 なんか本能的なんですよね。動物でもトラとかホワイトタイガーとか、ああいう動物って本当に自分の肉体すべてを使って戦うじゃないですか。獲物が獲れなかったら死んじゃうし、獲れたら生き抜けるという、その本能的な部分がすごく好きなんです。なのでスパーリングとかしているときが一番解放されて、素直な時間なのかもしれないです。

──お話を聞いていると、今は何をやるにもお芝居が繋がることや演技をよくするために何かをする、という意識が強いんですね。

吉本 そうですね、お芝居に繋がらないと多分やる気が出ないです。私を芸能界に勧めてくれたお母さんに感謝です(笑)。

──プライベートでやりたいことはありますか?

吉本 バッティングを極めたい! 最近バッティングにハマっていて110キロは打てるんですけど、120キロ、130キロとちゃんと正確に打てるようになりたいんです。まだホームランの的に当てたことがないので、今年は当てたいです。

──本当に体を動かすのがお好きなんですね。

吉本 気持ちが落ち込んでいたわけではないのですが、体調がずっと悪かった時期があって。「なんでだ?」と思いながら久々にアクションの練習に行ったら、すごく元気になったので「あ、動いてないとダメなんだ」と気づいたんですよね。だからバッティングも頑張ります(笑)!

(取材・文/東海林その子)▽吉本実憂(よしもと・みゆ)1996年12月28日生まれ、福岡県出身。「第13回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリを受賞し芸能界デビュー。2014年7月に『獣医さん、事件ですよ』でテレビドラマ初出演し、女優として歩み始める。代表作は『クズの本懐』『レディ in ホワイト』『HiGH&LOW THE RED RAIN』など。Twitter:@MiyuYoshimotoInstagram:miyu_yoshimoto_official

▼information音楽朗読劇「星の王子さま Le Petit Prince~きみとぼく~」の1月28日(土)に木戸大聖とともに出演。詳細(https://lepetitprince23.peatix.com/)

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