吉川愛、目の奥に光る確固たる自信…ギャップを操る俳優に成長した23歳「恋つづ」ではクールな看護師好演
芸能の世界は栄枯盛衰、厳しい“旬の浮き沈み”が存在する。「最近、よく見るあの人が1年後に名前を聞かなくなる」ということは当たり前のようにあり、ヒット作や注目作に恵まれるというだけでも、選ばれしスターだ。そんな中でまれに、年齢とほぼ同じだけのキャリア年数を重ねて進化し続ける人たちがいる。元子役と称されるプロたちだ。吉川愛もその一人。大きな瞳とはじける笑顔でカメラの前に立つその人は、現在23歳ながら芸歴は20年近い。作品によって印象を変える俳優だ。
子役で活躍し一時引退…再び俳優業へ
1999年10月28日生まれの吉川は、自身の公式Instagramのフォロワーが約100万人(2023年1月20日現在)という人気を誇る俳優・モデル。子役時代は吉田里琴の名前で活躍し、「オー!マイ・ガール!!」(日本テレビ系)や「メイちゃんの執事」(フジテレビ系)などに出演していたお目目クリクリのハキハキとしゃべる女の子を覚えている人もいるだろう。大人っぽい顔立ちの中に子どもらしさを併せ持ち、当時のメイキングや宣伝シーンを見ても、共演者やドラマスタッフがメロメロになりとてもかわいがられていた。
2016年に芸能活動を一時引退。学業に専念しアルバイト経験もして暮らしていたが、1年後に吉川愛として再デビュー。「愛してたって、秘密はある。」(日本テレビ系)で復帰して「初めて恋をした日に読む話」(TBS系)、「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)と順調に返り咲いた。
2023年1月からディズニープラス「スター」での配信も始まった「恋はつづくよどこまでも」で、吉川はドジっ子ヒロインの新人看護師・七瀬(上白石萌音)の同期・酒井結華を演じている。七瀬と医師・天堂(佐藤健)が“好き好き全開”のラブラブな恋愛を見せていく中で、真面目に仕事をこなすクールな結華は、同じ循環器内科の医師・来生(毎熊克哉)への恋心を不器用に温めていた。“優男”の来生を陰から見守るタイプの結華が、第8話で勇気を出して告白するシーンは「よくぞ言った!」「いじらしい恋って応援したくなっちゃう」などと視聴者の注目を集めた。
目ヂカラも信念も強い役が似合う
吉川の演じる役は、美しくキュートな女の子というだけではなく、実は信念を強く思う気持ちを持っていることが多い。それがたとえ主役でなくとも、そのキャラクターに目を引かれる理由だろう。「あまちゃん」(NHK総合ほか)でアイドル・高幡アリサ役を、「おちょやん」(NHK総合ほか)では女優を目指すカフェーの女給・真理役で出演していた。出てくると、その役の背景や生い立ちなども気になるような魅力を放つのは、長年培ってきた演技力の高さと、芸歴の長さが裏付ける自信ゆえなのかもしれない。
2021年公開の映画「ハニーレモンソーダ」ではSnow Man・ラウール演じる三浦界に出会うヒロイン・石森羽花を演じ、地味な女の子が“自分を変えたい”と願って鮮やかに進化していく姿が描かれた。同作で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞している。
2022年以降は主演作品も増えてきた。「明日、私は誰かのカノジョ」(TBSほか)では、1週間に1回誰かの彼女になる“レンタル彼女”として日々お金を稼ぐ女子大学生・雪を演じた。2023年1月6日に放送されたテレビ朝日ドラマ初主演作「やっぱそれ、よくないと思う。」では、ストリーマーになりたいと動画制作をはじめるも再生数に伸び悩み、思案の末にドッキリ系のドキュメンタリーに手を出してみるという、“イマドキ”な女の子・みどりを演じた。モテない男子・石橋(岡山天音)に近付き、ウソの恋愛を始めるが次第に罪悪感を抱くようになっていき、本物の恋に発展していくというストーリー。タイトルになっている「やっぱそれ、よくないと思う!」と叫んで、自分の正義感を主張するシーンは見ものだ。
クールに見えて恋に一生懸命なナース。地味だったけど変わっていく女子高生。ギャップのあるさまざまな役を長年演じ分けてきた吉川に、どんな役が来ても演じきってくれそうな安心感があるのは、彼女がその大きな瞳であらゆる人間の奥深さを見詰めてきたからだろう。進化し続ける俳優として、今後も注目していきたい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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