

「電線が教えてくれたこと」電線愛好家・石山蓮華が芸能界での“違和感”から解き放たれるまで
日本全国、当たり前のように存在し電気を運んでいる電線。電線好きのあまり「電線愛好家」を自称し、電線と共に生きてきた文筆家で俳優の石山蓮華が、2022年12月23日にエッセイ集『電線の恋人』(平凡社)を出版した。小学生の頃から電線の虜だった彼女にとって、電線は今や表現者としての活動に欠かせぬパートナーでもある。電線というインフラの奥深さや魅力はもちろん、20年以上になる芸能活動の傍ら感じていた気持ちも明かした。(前後編の前編)
日本の電線の総延長は、2020年の統計で約138万km、そのうち約130万㎞が地上に張り巡らされていて、約3592万本の電柱が支えている。
小学生の頃、赤羽の街で見た電線の情景にひとめぼれした石山にとっては電線の太さ細さ、線の垂れ具合や複雑な配線が織りなす景観、変圧器などの周辺機器まですべてが愛おしい。曲がりくねったり、太くクロスしたりする電線からは生き物のように一つひとつ違った「表情」すら感じ取る。機器類の細かな用途の違い、どんな流れで家庭まで電気が送られているかも今では理解できるそうだ。
「電線観察スポットとして、例えば新橋はすごく魅力的な場所です。建物が密集していて、路地に家屋・電線・電柱が入り組んでいる様を一望すると迫力すら感じますし、引込線(ひきこみせん)という電柱から家屋まで電気を引き込む配線までウォッチできます。先日行った、ビルの2階の『すみや』という小料理屋さんから、そういった光景がお酒を飲みながら観察できたのでたまりませんね。いつも人が行きかってにぎやかな街ですが、人々のエネルギーも電線が支えているように感じられてきます」
街を歩くと、自然に電線をウォッチして顔と視線が上に向いてしまうというほど。身近にある上、その場の状況に応じて敷設の方法や余った電線の巻き方まで異なるそうだ。昼と夜、背景となる街並みなどで様々な表情を見せる電線は、物言わぬ存在ながら艶っぽさすら感じると『電線の恋人』で熱く語っている。だが、その電線愛は10代から始めた芸能活動では、はじめは秘密にしていた。
「小学5年生の頃、小学館の『ちゃお』のモデルオーディションに合格したところから芸能活動が始まりました。でも特別モデルになりたかったとかテレビに出たかったとか、はっきりした意志があったのではなくて…『ちゃお』の連載マンガとのタイアップ企画で、マンガ好きだったのと賞品に魅かれて、という感じの、業界のキラキラ感に憧れて受けたようなものでした。
それからテレビや舞台など、いろいろお仕事を経験してきましたが、例えば20代になって経験したテレビのレポーターの現場では、原稿を読んだりインタビューしたりする技術だけでなく、ステレオタイプな女子を装うことも求められるようになりました。仕事は楽しいんですが、私はコンサバティブなメイクやファッションを身につけ、若々しく明るくて元気な女子でいるよりも、電線を追っかけているときの方がしっくり来てたんですね。ステレオタイプに沿って『キラキラ』してなくとも、私は女子だし…でもこれも仕事の一部だし…。しかし役を演じるのでなく、私自身として発言しているのに、イメージに沿って働くだけでいいのかな…という葛藤を大学卒業後から思うようになって、自分が世の中に何を発信していけるんだろう?ということを考え直すようになりました」就職活動で企業から内定をもらったこともあったが、俳優業自体は好きで「辞め時がわからないまま」続けていた時、当時のマネージャーの反応から「電線好き」の珍しさに気づく。
「『これからやってみたいこと』に『電線』を挙げたらマネージャーから『電線が好きって面白いね』と驚かれました。そこで電線の面白さを話し始めたら段々とわかってもらえて、自分でモノの魅力を伝えたり、文章で表現するのが好きなんだと気づいたんですね。皆さん最初は『電線?』って反応をすると思うんですが、その『?』を一緒に解きほぐすことで、このインフラのおもしろさを再発見する手助けになれればと。電線というものを通じて、表現できる言葉を探して紡いでいく、そんなプロセスが充実をもたらしてくれます。
電線愛好家を名乗り始めてから、電線の同人誌『電線礼讃』を作ったり、配信番組で電線のことを語ったりしていたんですが、電線好きの人が周囲にいなかったので企画・台本から全部自分で担当しました(笑)やる事は多かったけど自分の言葉で語れるのが楽しかったんですね。電線のことを語るのは、自分を飾りすぎないで楽しめる時間でもありますね」
7年程前からインスタグラムに電線の写真を載せ始め、日本でも海外でも、あらゆる瞬間を切り取った膨大な写真はもはやアートの域に。「昔はブログを持っていてそこでも電線の写真をアップしていたんですが、ご飯とかファッションの写真はほとんどなくて(笑)仕事で初めてご一緒する方には、インスタグラムを見てもどんな人か想像がつかないと言われます」徐々に「電線好き」として知名度が広がり、『タモリ倶楽部』には電柱派として出演、日本電線工業会から電線アンバサダーに任命されるなど、自身と電線を世の中にPRするチャンスは広がってきた。
とはいえ、電線は景観を損なう「邪魔者」として地中化も叫ばれてきた。こうした長年の風潮には、少数派としてこんな率直な思いも。
「もちろん景観をどう感じるかは個人の感性です。電線地中化のモデルケースとして欧米の都市と比較したり、『青空を取り戻す』みたいに言われることがありますね。ただ、欧米では早くから電線を地中に通したのに対し、日本は結果として地上に電柱を立てる選択をして、その光景が定着してきたのも確かで、現代の映画やアニメやマンガでも電線はしっかりフレームの中で存在しています。地上にあるので、感電を防ぐ被膜の技術も高度なものになりました。そうした経緯が顧みられないまま『青空を取り戻す』という言葉で片付けられてしまうのを見ると、社会を支えてきた電線や、それが当たり前だった昭和や平成の情景にももっと思いを寄せてもらえればなと思ってしまいます。
地中化にメリットがあることも理解していますが、単に電線や電柱をなくせばすぐに綺麗な街になるのか、地中化だけが都市の景観をよくする最適解なのかというと、私はちょっと違うのかなと思っています。私にとっては大好きな電線ですが、イメージは必要以上に悪者にされているのかも」
電線が地中化されてもその存在は感じ取ることができる。地上に箱型の「PT」と書かれた物体があったらそれは地上用の変圧器で、地下を電気が通っている証拠だ。取材場所近くの通りにもこの変圧器があり、目に見えなくても電気を届けてくれているそうだ。
電線愛好家を肩書にして以来、高所作業車に乗って電線を間近で眺める電線ファンならではの夢も実現。趣味と仕事がつながり、マルチに才能が開きつつある。
▽石山蓮華(いしやま・れんげ)1992年10月22日生まれ、埼玉県出身。一般社団法人日本電線工業会 電線アンバサダー、電線愛好家・俳優・文筆家Twitter:@rengegeInstagram:renge_ge
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