事故で記憶を失い、超ポジティブになった主人公・夢子

【漫画】外見コンプレックスの太った女性が、記憶喪失で超ポジティブ思考に…人は考え方だけで幸せになれる?

2022.12.07 18:30
事故で記憶を失い、超ポジティブになった主人公・夢子

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、3時のヒロイン・かなでと超特急・草川拓弥によるドラマも放送中の「デブとラブと過ちと!」。本作は、外見に強いコンプレックスを抱える女性・夢子(かなで)がビルの屋上から落下したことで記憶喪失になると同時に、超ポジティブ思考に変貌を遂げ、若手副社長・結城(草川)に恋をするというラブコメディ。作者のままかり先生に、創作の背景や作品にこめたメッセージを聞いた。

終始和やかな雰囲気での撮影

――ご自身の作品がドラマ化されると決定したときのお気持ちをお聞かせください。

自分の中で実写化やアニメ化は一つの夢でしたので、とても嬉しかったです。と同時に、あくまでも夢というか、自分の努力でどうにかできる話ではないのはわかっているつもりでしたので、ドラマ化が決定するにあたって尽力してくださった方々のお陰だと、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。

――ドラマは現在放送中。撮影現場を訪問されたそうですが、その際の感想を教えてください。

もちろん初めての経験でしたので、現場の状況や雰囲気など全く想像ができずとても緊張しました。ですがテレビ局の方が丁寧に対応してくださったのと、監督さんをはじめスタッフさんも演者さんもとても楽しそうに撮影されていて。特に本田隆一監督が一番笑っていて、始終和やかな雰囲気でした。ドラマの内容がラブコメディということを差し引いても、皆さん笑いながら楽しく撮影されている印象でした。緊張でガチガチな私に監督さんやスタッフさんが気さくに話しかけてくださって、また主演のかなでさんとは最後に少しお話しさせていただき、本当に嬉しかったです。

考え方を変えることで幸せを感じられるのか?という疑問

――ダイエットや整形などで外見を変えて生まれ変わるという作品は多いですが、本作は外見は変わらぬまま、記憶を失ったことで内面が変化するという設定が面白さのひとつです。この設定を思いついたきっかけは?

ダイエットや整形も、それによって健康になったり自信を持つきっかけになったり、いいことはありますよね。それらを否定する気持ちはないんです。私の話になってしまいますが、以前精神的に弱っていたときに一度カウンセリングを受けてみたところ、考え方によくない癖があることがわかり、カウンセラーに「治療することで改善し、生きやすくなるでしょう。ただ、そうすることであなたは悩むことが減り、漫画を描かなくなるかも。悩みや疑問や訴えたいことがあるから漫画を描いているんですよね?」と言われたんです。考え方一つでそんなに人生変わるか〜?と半信半疑ではありましたが、コンプレックスや悩みを持つ人がそれによって不幸せを感じているとき、外見や環境を変えず考え方を変えることで幸せを感じることはできるのか?という疑問を、夢子を通して描いているところはあります。

――この作品に込めたメッセージを教えてください。また夢子の前向きさは、美しさはひとつではないという「ボディポジティブ」の思想にもつながると感じましたが、意識されている部分はありますか?

よく読者の方に「夢子みたいにポジティブになりたい!」と言っていただき、嬉しい気持ちもあるのですが、考え方を変えるって実はとても根気のいる作業。そう簡単ではありません。なので作中「ポジティブ」という言葉は極力使わないようにしています、多分…。こういうのがポジティブでこういうのがネガティブ、としたくないし、ポジティブを意識するとどうしてもネガティブも意識せざるを得ないですから。私自身コンプレックス持ちのマイナス思考人間なので「ボディポジティブ」って素敵なこととは思いつつ、自分の嫌いなところは何度見ても好きになれないし…。でもなぜそうなのかと考えた時に、やっぱり世間で勝手に作られた「美の基準」みたいなものが自分の中にも根強くあるんだな、と思ったんです。一方で、自分の大切な人や、多感な年頃の女の子や男の子がコンプレックスに苦しんでいたら「いまのあなたも尊いんだよ」と声をかけたい気持ちもあって。だからメッセージというとかっこいいけれど、自分に厳しすぎる人たちに「わかりました。でもまあそんなに自分を責めないで、何か美味しいものでも食べましょう」みたいな気持ちで描いてます。と、人には言えるのに、自分にはつい厳しくなってしまう…難儀ですね。

応援したくなる主人公を描くことを意識

――夢子の明るく前向きな姿勢が、関わる人々にもプラスの影響をもたらしていきます。人間関係の描き方で心がけているポイントがあれば教えてください。

毎回手探りで描いているのでポイントがあれば私が知りたいところですが…強いていうならば、私の漫画は考えたり考えなかったりしつつも、とにかく行動を起こす主人公に周りが引っ張られていく、みたいな話が多いんですが、主人公が人を動かすときになるべく説明や説教をしない、ということに気をつけています。説教ってリアルでも聞きたくないじゃないですか。なのでなるべく主人公の考えや行動に影響される、手を貸さずにいられない、それによりそのキャラにも何かしらの変化があるという。読者さんも含め、周りが推せる、応援したくなる主人公であることを意識しています。あとは個性的な主人公に負けじと周りも個性的になりがちですが「普通」目線のキャラクターも必ず置くようにしています。言うなれば読者目線とでもいいましょうか。そういうキャラがいないとお話が作者よがりになってしまい、読者さんが置いてきぼりになってしまうので。「デブラブ」で言うと経理の七瀬さんや企画部の細井さん、刑事の谷川くんとかですかね。そのためには作者自身も世間から著しくズレないように気をつけたいところです。

――特に気に入っているキャラクターがいれば理由と共に教えてください。

玉井さんですね。一生懸命な女性が好きなんです。頭の回転も早く要領もいいので仕事をテキパキこなすし。憧れます。ドラマにもありましたが、第3話で玉井さんが夢子のノートを盗んで「自分は無能だ」といって夢子に叱られるシーンでは、恥ずかしいのですが感情移入してボロボロと泣きながらネームを描きました。なので、あとになってやっと玉井さんの企画が通るシーンでは、本当によかったね!ととてもホッとしたんです。

南刑事にも愛着があります。こういう「なんか過去を背負ってるっぽい奴」が好きなのかも知れません。実は割と初めの頃から南刑事の過去設定はしっかりイメージがあったのですが、当初「デブラブ」は10話前後の予定だったため、そこまでは描き切れないと諦めていました。ですがお陰様で連載が伸びることになり、担当さんと「南の話も描けますね!」と喜んだ記憶があります。

あと実は梨香子も嫌いじゃなくて…いわゆる「メンヘラ」と言われればそうなのですが、私自身もものすごく脆いところがあって何かに依存しやすかったりするので、梨香子には割と近いものを感じています。一歩踏み出すのって勇気がいるし、変わるのが怖いから変わらないでいる方が楽という部分は、多分誰しも持ってると思うのです。そこを梨香子が自覚できるのか、今後夢子がどう絡んでいくのか。ぜひ見届けていただけたら嬉しいです。

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