みなみかわ 撮影/西邑泰和

「いつ辞めてもいいや、吹っ切れた」遅咲きのピン芸人・みなみかわの覚悟と開き直り

2022.07.17 06:03
提供:ENTAME next

業界視聴率も高くお笑い通なら必ずチェックする「ゴッドタン」(テレビ東京)、「さんまのお笑い向上委員会」(フジテレビ)で鮮やかに結果を残し、いよいよ本格ブレイクの兆しが見え始めた遅咲きのピン芸人・みなみかわ。少年時代のお笑い原体験から、売れかけては沈んできた芸人人生を本人の言葉でプレイバックしてもらった。(前後編の後編)

──前編では前コンビ・ピーマンズスタンダードの結成までお話をお聞きしました。ただ、みなみかわさんが世に出たのはコンビではなく、ピン芸でした。

みなみかわ それまではとがりにとがって周りの人にも迷惑かけてたんで、コンビ芸人でやるとなってからはユニットライブに出たり先輩後輩とも付き合ったりいろいろ頑張ってやったんですけど、ただコンビ仲がどうしてもよくならなくて(笑)。ある時、相方が病気でライブに出られなくなったことがありまして。今やったら「しゃあないな」ですけど、当時は「ズル休みすなよ!」くらいに思って(苦笑)。それで溜めてたネタをバーッと箇条書きにして、2時間ぐらいでピンネタを作ったんです。

それが「韓国のバックダンサー」っていうネタで。ライブでもめっちゃくちゃウケて、R-1でも勝ち上がって準決勝まで行けた。そこで「あらびき団」(TBS)に拾ってもらえたんです。コンビ組んだのが05年で、あらびき団が08年くらいでしたね。

──コンビ名の変名で「アイヒマンスタンダード」というキャラでしたね。深夜とはいえ人気お笑い番組に出ることが出来たわけですが、当時はどんな心境でしたか。

みなみかわ 全国ネットの番組に出たのは初めてやったから、もちろんうれしかったです。けど僕としては「このピンネタは当然限界が来る。それも近いうちに来るはずや」という考えもあって。だからそれまでにコンビとしての何かを作っておいた方がいいだろう、と。「あらびき団」に出たことで「コンビバランスどうしようかな」という悩みもあったりしながら、コンビのネタを作ってた。そんな時期でしたね。

──08年頃「あらびき団」にピンで出演し爆笑を取りました。以降の芸能活動はいかがでしたか。

みなみかわ 09年に僕ら(元コンビ・ピーマンズスタンダード)上京するんですよ。というのも「あらびき団」に出たのとほぼ同時期に、松竹の大阪の劇場がなくなるんです。で、ほんまに大阪の仕事がゼロになって。僕らのちょっと前に東京に出て来てたTKOの木本さんとも「まだ東京の方が仕事あるかもな。お前らはもう東京で何とかするか、それか辞めるかしかないぞ」という話をしまして。逃げるように東京に来た感じですね。ある意味、辞めるために上京したみたいなところもありました。

──仕事の状況は変わりましたか。

みなみかわ 「爆笑レッドカーペット」(フジ)で2週連続レッドカーペット賞獲ったりして、コンビとして上向いてる感じはあったんですよ。しかもその後、「(株)世界衝撃映像社」(フジ)という番組で半年の海外ロケが決まるんです。でも、ロケもしたことないし、仲も良くないからコンビプレーもできないしでボロボロやったんですよね。それで、その番組が終わった瞬間に地獄に入るんです。またちょうど、さらば青春の光とかうしろシティとか、仲のいい後輩がこの時期に明確に売れていくんですよ。すごいな、って気持ちもあるけど「これはヤバいな、俺たちが面白くないってことになるな」という焦りの方が強くって。

仕事はないしライブで頑張ってもウケないし、バイトもしないといけないしで、その10年から14年頃の5年間っていうのは思い出したくもないですね。

──そんなときの光明が「ざっくりハイタッチ」(テレビ東京)でフィーチャーされた「システマ」(ロシアの軍隊の格闘術で、特別な呼吸法を用いて相手の攻撃のダメージをなくす芸)だったわけですか。

みなみかわ 当時は、僕がキックボクシング習ったら相方は柔術習って、僕がイスラエル軍格闘術のクラヴ・マガを習ったらあいつは総合格闘技やって、みたいに、仲が悪いからお互いがお互いに勝てるように違う格闘技を習いまくってた時期で(笑)。システマも最初はそんなところから生まれた、ライブのエンディングで笑かすためのひとネタだったんですよ。それが番組に出たら憧れてたジュニアさんが笑ってくれて、また僕に振ってくれてそれを返したらまた笑ってくれて、「ジュニアさんとラリーして笑いを生み出してる!」と思ったら苦痛だった5年間からなんとなく抜け出せたような気がしましたね。

番組はそのあとすぐ終わるんですけど、何をやってもダメで「それでも僕、おもろないことはないっすよね?」みたいなことをずっと思いながら芸人を続けていたんで、番組が終わった残念さよりも「よかった、やっぱりおもろかったんや」っていう安心、安堵のほうが大きかったです。

──その後、19年にコンビを解散、ピン芸人になられました。そこから徐々に露出が増えてきた感があります。

みなみかわ 10年以上やっててM-1も準々決勝までしか行けなくて。まあ、ケジメということで僕が解散を決めました。コンビとしてやり切ったから、ピン芸人も2、3年やって芽が出なかったら辞めようと思ってたんです。そこで、「あ、もう辞めるつもりなんやから何でもありか」って思ったんですよ。それプラス、コロナも来たんですよ。「この混乱の中やったら何やってもいいやろ」って勝手に納得するんですよね(笑)。吹っ切れたんですよ。その場で仲のいい芸人を笑わせられたらそれでええか、って。

それで怒られても別に殺されるわけではない。仮に何かの番組で滑ったとしても、MCとかほかの芸人が何とかしてくれますよね、っていうのもあるし(笑)。最悪、辞めたとしても家族はバイトでもなんでもすれば食わせられるますから。

──そのご家族ですが、奥さんが東野幸治さんや千原ジュニアさんに直接DMで出演交渉しているのも話題になりました。

みなみかわ 僕はもうメインで売れるのを諦めたのに、嫁さんが夢見ちゃったんですよね(笑)。拾ってくれる諸先輩方がいたんで、ありがたいな、と。

──では本人の実感としては、開き直りからやりたいようにやってたら、それがなぜか評価された、という感じなんでしょうか。

みなみかわ そうですね。僕としてはもういつ辞めてもいいって腹をくくってしまったんで。MCがやりたいとかもまったくないんで、もし辞めるとなってもやり残したことはないです。今は自分が出てる番組も、「こんなやつ出すなよ」って思いながら観てますね(笑)。

みなみかわYoutube:みなみかわ ch(https://www.youtube.com/user/WAKAMINAMI/videos)みなみかわTwitter:@p_minamikawa

▽ライブ情報「ノーセンスユニークボケ王決定戦」8月30日(火)19:00開場/19:30開演/21:00終演予定@ユーロライブ(渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F)詳細はこちらhttps://www.shochikugeino.co.jp/topics/events/108285/

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