佐久間宣行 撮影/武田敏将

唯一無二の番組制作術・『ゴッドタン』佐久間宣行が語る“データじゃない視聴率”

2022.04.05 06:03
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フリーランスの番組プロデューサーとして、『ゴッドタン』(テレビ東京)や『トークサバイバー!~トークが面白いと生き残れるドラマ~』(Netflix)など、数々の番組を手掛け幅広く活躍している佐久間宣行。フリーになる前は、テレビ東京の社員で22年間サラリーマンとして奮闘してきた。そんな会社員人生の経験をたっぷり詰め込んだ本気のビジネス書、『佐久間宣行のずるい仕事術』(ダイヤモンド社)が、4月6日に発売される。視聴率や社内政治などにとらわれず、自身が面白いと思うコンテンツばかりを世に送り出してきた“佐久間流”の仕事術とは?(前後編の前編)

──『佐久間宣行のずるい仕事術』の中で、『ゴッドタン』(テレビ東京)のDVD化や『あちこちオードリー』(テレビ東京)のオンライン配信は「社内初」を狙って成功したことで「第一人者」になれた、と書かれていました。『ゴッドタン』と『あちこちオードリー』はファンダムに支持されるコンテンツだから成功したという側面もあると思います。

佐久間 12、13年前から、深夜番組にスポンサーがつき続けることはないと体感でわかって。スポンサーがつくためには、明確にセグメントされたファンがいる必要があると思ったんです。大きなきっかけは『はねるのトびら』(フジテレビ系)でした。深夜時代に一度レギュラー放送は終わったけど、イベントを開けば1万人以上のファンが集まって、DVDも大ヒットして。

そんなファンの声が届いた結果、レギュラー放送が復活したんです。番組を続けるには、ファンが後押ししたくなる、あるいは、ファンが賛否両論を語りたくなることが必要だとわかって。じゃあ、「出演者の夢を叶える」、「出演者のここでしか見せない姿を観ることができる」内容であれば、視聴者にとって「終わったら困る」番組になるはず。そうなればお互い幸せになれるんじゃないかと思ったんです。その代表例が『ウレロ☆未確認少女』(テレビ東京)だったのかもしれません。

──その方法論も今では一般的になりました。佐久間さんはテレビ界でも先取りしていたのかなと思います。

佐久間 それはテレビ東京が他のキー局に比べて”小国”だったからだと思います(笑)。目の前のことを考えるだけでいいなら、それにこしたことはない。日本と韓国のエンタメの違いみたいなものだと思うんです。日本は国内だけでマネタイズできるけど、人口の少ない韓国は”外”に売っていかなきゃいけないわけで。

──韓国のエンタメは”外”に売る必要に迫られた結果、クオリティが上がったじゃないですか。佐久間さんの番組も”外”を意識しているからクオリティが高いのかなと。

佐久間 僕は誰よりも「データじゃない視聴率」を考えていたと思います。一般的なテレビ局員は毎分視聴率を見て、その数字をどう上げるか考えるんですけど、僕が作っている番組では毎分視聴率を俎上に上げたことがないんです。お笑いが好きで、人生を救われたような人に刺さればいいと思いながら番組を作ってます。想定の視聴者は明確に決めていて、その人たちが笑ってくれればいいんです。

──現在、Netflix で配信されている『トークサバイバー』も前例のない番組だと思います。

佐久間 やったことがないからドキドキでした(笑)。「誰がNetflixでバラエティ番組を観るんだよ」と思っていた人もいたはず。

──ドラマパートはNetflixの作法に則った「次の回を観たくなってしまう」仕掛けが施されています。

佐久間 そこは設計の段階で死ぬほど考えました。脱落のシステムだけでは弱いし、ギスギスしてしまう。そこで、芸人同士で助け合うことがベースになっているけど、脱落する時はドラマで強制的に落ちることで、「芸人は悪くない」という見せ方にしたんです。それと、Netflix的な高級感はドラマパートで担保して、お笑いパートはシンプルなトークに徹しようと考えました。お笑いパートにお金をかけるとテンポが悪くなってしまいますから。「やっちゃいけないこと」を排除した結果、あの形になったんです。

──『トークサバイバー』の元ネタは『キングちゃん』(テレビ東京)の「ドラマチックハートブレイク王」ですよね。

佐久間 「ドラマチックハートブレイク王」には脱落システムがないので、『トークサバイバー』は「ドラマチックハートブレイク王」のエッセンスを取り入れた新しいコンテンツだと思ってます。もちろんテレビ東京には仁義を通しました。シーズン3で終わってしまいましたが、「『キングちゃん』はレギュラー放送したほうがいい」と局に提案し続けていたんです。あの番組はお笑いの運動会みたいなもので、いくつも新しい競技を考えてきました。「ドラマチックハートブレイク王」以外にもサブスクで活用できる企画が5つも6つもあるんです。

──『トークサバイバー』がヒットしたのは佐久間さんのブランド力も大きいと思います。著書『ずるい仕事術』でもブランド力について書かれています。

佐久間 社内に向けて意識的にブランドを作るようにしていたけど、”外”に向けてブランドを作ることは考えてなかったです。社内の場合、自分に向いてない仕事が回ってこないようにブランドを作る必要があって。組織で働いてる人は経験があると思うんですけど、いとも簡単に配置転換されてしまうんですよ。そうならないために「これをやらせたら会社に利益をもたらす男」で、「他のジャンルにいったら何の役にも立たない面倒くさい男」だと思わせなきゃいけなかった。

できるだけ人材交換の場に提供される人間にならないように意識して行動していたんです。”外”に名前を知ってもらえたのはSNSのおかげ。「この番組を作ったのは佐久間なんだ」と後から知った人が多いと思うんです。子供向け番組の『ピラメキーノ』(テレビ東京)がその代表じゃないかな。(後編につづく)

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