電撃ネットワークが“過激が淘汰される時代”にモノ申す!世界的パフォーマーが明かす「言語のいらない笑い」の価値とは
世界で活躍するパフォーマー集団・電撃ネットワークが10月末に公式YouTubeチャンネル「電撃TV」を開設した。「アカウントBANギリギリを攻める」をテーマに、電撃ネットワークらしい過激で笑えるパフォーマンス企画動画の投稿を開始している。コンプライアンス時代ともいわれ過激表現の規制が強まる現在、その流れに逆行するかのような本チャンネルの活動について、メンバー(南部虎弾、ダンナ小柳、ギュウゾウ、今日元気、ランディー・ヲ様、リチャード・ジョーダン)に存分に語ってもらった。
電撃ネットワークが、“生身”の限界がないYouTubeで世界に発信
――大御所パフォーマーである電撃ネットワークがなぜ今YouTubeをやることになったのでしょうか
南部:自分たちはYouTubeの世界というのをあまり知らなくて、ただ自分たちがやりたいことは、世界に発信することをもう三十年ぐらい前から続けてきました。でも、いろいろな国の人たちに見てもらいたい気持ちはありますが、自分たちの体は“生身“なので、どうしても限界があると感じていました。
YouTubeの盛り上がり初期の過激な頃に乗り遅れてしまって。そこから少し遅れて、自分たちもYouTubeはちょこちょこ何か始めてみたんですけど。しっかりできていなかった。今はいいタイミングかもしれないと思ってね。今度は自分たちで命をかけてYouTubeやってみようと。今自分たちが活動する場所はもうテレビではなくなっていますが、YouTubeでどのくらいのことができるのかなとすごく楽しみにしています。
――なるほど。“生身”のパフォーマンスとなると、現地に行かないといけないですからね。以前もYouTubeをやられていたんですね
ダンナ小柳: YouTubeの番組に各々で出たり、”自分たちのチャンネル“ではなかったので、今回は本格的にやるぞと。コロナ禍でイベントもないし海外にも行けない、発信する場すらなかったのでパフォーマンスできる場を探していた。ライブができなくてウズウズしていたのをYouTubeで発表します。
――やはりコロナ禍でライブができない問題があった…と。電撃ネットワークの活動はどのように変わったのでしょうか。
南部:営業でキャンセルになったやつが山ほどありました。この2年の間は、仕事が入っては「ごめんキャンセルになった」という話がいっぱいありました。最後にライブ活動したのはいつだろう。もう2年近く前だと思います
ダンナ小柳:南部さん、この前ageHaでやったじゃないですか!スタジオアルタでやったじゃないですか!(笑)
南部:あれは生配信で目の前にお客さんがいなかったからね。
――電撃ネットワークは“海外の活動”のイメージがありますが…?
ダンナ小柳:コロナ前は海外の需要のほうが日本よりあったので、海外にいた時期は長かったんです。海外のプロモーター経由でオファーが来て「今年はこの国で、何カ月公演やってくれ」みたいな感じでしたが、実は拠点は日本なんですよ。テレビに出ないと「海外行っているんだなあの人たちは」っていうイメージですけれど実は日本にいます。
南部:海外に行っている頃は、「シルク・ドゥ・ソレイユ」みたいな動きですからね。ずっとそこでテントを張ってライブするみたいな感じですから。
――海外でも活動されていますが、日本と海外でパフォーマンスの違いは感じましたか?
南部:その国その国で反響は違いますね。だからウケているのかどうかもよく分からなかったりすることもありますが、その場ではなくて、家へ帰ってから「面白かったよ」って表現する国の人たちもいて、面白いですね。
ダンナ小柳:海外のパフォーマンスグループが僕達のマネを結構し始めていますね。シンガポールかどこかで同じような髪型で人数揃えてお祭りの法被みたいなのを着て、僕らの真似して映像に出ているグループもあるみたいです。逆にウチらがその真似しているみたいに見られるのは癪ですね(笑)
電撃ネットワークの“原型”は映像配信だった! 世界的パフォーマーから見たYouTubeとは
――YouTubeを開始して反響はいかがですか?
南部:告知用の動画を公開して「やっぱりすごいね」と声は結構聞いていますけど。自分たちのネタはどんどんどんどん過激になっていくという方向性には走ると思います。
ーー生きたサソリを口に入れたり…アレよりもっと過激になるってことですか?
南部:そうですね。普段、自分たちはライブで1カ月できるように、ライブに間に合うように体を作ったりするんですけれど。Youtubeの動画は“期間”がないから、「少し怪我してもいいや」という感じもありますね。
ダンナ小柳:今は若手メンバーがいるんで代わりがきくね(笑)。怪我した奴は次の動画で出ていなかったりするかもしれません。
――ライブでよくお客さんをステージに上げるということをやられていましたよね
ダンナ小柳:YouTubeの場合だと、クリエイター同士でコラボができるので、他のアーティストも巻き込んでネタやったりしたいですね。いろんな人が参加してほしいですね。コラボを募集しましょう。
――パフォーマーの皆さんから見て今のYouTuberやネットで話題になるような動画をどのような印象で見ていますか? 例えば「いやこんなの全然過激じゃないよ」…とか思ったりするのでしょうか。
南部:今言われたことそのまんまだと思います。昔はコンビニのアイスクリームケースに寝転がって社会的な問題になったりした人もいましたが、「話題になりたい」という気持ちは世の中の人みんなあるんだろうなと思う。
電撃ネットワークの「元」は映像なんですよ。映像タイトルの名を電撃ネットワークって日本で勝手に付けた名前なんですけど。事件性のあるところでカメラ回して、危ないシーンをガーッと撮って報道する、“放送局”みたいなことができたらいいなと思ったのが電撃ネットワークの原型なんです。自分たちは過激なことをするだけではなくて、そういうやはり世の中の人のアンテナに引っかかるようなことを自分たちがやりたい想いがあります。
――満を持して“やばい映像”(笑)をYouTubeで世界に流すわけですね。若手のお三方は「電撃チャンネル」を別でやられていますが、YouTubeをどう捉えていますか?
ランディー・ヲ様:流行りとしては、過激というより財力でやっているのが多い印象。「1千万円を使いました」「スライム100リットル」って…モノを使う企画は多いですが、俺たちは体を使いますから。
南部:今回のテーマは「電撃チャンネル」じゃなくて「電撃TV」ですからね!
“過激”が淘汰される流れにモノ申す、子どもがマネする言語不要の笑いの価値
――皆さんは世界に誇る一流のパフォーマーです。今世の中では“人を傷つけない笑い”が浸透しています。コンプライアンス時代に過激なものを排除していく流れはどう感じていますか?
ダンナ小柳:不思議なもので、過激なコンテンツはどんどんコンプライアンス的にハードルが高くなっている反面、プロレス人気が再燃しているのが面白い現象だなと見てます。“イジメ芸”は当然、淘汰されていくけれど、僕たちのパフォーマンスもプロレスのパフォーマンスも自分から向かっていってエンターテイメントにする。「どうですか~俺が一番だ!」みたいに張り合っていく部分は現代でもまだ奥行きがあるんじゃないかな。
南部:今の世の中は、子どもと女子に照準を合わせている気がする。要するに女子が見て面白がるところに親とか男子がくっついて楽しんでいるね。
――ですが、電撃ネットワークはそれと反対の、“男子の笑い”だと思います。電撃さんもスタイルを変えていくのでしょうか?
ダンナ小柳:スタイルは変えないですよ。アカBANギリギリで猛然と攻めて、削除されたら…はしょうがない。
ギュウゾウ:海外では子どもがおでこにセロテープ貼って、南部さんのマネをして追っかけてくることもよくありました。今は親からクレームが来る時代なんで、BANの2回や3回は覚悟してます(笑)
南部:僕らは意外にも、結婚式に呼ばれることが多いんですけれど、一番喜ぶの子どもたちですね。
ダンナ小柳:子供が真似しすぎちゃってテレビから遠ざけられたのはあるよね(笑)
――YouTuberの定番のメントスコーラを日本人でやり一番最初にやったのも実は電撃ネットワークさんなんですよね。
ギュウゾウ:一番最初にやった時の動画が残ってないから、またやりたいですよ。メントス入れてフタしてそれを駐車場に置いて…フタが吹っ飛んでミサイルみたいにペットボトルを吹っ飛ばす、というものでした。なかなか場所がなくて(笑)
ダンナ小柳:そんなの見せたらまた子供が真似しちゃうかも。
――「アカBANギリギリを攻める」ということですが、電撃さんのお家芸はそのままやったら即アウト、みたいな定番ネタがあるじゃないですか。あれはYouTube用にマイルドにするんですか?
ダンナ小柳:もちろん。AVでいうところのモザイクではなく“薄消しのぼかし”です (笑)。
ギュウゾウ:動画は早速モザイク入れられていますけど。
ダンナ小柳:だんだんだんだん薄くしてきたりしております。
――少しずつ様子を見て過激にしていくってことですね?
南部:プロの方に編集をしていただいてるから、自分たちは安心してます。
ダンナ小柳:うちらは本当のアナログ人間なのでついて行けてないというのはある。
南部虎弾も70歳、“海外で活動するとんでもない人たち”も「まだ大きくなりたい」
――お話を聞くと…「ぬるくなってきている世の中に俺たちが喝を入れるんだ!」みたいなことではないんですね
ダンナ小柳:そうですね。そんな大層なことではなく、もう自分たちが好きなことを好きなだけできる場を作ったってことですよ。
南部:若干開き直りもありますね。思ったほど日本という社会の中であまり受け入れられてなかったような気がするし。若い子たちにそっけなくされているから。ああそういう時代なのかな。若い子にキャーキャーされたいなとはもう今さらと思わないですけど。ただやっぱりもっと大きい存在感になりたいですね。テレビでは「海外で活動するとんでもない人たち」みたいな扱いをされますが、そういうイメージは今の若い子たちの中には全くない。存在感としては、横浜の方で横須賀の方ですか頑張っているジャガーさんとか…。
ダンナ小柳:千葉です!
南部:居酒屋紀行やっておられる…何さんでしたっけ。
ギュウゾウ:吉田類さんのこと?南部さん全部わかっていないじゃないですか!(笑)
南部:僕としてはその方たちには負けたくないなと思いますね
――電撃ネットワークのライバルがまさか吉田類さんとは(笑)ともかく、本当にBANされないことを願います。
ギュウゾウ:アカBANされる可能性は低くないと思うんですよ。ひょっとしたら記事が出る頃にはチャンネルなくなってる可能性もありますから。撮りためているネタは絶対見てほしいですね。
リチャード:そんな私たちですが、11月末お客さんを入れて、南部さんの70歳(!)の古希祝いをやったりもしています。
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