

宇賀なつみ“個人的な働き方改革”は順調 一人だけの会社立ち上げも「こんなに自由で楽しいことはない」<インタビュー>

フリーアナウンサーに転向して約2年半となる宇賀なつみ。テレビ、ラジオのレギュラー6本に加え、ゲストでの番組出演、さらに企業のイベントで進行を任されるなど、順風満帆な活動を展開している。
2009年4月1日にテレビ朝日に入社し、初日から「報道ステーション」の気象キャスターに就任。2014年からは「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」と朝の情報番組に移り、退社する2019年3月末まで帯番組に出演し続けた。
入社10年の節目で退社すると、芸能事務所には所属せず自身の会社を立ち上げ、一人で全ての業務をこなしている。これらは「個人的な働き方改革のため」と語る宇賀。「WEBザテレビジョン」ではインタビューを行い、フリーランスとしての生き方や、アナウンサーという職業について語ってもらった。
自分の時間や家族との時間を取れて「大大大満足」
――フリーとなってからの手応えはいかがですか?
想像以上ですね。正直独立する、しかも一人で会社を立ち上げてやると決めたときに、こんなにお仕事をいただけると思っていなかったので、それは想像以上でした。
一番の目標が“個人的な働き方改革”をすることでした。社会や会社に働き方を決められるのではなく、自分自身で自分の働き方、生き方を決められるようになりたいと思って独立したので。そういう意味では、テレビ、ラジオ、その他いろんな仕事をいただきながらもきちんと休めていて、自分の時間や家族との時間を取れているという意味では、大大大満足しています。
――フリーになろうと思ったきっかけは何ですか?
10年という区切りも大きかったです。私の場合は本当に恵まれていて、入社初日から「報道ステーション」で、退社最後の日まで「モーニングショー」で、ずっと帯の番組をやっていたので、もう局アナとしてアシスタントをするとしたら、これ以上ないかなって。
それに、10年前に大学を卒業するときは、今の自分を全く想像してないですよね。だからこそ、10年後の自分は今の自分が全く想像できない自分でいたいなと思いました。
あとは、ちょうど働き方改革の波がテレビ局にも押し寄せてきていて、私自身ずっと深夜遅くに帰るか、暗いうちに家を出る生活だったので、それを変える良い機会だと思いました。会社にいながらもできたと思うんですけど、どうせなら“週5日”とか“残業は何時間まで”とか、そういうことを会社や社会に決められるのではなく、自分で決めたいなと思いました。
そして、せっかく会社員を10年やったので、そこから芸能事務所にお世話になるのは何か引っ掛かるものがあったんです。もちろん、その方がメリットがたくさんあるのは承知していましたし、実際に事務所の方と何人もお会いしてお話をしたんですけど、やっぱりいまいちピンとこなくて。
芸能事務所に入るということは芸能人になるということだから、芸を売ってお金を稼ぐ人にならなければいけない。でも、私はそれがやりたいわけじゃないんだと気付いたんです。結果的にはテレビやラジオに出て芸能人のようなこともしているんですけど、芸能人として出ようと思ったらもっと目立たなきゃとか、爪痕を残さなきゃと思って、私の場合は空回りするだろうなと思ったんです。
だから、これまでいち会社員がテレビに出ているというスタンスでアナウンサーをやってきた、そのスタンスを崩したくないなって。
そのためには経理をやったり、雑務をやったりする自分も必要だと思いましたし、100%芸能人にならなきゃと思ってしまうと苦しくなるだろうなと思ったんです。今のバランスがちょうどいいというのが正直なところですね。
半年で10年分のリフレッシュ
――テレビ、ラジオのレギュラーが6本というのはすごい活躍です。
9月いっぱいで「川柳居酒屋なつみ」(テレビ朝日)は終わってしまうんですけど。まさか、こんなにできるとは思っていなかったです。特にラジオは局アナ時代に全く経験がなかったので、一番やってみたかったことで、それをFMとAMの両方でやらせていただいて、すごく楽しいです。
――ご自身のペースで仕事をされるということは、断る仕事もあるってことですよね?
そうですね。選んでいるとは言わないですけど、お断りしている仕事もあります。フリーランスの陥りやすいところだと思うんですが、あれもこれも受けてしまって、忙しくなりすぎてパンクしてしまったり。そうなると、会社を辞めて働き方改革をしようと思った意味がないので、勇気を出して断ることも必要。そこは休みの日の数などを考えてお受けするか決めるようにしています。
(フリーになって)最初の半年間ぐらいはレギュラー以外の仕事をお受けしないと決めていました。もちろん、辞めたばかりのその時期が一番オファーは多かったです。でも、全部お断りして、月に10日ぐらいしか働いていなかったですね。休みの方が多かったです。そこで10年分のリフレッシュをして、それで9月ごろから徐々に他局の仕事とか受け始めて、単発の仕事をするようになりました。
2年目はありがたいことにレギュラー番組が二つ増えて、どうせ(新型コロナウイルスの影響で)自由に遊びに行けないし、海外も行けないから「いっぱい仕事しよう!」と思って、すごく働きました。そうすると、やっぱり大変で、疲れてしまって。今年4月以降は必ず週2日は休み、かつ月2回は週3回休むと決めて、それを死守しています。
今思えば、最初の半年間ゆっくりできたのが良かったと思っています。そこでいろいろ無理をしていたら、それに慣れちゃったと思いますし、出続けないと不安になっちゃっていたかもしれないです。そこで一回リセットできて、自分のことを見つめ直せたのが良かったなと思っています。
――立ち上げた会社は宇賀さん一人だけということですが、全てご自身でやられているんですか?
本当に私一人です。でも、相談はいろんな人にしています。それこそテレ朝時代の先輩や上司にはいまだに相談しますし、初めて他局のバラエティーに出たときなどはいろんな人に「どうでした?」って聞いてリサーチもしました。
身内がいないということが、一緒に怒ってくれる人も喜んでくれる人もいないので、結構寂しいものだなとは感じています。だからこそ、いろんな人とのコミュニケーションは積極的に取るようにしていますね。
――会社を一人でやる中で、大変なことは何ですか?
私は大変じゃないんですよね。例えばこういう取材に一人で行って、スケジュールを組んだりやり取りするのは「大変じゃない?」って聞かれるんですけど、私はむしろそれが楽しいし、人に任せるより(自分でやった方が)早いと思っているんです。
あとは、請求書を書いたり、お金のこととか…お金の計算も結構好きなので(笑)。それも楽しんでやっているんですよね。だから誰にも気兼ねなく、働き方やスケジュール、仕事内容も全て自分で選べるので、こんなに自由で楽しいことはないなと思っています。
――フリーのタレントで、忙しくなったらスタッフを増やす人もいますよね。
私はないんじゃないですかね。唯一あるとしたら身内が欲しくなった時でしょうね、家族みたいな。人を育てるとか、そういうことに興味を持つ日が来るかもしれません。自分が仕事のことだったり業界のことだったり、教えてあげるじゃないですけど、それで人が育って巣立っていくところを見てみたいなという気持ちがちょっとあります。でもまだまだ。今は、もし何かお仕事をお任せするとしたら単純な作業だけになってしまうので、それは自分でできるかなと思ってはいます。
局アナとは「置かれた場所で努力している人」
――局アナからフリーに転向し、タレントとしてさまざまな活動をされている方もいます。
あまり意識することはないですね。いろんな方の名前を出していただいて、どう思いますかとか聞かれるんですけど、そこまで人のことが気にならないというか、みんな幸せだったらいいなと思います。
でも、やっぱり元アナウンサーの方ってどんな立場でもしゃべりはしっかりされているし、そういうところはどんな仕事をするにしても、私も最低限は守らないといけないという気持ちはあります。局が違っても(アナウンサーは)やっぱり先輩や後輩だし、初めて会う方でも半分仲間みたいな。会社員でありながらテレビにも出ているという独特な職業なので。頼もしいですね、いろんな方の活躍は。見ていてうれしいですし、楽しいです。
――フリーとなった今、局アナはどんな存在だと思いますか?
どうなんでしょうね。いろんなタイプの人がいるでしょうけど、結果的に置かれた場所で努力している人だと思うんです。
例えば報道やスポーツの現場でずっと取材していて、自分は表に出ても出なくてもその情報を届けることにやりがいを感じる人もいるし、実際にオンエアで使われなくても、自分が現場に通うことで信頼してもらったり、自分の勉強になったりすることもある。私自身そういう時間が大切だったころもありました。
一方で、バラエティーを担当していれば、最初から楽屋があってお弁当があって、タレントさんや芸人さんと並んで出演者として立つ。どうやって育ってきたかで、全然違うアナウンサーになると思うんですよね。
でも、それは求められていることが違うし、その場で必要なスキルも違うから、どっちが良い悪いということではなく、みんなが自分の置かれているところで一生懸命仕事をしようとして、努力していることなんだろうなと思います。
きっと、それすらしない人というのはそもそも採用試験で受からないでしょうし、これはどこの会社でも一緒ですよね。本人の希望通りの部署に行けるわけではないけど、行った先で頑張るしかない。アナウンサーも担当したかった番組やジャンルに行ける人って少ないので。やっぱり会社員ですからね、自分では選べない。だからこそ、自分の置かれたところで一生懸命努力できるかということだと思います。
――フリーアナウンサーと局アナで大きな違いは何でしょうか?
やっぱり自分で選べるところじゃないですか。アナウンサーになりたいと思ってなれたものの、番組や取材先、ロケ先などを自分で選ぶことは(局アナ時代は)皆無でした。今はお仕事を受けるかどうかから始まって、例えばロケに行くとしたら「どういうところがいいですか?」「どういうことやりたいですか?」と聞いてもらえる。自分から「こういうのどうですか?」と言うことも増えました。そこが一番違いますかね。そういう意味でフリーだなって思います。でも責任やリスクは大きい。少しでも手を抜いたら、明日全ての仕事がなくなるかもしれないという緊張感は、常に持っています。
フリーになるアナウンサーが多いと言われるんですけど、どうなんでしょう? 例えば、アイドルを卒業して女優になる方やアスリートで引退してタレント活動する方たちが、テレビに同じように出ています。そもそも芸能人になる前に会社員だった方とか、アルバイトで特殊な仕事をされていた方とかもいるわけですよね。
そういう意味では、なんら不思議じゃないというか、(局アナがフリーになるということは)特に多いわけでもなく、珍しいことでもないと思うんです。ただ、こんなに聞かれるということは、動向を気にしてくださっている方が多いのかなと思うので、ありがたいですね。
「やっぱりアナウンサーの仕事が好きなんだなぁ」
――これまでの2年半で面白かった仕事を教えてください。
全部面白いですよね。やっぱりバラエティーにゲストとして出るのは今までになかったですし、それを古巣でもやらせていただいたのはうれしかったです。あとは、お酒が好きなのでただただ飲み歩く仕事だったり、居酒屋のおかみなんて局アナ時代は絶対ありえないことですから、面白かったですね。
どんなに有名なメーカーやブランドでも、定番商品と新商品があるじゃないですか。私と言えばこれだよねっていうのがアナウンサーで、そのお仕事を軸としてやっていきたいんですけど、年に二つぐらいは新商品というか、新しいチャレンジをしようとは思っています。そういう意味では、今年で言うとルームウエアブランド「sana me」のプロデュースと、「土曜はナニする!?」(毎週土曜朝8:30-9:55、フジテレビ系)内で放送されるドラマ「イケドラ」の脚本を書かせていただいて。全く違う畑というか、そういうことにも挑戦できているのがうれしいなと思います。
――新しいことへの挑戦も、フリーでやりたかったことの一つですか?
自分が自分に飽きないためというのはありますし、会社として今後存続していくためには、たまに新しい球を投げておかないといけないなと思ったんです。違うと思えばすぐに引っ込めればいいですし、どれか一つがすごく成長するかもしれないじゃないですか。だから、自分という会社にとっての“商品”を長く継続させるための一つの方法ですかね。
私個人としては、私の生活や幸せというものは守らなきゃいけないわけですが、この会社の社長でもあるので、商品(私)を働かせないといけない。その主観と客観を使い分けてやっている、それも面白いですね。自分自身で実験している感じです。自分自身のことをうまく売ることができたら、もしかしたら他の人のことも売れるかもしれない、何か違うものも売れるかもしれない。だから今はいろんな場所に行って、いろんな人に会って、いろいろ取材しています。
――今後も活動の軸はアナウンサーということですね。
そうですね。せっかくフリーになったので、自分の判断だけで何でもできるわけじゃないですか。でも、意外とこの2年半を振り返って、ちゃんとアナウンサーの仕事をしていて、やっぱりアナウンサーの仕事が好きなんだなぁって気が付きました。
「アナウンサーの仕事しかしません」なんて決めたつもりはないんですけど、やっぱりアナウンサーの仕事をしているときが一番落ち着きます。今日もある企業のセミナーの進行をしたんですが、「私はこうなんです」ってしゃべるよりも、ちゃんと人の話を聞いてそれに受け答えをしたり、場をうまくまとめて進行したりする仕事の方が好きなんだなと実感しています。
――今後挑戦したいことを教えてください。
今は思いつかないですね。今のことで結構いっぱいいっぱいなので…。それこそ1年目に初めて出た番組で、「ドキュメンタリーのナレーションをやりたいです」と言ったら、そこからオファーをいただいて、「ナショナル ジオグラフィック」(ドキュメンタリー番組専門チャンネル)の方でやらせていただいたりとか、言うとかなうことがたくさんあるので(もっと)言っていきたんですけどね(笑)。
本当は海外ロケ番組とかやりたいんです。でも、今は海外に行けないですから。旅番組はずっとやりたいと思っているんですけど、今はなかなかご時世的に厳しいので…。
――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
今は大変な状況ですが、必ず学びにつなげられるところがあるというか、得るものがあると思います。私自身も正直気が滅入りそうになる時もありますが、おうちの中をきれいにしたりとか、スキンケアをちゃんとするようになったりとか、良い面もありました。ついストレスを感じてしまいそうになりますが、できないことを数えるより、できることを数えて、頑張りましょう!
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