“回転寿司×クイズ”の「QUIZ GO ROUND」が3月19日(金)に放送

海外コンペで入賞の“新感覚クイズ”が番組化!若手ディレクターに“テレビの現場”を聞く

2021.03.19 12:00
“回転寿司×クイズ”の「QUIZ GO ROUND」が3月19日(金)に放送

新感覚クイズ番組「QUIZ GO ROUND 流れきる前に選びとれ!」が、3月19日(金)夜7時からカンテレにて放送される。さまざまなクイズに対して、選択肢が回転寿司の要領でくるくると回って出現。それらが流れきる前に正解を選び取るという、“回転寿司”とクイズを掛け合わせた番組となっている。MCを務めるのは、アンタッチャブル・柴田英嗣。挑戦者として、四千頭身、池田美優、ちぴたん(石川千裕)、JOY・わたなべ麻衣が出演する。

この番組の基となった企画は、昨年12月3日、テレビ番組の企画を募集するアジア最大級のコンテンツ見本市・ATF(Asia TV Forum and Market)の「ペーパーフォーマットコンペティション」でベスト5に選ばれた。今回、企画を考えたカンテレ制作部の若手ディレクター2人、吉川亮太さん(入社8年目/「土曜はナニする!?」チーフディレクター)、田中祥吾さん(入社7年目/「ちゃちゃ入れマンデー」ディレクター)にインタビュー。企画から番組化に至るまでをはじめ、普段の番組制作の裏側についても話を聞いた。

視聴者も一緒に楽しめる問題ばかり

――番組化にあたってこだわった点は?

吉川:セットですかね。普通のクイズ番組では見ないような選択肢になっていて、(選択肢としてレーンに)人間が乗っていたりするのですが、それを可能にする大きなレーンを用意したことが一番のポイントです。それから、事前の知識がいらない問題ばかりなので、視聴者の方も一緒に楽しめるようになっているかなと思います。

田中:あとはクイズの種類です。選択肢が流れる制限時間の中で“現物”を見る問題もあれば、実際に触って答える問題もあります。単純に今までの“画面を見て答える”みたいなクイズ番組ではなくて、移動しているものに自分からアプローチして、それで探っていくということがクイズといい感じのバランスになるように意識して考えました。

――収録を終え、出演者の方々の反応はいかがでしたか?

吉川:楽しそうにやってくれたなと(笑)。実際に「楽しい」と言ってくれた出演者の方も多かったです。

田中:「挑戦したら意外と焦る」と言ってくれたのがすごく印象的でした。その感じが視聴者の方に伝わればいいなと思います。平常心をいかに保てるかというのがこの番組の軸でもあるのですが、「平常心じゃなくなった」というのは何人かから聞きました。

――お二人の手応え的にはいかがですか?

吉川:もともと番組の成り立ちは、海外の企画コンペに出そうというところから始まっていて、視聴者がこう感じるとか、こう思ってくれたらいいなというところからはスタートしていないのでちょっと不安です(笑)。でも、番組としては楽しくなっているはずです。

田中:そもそも番組になると思って企画した訳ではないので、レーンが用意できるかも後から頑張って考えて、間に合ったという感じです(笑)。アイデアだけで書いたものが形になったというところは、本当に見てほしいですし、スタジオの雰囲気が少しでも伝わればいいなと思います。

――とにかくアイデアを詰め込んだ企画だったということですか?

吉川:海外に売れる番組、フォーマットを考えるというところから始めて、海外の人でも楽しめる番組がいいなと。そこに日本らしさをプラスして、どの国でも理解できるようなシステムを掛け合わせたいという話になりました。そして、日本の文化である回転寿司と、誰でも理解できる“クイズ”、この2つを掛け合わせた番組を作ろうとなりました。

田中:クイズに、日本人じゃないと分からない要素はあまりないんじゃないかなと。海外の方に見てもらえるようなクイズ選びというのも、普通の番組作りとは違ったところでした。 “富士山の写真を選べ”という問題があるのですが、海外では、その国の人にとっての富士山みたいなものが問題になればいいなと思います。

吉川:インドバージョンでは何が流れてくるんだろう、ヨーロッパではどんなものを流すんだろうとか思うので、この企画が海外で売れたらいいなと思います。

配信や海外を見据えた番組が求められるように

――そもそも、このコンペに応募した理由は?

吉川:最近、地上波の番組の予算が限られていて、地上波で企画をすることが減ってきているという、悲しいですがそういう事情があって。企画の出しどころがない中で、新たな企画の出し口が募集されたので、せっかくだったらチャレンジしてみようかというのが、表向きの理由です。本当は、このコンペ、表彰式がシンガポールで行われるんですよ。だから、会社のお金でシンガポールに行けたらいいなと(笑)。今回、リモート開催になったので行けなかったんですけど(笑)。

田中:行ける権利までは手に入れていたと思うんですけどね(笑)。なぜこの2人かというのは、企画を考えた当時、僕も「土曜はナニする!?」を担当していたんです。

吉川:「こんな企画募集があるので、一緒に書きませんか?」と言われて、面白そうだったので2人で考えたという感じです。

田中:(結果発表後は)僕らが思ったより、周りの人が「すごい!すごいことやで!」と言ってくださるので、すごく驚きました(笑)。

吉川:軽い気持ちで出したら、大事になってびっくりしています(笑)。

――今回のコンペにカンテレとして初参加されたということですが、テレビの制作現場では海外の市場も重視されてきているのですか?

吉川:入社して8年目になるのですが、入社した頃と今の状況を考えると、やっぱり海外とか配信とか、地上波以外にどう出すかということは求められていると思います。

田中:そういうのを見据えて番組を作りましょうと言われたのがここ1、2年くらいですかね。2、3年前はそうではなく、いかに数字が取れるかというところを求められていて。例えば、数字が取れなくても、めちゃくちゃ売れたら会社としてはOKみたいな。

――現在は放送後にTVerなどで配信される番組が増えてきました。それに関して、制作の上での具体的な変化は?

田中:細かい話でいうと、「ちゃちゃ入れマンデー」では、関西の方にインタビューをすることが多いのですが、そこの権利処理みたいなところがより明確になってきています。配信するとなると、常に見られる状態になるじゃないですか。なので、そこが結構厳しくなりました。やる作業は増えたと思います。

吉川:「土曜はナニする!?」では、男前の方たちのショートドラマみたいなものがあって、それをTVerなどで出しているんですね。そういうことは確実に増えています。地上波でやっている番組を少し目線を変えて配信で出すということが、もっとできたらいいんだろうなと思います。

――確かに、一部分だけを配信している番組も増えていますね。

田中:準キー局はそういうことをしなきゃいけない立ち位置にあると思うのですが、今後、もっとそれが進んでいくのかなと。番組作りレベルで「何か作るものに影響がありましたか?」というと、そうでもない状況なので、今後は配信に向けて切り取れるような企画が多くなっていくと思っています。

吉川:「有吉の壁」(日本テレビ系)では、カットされたものが配信で流れているじゃないですか。ああいうのはすごいなと思いますし、同じく有吉の壁では、ロケバスの中の音だけというものも配信しているんですよ。地上波の番組を普通に作る中で、“ここ配信にできそうだな”と常に考えているんだろうなと思いますし、僕たちも考えなくてはいけないと思っています。配信って、好きな人しか見ないじゃないですか。特に好きな人に向けた特典みたいなものは、考えていきたいです。

「そういう手が…」他の番組への本音

――今の「有吉の壁」のお話のように、他の番組で「やられたな」と思う企画はありますか?

吉川:僕が言うのもおこがましいのですが、コロナ禍で海外に行けないという中で、テレビ東京さんがやっていた有吉(弘行)さんと粗品さんが司会の「有吉の世界同時中継〜今そっちはどうなってますか?〜」は、「ああ、そういう手があるんだな」と思いました。確かにそれだったら“海外に行けるな”と。

田中:この前(3月10日放送)の「水曜日のダウンタウンSP」(TBS系)の、CM出演権を“本当のドッキリ”で決めるというのは、SNSのトレンドにも上がっていたし、面白かったです。今までだと考えられなかった取り組みをちゃんと面白く描いていたのがすごかったです。特にお金を稼ぐかつ面白いみたいなことは、僕ら作り手が今後もっと重視しなきゃいけなくなると思っています。そういうのを無視して面白いものを作って、それが売れるのが一番いい美しい形だと思うのですが…。ビジネスと“面白い”という両輪があるのは、改めてすごいことだなと思いましたし、勉強になりました。

――今回お2人は、クイズ番組を企画されましたが、今後挑戦してみたいジャンルは?

吉川:最近、テレビの視聴率指標が変わってきて、若い人の数字を大切にするようになったので、テレビ局全体でもそういう番組が増えてきたと思うのですが、やっぱり若い人たちの中で話題になるような番組を作っていきたいなと。僕も小さい頃はテレビっ子で、テレビで面白かったことを喋ったり、テレビの真似ごとをしていました。若い人たちが楽しみに、またテレビを見てくれるような番組ができたらなと思います。

田中:ゲームの番組をやってみたいです。若い人たちがYouTubeなどでゲーム配信を見ているということは、それなりにみんな見たい、需要があるものなんだろうなと思うので。若い人たちの興味があるゲームとか漫画とか、サブカル系の番組ができないかなと考えています。

――最後に、改めて「QUIZ GO ROUND」の見どころをお願いします。

吉川:選択肢が回って、流れきるまでに取らなければいけないというハラハラ感があると思うのですが、出演者の方もそれですごく楽しんでくれたんです。視聴者の方も、流れ切る前に選ぶという形で参加できるようになっているので、普通のクイズ番組プラス、ゲーム的な要素も楽しんでもらえると思います。

田中:それに尽きますね(笑)。あとは、意外に高いセットなので、セットを見てもらいたいというぐらいです。めちゃくちゃ高かったので。

吉川:今っぽくないですよね(笑)。レーンだけで予算の半分くらい掛けているので、比率でいうとちょっとおかしなことになっています。

田中:一つのパーツではあるのですが、絶対これは必要だというこだわりの部分でもあったので、このレーンのおかげで少しでも(視聴者が)一緒にやれるような番組になっていたらいいなと、制作者のエゴですが思っています。

「QUIZ GO ROUND 流れきる前に選びとれ!」は、3月19日(金)夜7時から放送。放送後、カンテレドーガにて無料見逃し配信予定。

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