小芝風花、役作りで大切にしたこと「前を向きたいっていう人の気持ち」鹿児島の印象も明かす<この花咲くや>
2021.11.18 13:32
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女優の小芝風花が出演する鹿児島発地域ドラマ「この花咲くや」(2022年春放送/NHK BSプレミアム)のロケ取材会が、15日に南栄リース桜島アリーナにて行われ、共演の吉岡秀隆、永作博美、犬飼貴丈とともに出席した。
小芝風花出演「この花咲くや」
鹿児島不動産業界では「桜島がきれいに見える部屋」はオススメとして紹介され、市民にとって桜島は街のシンボル。行政は「マグマシティ」として街をPRし、市内の定食屋には噴火の瞬間を捉えた写真が飾られ、地熱の温泉も豊富。しかし、桜島は奈良時代から噴火記録が残り、何度も大きな被害をもたらしたこともあるれっきとした活火山だ。鹿児島ほどの大きな街が活火山のそばにあるのは世界でも少なく、灰は鹿児島の農産物に打撃を与え続け、噴火に伴う災害がしばしば街を襲う。降灰すれば洗濯物は干せないし、街は薄暗く、車には灰がどっさり積もるし、いつもっと大きな噴火が起こってもおかしくない。それでも鹿児島の人々は桜島を愛し続ける。
ドラマでは、寄り添うことに素直になれない2世代の男女が、天災と隣り合わせの街で「幸せ」を探す姿を描いていく。同作の脚本は詩森ろば氏が手掛ける。
小芝風花出演「この花咲くや」ロケ取材会
― 鹿児島のシンボルで、ドラマでも重要な位置づけとなっている桜島の印象は?小芝:私はすごく優しい山なんだなっていう印象になりました。もちろん、噴火する事もあり、力強い部分はあると思うんですけど、見ていて心が浄化されました。荒々しいものがあまり表に見えなくて、毎日ホテルからロケバスに乗るまでにすごくきれいに見えるスポットがあって、「今日の桜島はどれだけくっきり見えるんだろう?」「もやがかかるんだなぁ」とか感じながら過ごしています。本当にその日によっても、見る時間によっても印象が違うなって思いました。
吉岡:もっと荒々しい男っぽい山なのかなというイメージだったんです。毎日ホテルから桜島が見えるんですけど、「きれいだな」って美しい山だってとても感じるようになりました。雨が降ったり、やんだりして、桜島にかかる虹を風花ちゃんとも見て、「きれいだな」って美しい山なんだなってつくづく思いました。ずっと見てても飽きないなとずいぶん印象が変わりました。
― 鹿児島弁は難しかったですか?また、好きな鹿児島弁があれば教えてください。
小芝:めちゃくちゃ難しいですよね。半音あがるみたいな感じですよね。撮影中に子猫が出てくるシーンがあるんですけど、「ねこー」っていうイントネーションがまるで別物みたいなイントネーションになっていたのが印象的で、なんか方言っておもしろいなと思いました。
永作:難しいですね。イントネーションがとても独特で。教えてくださる方は、慣れた口調で言うんですけど(笑)すごく苦労しましたね。どんどん台詞が詰まってくると混乱してきて。でも、それがインプットされて来てるって事なのかな、とも思いました。いつの間にかふだんの会話のなかにも、うっかり鹿児島のイントネーションが入ってきてしまうような状態になりました。慣れてくると「心地良い耳触りなんだろうな」と思いました。印象的なのは、ありがとうってことばですよね。すてきだなと思いました。
― 鹿児島に滞在してロケをして、印象は変わったのでしょうか。
小芝:芋焼酎が好きになりました。もともと癖が強くて、苦手意識があったんですけど、鹿児島にきて飲ませていただいたらこんなに飲みやすくておいしいんだって思いました。ご飯屋さんに行ったときにどんな種類の焼酎が置いているのか、銘柄を見るだけでワクワクするようになりました。
吉岡:僕は今まで甘い醤油と芋焼酎が本当に苦手だったんですけど、きのう克服しました。本当においしいなって思って、この甘い醤油に芋焼酎があうんだって思いました。きのう、さつま揚げもいただいたんですけど、おいしいですね。今まで食べていたものとは、全く別物でおいしかったです。人も優しいし、風土も南国でとても好きになりました。ちゃんともう一度、勉強をし直して、西郷さんだけじゃなくて知覧にも行かせてもらいたいです。ちゃんと歴史を勉強して、出直したいなと思っています。
※吉岡はロケ期間の半日休みの日に、西郷隆盛の銅像にご挨拶に行ったそう。撮影中、雨の日が多かったなか、雨が降らないようにお願いしたとのことだが、その願いが通じたのか、このロケ取材会当日は晴天に恵まれた。
永作:改めて、鹿児島から桜島がほんとうに近いんだなって思いましたね。どこからでも大きく見える。心強い気持ちになりました。小学生のうちに桜島まで遠泳するとか、大正時代の噴火の時の溶岩で桜島と繋がったとか、いろいろ勉強させていただいて、鹿児島が今までよりも近くなりました。
犬飼:桜島がこんなにも大きくて、雄大なんだって思いました。鹿児島中央駅もそうですけど、路面電車が通っていて、すごくおしゃれな街だなっていう印象になりました。
― ドラマのストーリーはまだ明かせませんが、ドラマを演じて感じたことや視聴者へのメッセージをいただけないでしょうか
小芝:これまで私が演じさせていただいた役って結構、「THE・成長していきます」とか一歩踏み出しますっていう役が多かったんです。この作品では、ずっと怖くて閉じこもっていたけど、一歩踏み出してみようかなっていう小さな変化が、私が演じる知花にとってはすごく大きな変化で、すぐには人って変われないところがあるけれど、それでも苦しいことがあっても生きていかないといけない、前を向きたいっていう人の気持ちをすごく大切にしながら演じています。
人はそれぞれいろいろな葛藤というか、傷みたいなものを抱えている人がいて、同じ桜島でも見る人によって全然印象が違いますよね。鹿児島に住んでいる人の桜島と、全然違う地に住んでいる人の桜島のイメージが違うように、本当にひとことひとことだったり、人それぞれ考え方が違ったり、救いになることばもあれば、すごく怖くなることばもあって、人ってすごく難しいなって感じる作品です。このドラマを撮らせていただいてから思うことが増えて、きっぱり答えがでているわけじゃないですけど、前に踏み出したいっていう気持ちがあるっていうのが素敵だなと思いました。力強さだったり、迷ったり、トラウマがあったとしてもそれでも前に進んでいきたいっていう人の強さと桜島の力強さがリンクしている作品だと思います。鹿児島の皆さんはもちろんですけど、いろんな人に見ていただきたい作品だと思います。
吉岡:どうしても災害というか、災害から生まれてしまう悲しみだったり、そこから歩けなくなったり、前に進めない人がいるなかで街はどんどん新しくなるかもしれません。そんななか、桜島の雄大な自然のなかで、幸せの黄色い小みかんが手渡せればいいなって思っています。人間の持つ災害にあったときの悲しみみたいなものを大事にして演じさせてもらったつもりでいます。
永作:最初に台本をもらったときからしっかりと深い人間関係が描かれていて、何かしらこころにしまい込みながら生活しているところなどを大切に描きたいんだなぁと。誰もがそうやって暮らしてはいますが、綾子の経験して来たことも中々深かった。非常に難しい台本だなと思っていたんですよね。私のやらせていただく役は、昔のことを押し込んで、明るく今を生活しているけど、ぽろぽろって昔の感情がでてくる。難しい役だったなと思います。鹿児島弁も含めて。
犬飼:僕は台本に桜島がでることは知っていたんですけど、「桜島がこんなに大きいと思わなかった」っていうセリフがあるんです。実際に読んではいたけど、そこまでは意識していなくて、いざフェリーに乗って桜島に行くときに桜島ってこんなに大きいんだって台本と同じことを思いました。毎シーン、毎シーン、桜島のエネルギーをもらいながら、撮れているような気がします。早く皆さんにお届けできる日が待ち遠しいです。
人間って何を本当は思っているのか、感じているのか、深く掘ってみないとわからないと感じました。僕が演じた洋平も一見、掘ったところと違う部分を持っている人間だと感じて、洋平の熱いマグマのような心が届けばいいなと思います。(modelpress編集部)
小芝風花出演「この花咲くや」あらすじ
鹿児島の不動産会社に勤める坂元知花(小芝風花)は、仕事でも伸び悩み、恋人からのプロポーズにも応えきれない日々を過ごしていた。そんなある日、津村幸次郎(吉岡秀隆)が家探しに不動産会社へとやってくる。鹿児島には縁もゆかりもないという幸次郎。対応した知花は張り切り、自分がいまイチオシの桜島ビューのマンションを紹介する。しかし、内見していた幸次郎がとつぜん、「桜島が見えない家がいい」と言いだした…。
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