吉本興業、タレント全員と「共同確認書」交わす方針 エージェント契約も導入へ<第1回経営アドバイザリー委員会>
2019.08.08 18:07
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吉本興業ホールディングス株式会社は8日、第1回経営アドバイザリー委員会を開催。委員会後、座長の川上和久氏(国際医療福祉大学教授)がブリーフィングを行った。
「経営アドバイザリー委員会」とは?
同社が社会的責任を果たし、国民からより信頼され、貢献できる企業になるべく設置された同委員会。委員は川上氏をはじめ、大仲土和氏(弁護士・関西大学大学院法務研究科教授/元最高検察庁総務部長)、久保博氏(株式会社読売巨人軍 顧問/前同社会長・元社長)、島根悟氏(一般財団法人 日本サイバー犯罪対策センター理事/元警視庁副総監)、町田徹氏(経済ジャーナリスト/ゆうちょ銀行社外取締役、ノンフィクション作家)、三浦瑠麗氏(国際政治学者/山猫総合研究所代表)、山田秀雄氏(弁護士/元日本弁護士連合会副会長、第二東京弁護士会会長)が務め、6月以降に報じられた反社会的勢力との闇営業や、同社の対応を通じて発現した経営上の諸課題を整理して議論し、今後の経営へのアドバイスをする。そのため、いわゆる「第三者委員会」のように、不祥事を調査して、その責任の所在や社内処分のあり方を提言するというものではなく、経営にかかる懸案事項について専門的知見からアドバイスを提示されるもの。よって個別の人事案件や、個々の契約に関して取り上げることはしない。
また、具体的には、大きく分けて「反社会的勢力の完全排除のために何をどう実行すべきか」「所属タレントとの契約に関して」「コンプライアンス体制の検討とあり方について」「コーポレート・ガバナンスのあり方について」、4つのテーマを審議していく。
川上和久氏がブリーフィングを実施
第1回の委員会後に行われたブリーフィング。冒頭、川上氏は三浦氏と久保氏が欠席(それぞれの意見は委員会内で発表)したこと、岡本社長も出席していたこと、岡本社長が「吉本が改革を成し遂げ、飛躍していくためにアドバイスを頂いて飛躍していきたい」と発言していたことを振り返ったうえで、第1回委員会の内容を説明した。エージェント契約も導入へ
「所属タレントとの契約に関して」について、委員会では同社がタレントを契約書を交わしていないことを問題視したうえで、「反社会的勢力との決別も踏まえて、まずは全員と『共同確認書』という形で所属するタレントと会社が互いに交わす」ことを提案。同書面では「吉本の大崎会長と岡本社長、ご本人との署名という形で、反社会的勢力との関係を断絶する、教育を徹底する、営業先を適切に徹底する、守秘義務を守る、差別中傷を排除する、あらゆる権利を尊重してマネジメントを行う、この宣言を周知徹底するという形で、約6000人の方と『共同確認書』に署名することで、あなたは吉本の芸人さんですと所属を明確にする」とした。そのうえで「専属マネジメント契約」もしくは、新しい契約の形とする「専属エージェント契約」を、個々のタレントの要望に応じて結ぶ方針で、「吉本の育成の有り方は、いろいろな意見があると思うが、いわば『吉本スタイル』で、ちょっと古い考えと思う人もいるかもしれない。それを否定するものではなく、その形のなかでコンプライアンスを遵守して安心して活動できるようにする」との考え方からで、今後も委員会では議論を重ねていく。
吉本興業は柔軟に対応する姿勢
なお、ブリーフィング後には吉本興業の担当者が報道陣の取材に応じ、「専属マネジメント契約」「専属エージェント契約」について追加で回答。通常「専属エージェント契約」した場合について、「いわゆる営業窓口、仕事の獲得、クライアントとの交渉は、依頼されている側が対応。それをこなすうえで必要な身の回りのこと、マネージャー、運転手などはタレント本人が用意する」としたうえで、「うちの場合、エージェント契約にトライして、今のマネージャーと信頼関係があるからマネージャーはそのまま置いてほしい、ということがあっても『個別の事情』に合わせて契約する」と、柔軟に対応していく姿勢を表明した。(modelpress編集部)
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