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ジャニー喜多川さんが「YOU」を使った理由、壮絶な過去、アイドル育成のポリシー…蜷川幸雄さんとの対談で残した名言

2019.07.10 00:30

ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長が9日、午後4時47分に都内病院にて亡くなったことが発表された。87歳だった。ここでは2015年1月1日放送のラジオ番組『蜷川幸雄のクロスオーバートーク』(NHKラジオ第1)で故・蜷川幸雄監督と対談した際にジャニーさんが残した言葉を振り返る。

  

ジャニー喜多川さんがタレントを「YOU」と呼んでいた理由

この番組でタレントのことを「YOU」と呼ぶ理由を明かしたジャニーさん。蜷川さんが「あれには自覚的な選択があるんですか?」と尋ねると、「アメリカでは主語でYouと言うから、つい言っちゃうんですよ」と説明。「ふいに痛い時、この年になっても、言うのは『アウチ!』ですよ」とアメリカの影響を明かしながらも「Youしか覚えられない」とも吐露していた。

ジャニーズから主演級の俳優を選ぶ方法

蜷川さんに主役級の俳優を選ぶ方法を尋ねられると「それはこっちがすくっていかなきゃしょうがない。すくっていくからできるんですよ」と明かしたジャニーさん。「バックで踊ってるのを見てて『あいつだったらいいかな?』と思ってるんですか?」と聞かれると「まあ大体はわかりますよね。そりゃわかりますよ。鈍感な子もいますからね。でも鈍感は鈍感でまた面白いところがあるし」とその観察眼で語った。

放送の20年ほど前から舞台に出るタレントをジャニーさんに紹介してもらっていたという蜷川さん。その第一号は男闘呼組の岡本健一。続いては木村拓哉だった。ジャニーさんは多くのジャニーズタレント達を蜷川さんの元へ連れて行っていたという。

しかし蜷川さんは「僕ね、感心してるのはね、ジャニーさんとこは懐深いね。ああいう森田くん(V6森田剛)とかさ、変わった子をちゃんと…」と切り出し、ジャニーさんは「ああ、顔だけでは選ばないということですね」と返答。蜷川さんが森田について「あの変な、ヒゲとかはやしてさ、『汚い顔してお前、野ネズミか?よくジャニーズ事務所にいられるよね』って言ったけど『何も言われないです』って」と振り返ると「人間はやっぱりそれぞれみんないいところがあるの。不思議なことに。マッチ(近藤真彦)なんかは写真見てたって『何この子』って。だけど、なんていうのかな、ハートがやっぱり伝わってくるんですよね。みんなそれぞれ、若い人って本当に気持ちがありますよね」と明かしていた。

アイドルとして成功するため“一番大切なこと”とは

また、アイドルとして芸能界で成功するために一番大切なことは「真面目なこと」と明かしたジャニーさん。「真面目でないと芸能界やっていけない。タレントは、全部そういう意味では成長しますよ。でもそれに携わっている人間が、言っちゃ悪いけど、果たしてタレントの気持ちをわかっているかということですよね」と吐露する場面も。

ジャニーさんが明かしていた“髪型”“身長”へのこだわり

蜷川さんに「最近の若い男の子の顔つきが、みんな似てるってことはないですか?」と言われるとジャニーさんは「あ!なんで分かるんです?」と返し「髪の毛」とズバリ。「髪型が皆同じ。坊主にしちゃえよ、本当に。なんの特徴もないの」と漏らした。

「マッチは何でマッチって言ったか知ってます?マッチ棒みたいでしょ?ぼくは凄く、坊主の子っていいなと思うんですよ。そのままの形で見えるから。髪の毛でごまかしてるのは、女性ならともかくも…男なら…スタイルがよくなったのは仕方ないけれども、髪の毛だけは、なんで一緒にしなきゃいけないの?って」と最近の若いタレントの髪型に思うところもあったようだ。

続けてジャニーさんは「やっぱり今の高校生以下は、スゴイですよスタイルは。中高生、怖いですよ。めちゃくちゃにスタイルがいい。昔アイドルというのは、背が小さい方がよかったんですよ」と明かす一幕も。

「背が高いとアイドルにならなかった。長田英二なんかは急に背が高くなっちゃったからカットしちゃったくらい」とぶっちゃけ、「でも今は時代がそういう風になってきてるから、今は今で、かっこいいということ。でも昔は小さいほどかっこよかった。でもそれは昔の話で、その時代時代にやっぱりあるんですよ」とタレントの身長に対する思いを明かしていた。

戦時中の壮絶な経験も告白

また同番組では、自らの過去についても語ったジャニーさん。ジャニーさんのキャラクターは日本とアメリカ2つの祖国で育まれてきた。生まれたのは1931年、場所はアメリカ・ロサンゼルス。両親はともに日本人だが、不況のためにアメリカに渡っていた。しかし太平洋戦争が勃発し、10歳を過ぎた頃父の故郷である和歌山に身を寄せる。その和歌山で空襲に巻き込まれ、壮絶な経験をしたことが深い記憶となったという。

「焼夷弾から逃げるのに必死だった」と振り返ったジャニーさん。「兵隊さんみたいな人に言われる通りに、紀の川まで走ったわけですよ。和歌山城まで行くのに距離があるんですけど、人の死体いっぱいで…そういう経験がものすごくあるわけですよね。アメリカにいるはずの僕が、なんで一生のうちに一回しかない空襲に入り込んでいくかとか、そういう運命になってる。怖い世界を歩き渡ってきたわけですよね」と思いを巡らせた。

ジャニー喜多川さんがタレント事務所を始めたきっかけとは

終戦後、ロサンゼルスに戻り、現地の高校に通い始めたジャニーさん。その数年後現地で、歌手の美空ひばりや笠置シヅ子といった日本からアメリカ公演に来た芸能人の手伝いをしたことが芸能界に関わった始まりだったという。

その後日本に帰国。蜷川さんに「一番初めにタレント事務所をやろうと思ったのはいつですか?」と聞かれると、「銀座に『ウエスト・サイド・ストーリー』の映画を見に行って、『わーかっこいいな、俺もこういうのやりたいな』と思った。ふと横を見たら日劇のダンサーの男の子たちがかっこよくいたんですよ。ということでみんな集めて」と回顧。「売れっ子ばっかりだから、みんな次から次へと辞めていくんですよ。それで残ったのが何もやっていない『ジャニーズ』なんです」と自身が初めてプロデュースしたグループ・ジャニーズ誕生の経緯を明かした。

ジャニーさんが明かすアイドル育成への思い

そして蜷川さんに「いい子だと思って残しといたら、ちっとも成長しない子だっているでしょ?」と問われたジャニーさん。すると「いない」と即答し、「30年も50年もやってるけども、僕は失敗はないと思いますよ。やっぱり人間を扱ってるから、間違いがないですよ」と熱弁した。

「人間のどの辺を見る?」と聞かれると、「どの子だってみんな人間の美しさってあるんですよね」というジャニーさん。

そして最近の若者について「昔はよかったっていうのは嘘。今、新しい時代ほどどんどんよくなってる。みんな覚えるのも早いし」とも話していた。

自身のタレント育成についてジャニーさんは「みんないつかは自分が実るだろうという気持ちが当然あると思う。でもそれ以上に、芸能界は自分が体を持って表現していく人間ばかり。タレントは一生というのがあるから、このままポーンと捨てる気は全然ないですよね。彼らが生きる限りは絶対やっていかなきゃいけないという信念はありますよね。根性ですかね。楽しいですよね、我々は。やっていて辛いと思ったことは無いと思いますよ」と強い思いを語ったジャニーさん。

ジャニーさんが語っていた「これからやりたいこと」

これからやりたいことを聞かれると「若い子はこれからどんどん伸びていくけど、やっぱり大事にしないといけないと思う。タレントとして育っているけど、人間としてまだ育ってないわけですよ。僕はやりますよ絶対に。死ぬ前にちゃんとやります。若い子を築きあげなきゃ。金儲け主義でやってるっていうのではないことがハッキリわかると思いますよ。いかにも僕が築きあげた人みたいに聞こえますけど、違うんですよね。これから築き上げることによって、子どもたちも育っていくってことなんですよ」と言葉にしていた。(modelpress編集部)

情報:NHKラジオ第1

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