坂本花織、りくりゅう、高橋成美に共通する"武器" フィギュア出身者がテレビで重宝される背景
フィギュアスケート界から、芸能界にとっての新たな注目株が続々と誕生している。競技引退したばかりの坂本花織、りくりゅうペアこと三浦璃来&木原龍一、バラエティで引っ張りだこの高橋成美など、なぜフィギュア出身者の活躍が目立っているのか。
坂本花織は、北京五輪女子シングル銅メダル、ミラノ・コルティナ五輪女子シングル銀メダル、世界選手権4度優勝、全日本選手権6度優勝などの輝かしい実績を持ち、5月に引退会見を開き、21年間の競技生活に区切りをつけた。同時に一般男性との結婚も公表し、大きな話題になった。
引退後は指導者を目指しながらアイスショーなどに出演する一方、日本テレビ系キャンペーン「Good For the Planet ウィーク」のアンバサダーに小泉孝太郎、山田涼介とともに就任し、神戸マラソン2026のスペシャルアンバサダーにも決定。バラエティでも適応力を発揮し、今後はテレビや広告の分野でも存在感を強めていきそうだ。
現役時代の坂本は、大舞台で見せる凛々しい表情と堂々とした演技が印象的だったが、リンク外ではチャーミングな笑顔と無邪気な振る舞いでファンを魅了した。トップアスリートでありながら近寄りがたい雰囲気がなく、男女双方から好かれやすいタイプだ。結婚を発表したことで、既婚者の視点でのトークも期待され、活躍の場はさらに広がっていくとみられる。
りくりゅうペアも業界内の注目度が高い。三浦璃来と木原龍一は、ミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケートペアで日本勢初の金メダルを獲得し、4月に現役引退を発表。圧倒的な好感度とペア競技で培った関係性は広告業界での需要が高く、すでにGoogleのCMに出演し、寝具ブランド「エアウィーヴ」のCMにも出演予定だ。
意外にも涙もろい木原のキャラクターや、包容力あふれる三浦の柔らかな雰囲気は、視聴者に好意的に受け入れられており、テレビ番組やイベントなど、広告以外でも活躍が大いに期待できるだろう。
一方、現在のバラエティ界でブレイクしているのが高橋成美だ。2014年ソチ五輪のペア代表で、2012年の世界選手権では日本のペアとして初の銅メダルを獲得。競技を続けながら全国屈指の進学校として知られる渋谷教育学園幕張高校を経て、難関の慶應義塾大学総合政策学部へ進学した才女でもあり、英語や中国語など7カ国語を話せることでも知られる。引退後はタレントとしても活動していたが、ミラノ・コルティナ五輪でりくりゅうペアが金メダルを獲得した際の"神解説"で脚光を浴びた。その後はバラエティ出演が急増し、オリンピアンとしての実績や知性と天然発言のギャップで人気を集め、これまで「交際経験ゼロ」であるなど独特の恋愛観でも話題を呼んだ。バラエティやスポーツ関連番組だけでなく、情報番組のコメンテーターまでこなし、多方面で才能を発揮している。
このほかにも、浅田真央、安藤美姫、村上佳菜子、織田信成、本田真凛ら、フィギュア出身者がテレビや広告で活躍している例は多い。では、なぜフィギュア出身者は芸能界で重宝されるのか。
その理由としては、アスリートとしての知名度の高さやクリーンなイメージに加え、幼少期から競技で観客や審査員の視線と向き合い、大会などでカメラに撮られることにも慣れていることが挙げられる。いわゆる「見られ方」を強く意識してきたため、それが「見られる仕事」であるタレントの適性につながっている。
また、タレントは「華」があることが大きな魅力になるが、これはフィギュアスケートの世界も共通しているといわれ、芸能界になじみやすい。さらに、五輪や世界選手権などの大きな大会はドラマチックな展開になりやすく、最初からそうしたストーリーを背景に持った存在として見てもらえることも、視聴者に受け入れられやすい要素だ。
一方で、元アスリートの芸能界進出には賛否もある。競技と関係ない分野の大きな仕事に起用されると、本当にそれだけの実力があるのかと厳しい視線にさらされることがある。そういう意味では、フィギュア出身者だからといって世間的に優遇されるわけではなく、競技と同じく実力勝負の世界といえる。
坂本は親しみやすさと明るい人柄、りくりゅうは独自の関係性と好感度、高橋は知性と予測不能なトークを武器にしている。フィギュア出身者の"競技後"は、今では解説やアイスショーに限られたものではない。氷上で磨かれた表現力を生かし、テレビや広告の世界で存在感を強めていく流れは、今後も続くのではないだろうか。
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