あのちゃんはなぜ「顔変わった」と言われ続けるのか 芸能人の整形論争が終わらない理由
先日、歌手でタレントの"あのちゃん"ことあのが、Instagramのストーリーズで「顔が変わった」などと指摘する一部のアンチコメントに反論したことが話題になった。彼女に限らず、女性芸能人への「整形疑惑」の声はなぜなくならないのだろうか。
発端になったのは、4月6日に開催されたDMM TVオリジナルドラマ『外道の歌 SEASON2』の完成披露試写会だった。あのちゃんは淡い青のミニ丈ドレスに独特の柄のストッキングを合わせ、前髪を横分けにしたレアなヘアスタイルで登壇した。
独特の柄のストッキングを肌荒れと勘違いする声や、「顔が変わりすぎ」といった指摘が一部で上がったらしく、あのちゃんは4月14日の投稿で「この脚をストッキングってわからないメンズと髪型変えるだけで顔が変わりすぎとか言うメンズが多すぎる」「変わったの顔じゃなくて髪だし雰囲気ね」と苦言を呈した。さらに「僕のファンは女の子も男の人もそういうことわざわざ言ってくる人あんまおらんです」と、ファン以外からのコメントであることを補足した。
あのちゃんには、以前から「顔が変わった」「整形したのでは」といった声がつきまとってきた。昨年10月には、あるXユーザーが過去映像の切り抜きと現在の横顔を並べ、「もともと鼻が綺麗な人だった」と擁護する投稿を行い、あのちゃんがそれを引用しながら「今更顔がどうとかもういいんだけど これが拡散されないであの画像だけ一生拡散されてるのがインターネットだ」と告白。写りのよくない画像ばかりが拡散されている状況に不満をあらわにした。
あのちゃんは美容整形に否定的な立場ではなく、2023年5月には「整形ってダメな事ですか」とのファンからの質問に対し、「ダメな事じゃないですねえ」と返答。「可愛くなろうとしてる女の子の見た目にあーだこーだ言ってくる」側を厳しく批判し、「自分をもっとよくしようと思って進むあなたの勇気や努力のが何倍も素敵よ」と背中を押していた。今回の苦言は整形疑惑そのものより、「見た目をめぐる雑な決めつけ」に向けられたものだろう。
あのちゃんに限らず、芸能界では矢口真里、平子理沙、大沢あかねらに「顔が変わった」との指摘がたびたび寄せられ、本人が整形を否定するという事態が続いている。なぜ女性タレントの「顔変わった」論争は終わらないのだろうか。
その最大の理由は、整形以外の顔立ちの変化を生む要素が多いことだ。メイク、カラコン、髪色、前髪、撮影時の照明、レンズ、画像加工、ダイエット、表情の作り方などによっても見た目は大きく変わる。さらに、芸能人は自分がどうすれば魅力的に見えるのかを徹底的に研究する。駆け出し時代の昔の写真と、垢抜けてブレイクした後の画像を並べれば、雰囲気が変わって見えるのは当然だろう。だが、そうした変化を「努力による結果」とみるより、「整形で手を入れた」というストーリーにした方がネットでは広まりやすい。「あんなに綺麗なのは特別なことをしているからだ」と思いたい受け手と、断定的な言葉ほど拡散されやすいSNSの相性が、整形疑惑を何度も再生産してしまう。
顔の変化は整形だけで説明できるものでもない。女優の波瑠は2020年10月に出演したトーク番組で「鼻イジったってめっちゃ言われます」と自身の整形疑惑に触れ、実際に昔は「もっとぺっちゃんこの鼻だった」と明かしたが、子どもの頃からコンプレックスだった鼻をつまんで引っ張っていた結果、現在のような形に変わったと明かしている。
女優でフリーアナウンサーの田中みな実も、2024年6月にラジオ番組で整形疑惑を否定し、約9年間通う整体によって顔の輪郭や鼻筋が変化したと説明した。年齢によって顔立ちが変わることもあり、「見た目の変化=整形」とは限らない。
また、元モーニング娘。の矢口真里はくっきり二重の目元について「整形したのでは」と昔から指摘されているが、本人は疑惑を否定した上で、18歳の頃から二重にするアイテープを使い続けていると公言している。整形疑惑に関しては「"綺麗になった"と言われているようで嫌じゃなかった」と語っており、彼女のケースは、美容アイテムやメイクの進化により、整形レベルにまで変化することが可能になった現実を映し出している。
しかし、ネット上では女性タレントの劇的なビフォーアフターだけが切り抜かれ、整形疑惑が繰り返し生み出される。これは女性芸能人の美しさが、称賛だけでなく嫉妬の対象にもなっているからだろう。ここには「本当に整形かどうか」以上に、「なぜ人はそこまで他人の顔の変化を裁きたがるのか」という論点がある。メイクや努力の結果でも、加齢や成長でも、あるいは本人の選択としての美容医療でも、本来は当人の領域だ。
それでも誰かの顔の変化を裁きたがる人は少なくなく、女性タレントは容姿を褒められるほど「不自然ではないか」と穿った見方をされ、見せ方をアップデートすれば「前と違う」と言われる。この終わりのなさこそが、整形論争の本質なのかもしれない。
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