畑芽育×志田未来『エラー』、虜にさせる中毒性の正体は“伏線と緩急”
各局の春ドラマが続々とスタートしている。桜の季節が終わったけれど、ドラマオタクの眼球は満開。毎日、飽きずにTVerの虜になっている。そんな最中、畑芽育&志田未来W主演ドラマ『エラー』(ABCテレビ、テレビ朝日系)に目が止まった。「ん? なんだ? このドラマ面白い」。
◆一つの死の真相をめぐる、二人の女性
『エラー』は大迫未央(志田)と、中田ユメ(畑)の二人の若い女性を中心に描くサスペンス。思いがけず母親を自死によって失い、あまりの苦しさに自分も命を落とそうとしていた未央。そんな未央を救ったのは母の遺書を届けにきたユメ。生活環境も全く異なり、出会うはずのなかった二人なのに、次第に心を通わせていく……と、第一話の序盤までは割と、連ドラではよく見かけるシーンだった。
が、後半でちょっとした大どんでん返しが起きた。未央はユメを誘って、なぜかバンジージャンプへ出かける。母親の自死の真相を疑似体験しようとしていたのだ。
「飛び降りたら分かるかなって。落ちる瞬間、怖い、だったのか。最高! だったのか。ああ、やっぱ死ななきゃ良かった、だったのか」
高所恐怖症の未央は恐怖のあまり、足がすくんでしまう。
「押して、自分じゃ飛べない。背中、押して」
ここで流れる自死の真相。実は母の背中を押してしまったのはユメだった。もちろん意図的なものではなく、ビルの屋上から飛び降りようとしていた母を止めたうえでの偶発的な事故。ただ客観的には加害者となる。そのことを言えず、二人の距離感は近づいていく。そして“押す”動作が点と点で繋がった瞬間は、伏線回収のカウンター攻撃のようだった。
こんな展開をラストに差し出してくるのは誰だろうと検索をすると、脚本家は弥重早希子氏。2024年に衝撃を起こしたドラマ『3000万』(NHK総合)の脚本を担当した一人だった。放送当時、『3000万』の迫りくるスピード感が巷で話題になっていたのを思い出す。私も毎週、楽しみに観ていた一人だった。ああ、あの作品に関わっていたのかと、『エラー』の展開に見られる緩急に納得した。
このまま二人の友情は進むのか、それとも崩れるのか。何よりもユメは未央の母の死に図らずも加担してしまった真相を、話すのか、隠すのか。いくつも解きたい謎が残る。
◆5作品、連続ドラマ出演中の志田未来
さらに気づいたのは、作品を盛り上げている一端に主演の志田未来がいることだ。彼女は昨年の春クールから5作品連続で、連ドラに出演している。
まずは『なんで私が神説教』(日本テレビ系)の鈴木愛花役。『北くんがかわいすぎて手に余るので、3人でシェアすることにしました。』(関西テレビ、フジテレビ系)の比留間東子役。『ESCAPE それは誘拐のはずだった』(日本テレビ系)では、岩田美麗役。そして今年の冬クールは『未来のムスコ』(TBS系)主演の汐川未来役に。突然現れた未来から来たという、主人公の息子の父親探しが目的のはずだったのに、いつの間にか息子にかけがえのない愛情を育んでいた物語が話題を呼び、『エラー』へと続いている。連ドラの合間にもスペシャルドラマや、連ドラへのゲスト出演、舞台、映画にも登場している。俳優としてまさに無双状態の32歳だ。
彼女の強固であり、確実な演技力は子役からの賜物で、芸歴は数十年以上に渡る。『14歳の母』(日本テレビ系・2006年)で中学生が妊娠する役や、名作『小公女セイラ』(TBS系・2009年)で周囲からいじめられる役などが印象的だった。ドラマオタクのおばさんはよく覚えている。直近で記憶しているのは映画『ほどなく、お別れです』(2026年)で、幼い子どもを亡くした母親の役。この作品には何組かの家族を亡くした人物が登場するが、その中でも圧倒的に悲しさを訴える演技がすばらしく、思わずもらい泣きしてしまった。
最近しみじみ思うのが、幼少期から鍛錬されてきた技術と精神力は、どんな芸事においても本当に強いし、敵わない。ちなみに志田と二人で主演を務める畑芽育も子役から活動しているので、『エラー』にはまず最強のフォーメーションが用意されている。どうりで面白いはずだ。続いていく物語に今後も深く興味を寄せたい。
(文/コラムニスト・小林久乃)
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